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ワイン・コラム 第169回 ブルゴーニュ地方の話 ギィ・アミオ編

フランス、ブルゴーニュ地方。

今回ご紹介するギィ・アミヨGuy Amiot & Filsが居を構えるシャサーニュ・モンラシェChassagne-Montrahet村は、近隣のムルソー、ピュリニー・モンラシェと並んで世界屈指の上質な白ワインの産地として知られています。

実際のところこの村の土壌は黒ぶどうの栽培に適しているようで、赤ワインも少なからず造られており、白に比べコスト・パフォーマンスが高く、試す価値があります。

ギィ・アミヨは、そのワインの品質から、この村を代表する生産者のひとりです。所有する畑は偉大な特級畑ル・モンラシェLe Montrachetを筆頭に、シャサーニュ・モンラシェ村の複数の1級畑、サン・トーバン村の1級畑やピュリニー・モンラシェの1級畑など、12haを超える畑を所有しています。

私がこのドメーヌを訪問したのは2005年の10月。白はまだ若い状態の2004年を、赤は2003年を中心に試飲させて頂きました。印象的だったのは

白 シャサーニュ・モンラシェ・プルミエ・クリュ クロ・サン・ジャンClos St-Jean 熟した白い果肉の果実、しっかりとした樽香。果実味豊かで酸味はやや穏やか。ボリュームがあり、ミネラル感も強く、余韻が長い。
Chassagne 1er Chassagne du Clos St-Jean Clos St-Jeanの畑。

赤 シャサーニュ・モンラシェ・プルミエ・クリュ マルトロワ Maltroie 2002 木いちご、さくらんぼなど華やかな赤い果実の香り。果実味は十分で、酸味の強さは中程度。マロ・ラクティック発酵による乳的な香りがあり、タンニンはそれほど多くなくなめらかで、余韻はやや長い。

赤の2003年も良いものが多かったですが、全体的にジャムっぽい、果実の成熟度が高いことを伺わせる雰囲気がありました。

ヴィンテージの性質やワインの状態(まだ若過ぎる状態)も考慮にいれる必要がありますが、赤の質の高さに心を打たれました。もちろん白も良かったですが。

やはりその土地、テロワールに合った適正品種というものがあるようです。市場で白の需要が多く、そのため高値で売れるので白ぶどうを栽培している部分があると思うのですが、シャサーニュ・モンラシェ村の土壌の大部分は黒ぶどうの栽培に適しているというのは事実なのでしょう。

土地、そしてそこに植えられたぶどうが表現するテロワール。ギィ・アミオのワインはそれをしっかりと表現していました。

Clos Yは、ブルゴーニュ・ステップ・アップ講座の2月のテーマをシャサーニュ・モンラシェとし、グラン・クリュを含む4種のワインの試飲も行います。ギィ・アミオの赤ワインも登場します。ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第168回 ボルドー地方の話 ドメーヌ・ド・シュヴァリエ編

フランス、ボルドー地方。

長期熟成に向く、重厚な赤ワイン、そして甘美な貴腐ワインとして知られるソーテルヌを産出するこの土地で、上質な白ワインも造られていることはあまり知られていないかもしれません。

辛口白ワインとして、高級銘柄ではシャトー・マルゴーが造るパヴィヨン・ブラン、シャトー・ムートン・ロートシルトが造るエール・ダルジャンなどメドック地区にもありますが、ボルドーの高品質白ワインと言えばグラーヴGraves地区が筆頭に来ることでしょう。

5大シャトーのひとつシャトー・オー・ブリオンの白ワインを始め、シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン、シャトー・ラトゥール・マルティヤックなど、上質な白ワインを挙げればきりがありません。

その中でも特に、この地区で白ワインと言えば、ドメーヌ・ド・シュヴァリエDomaine de Chevalierを抜きには語ることができません。

グラーヴ地区の中でも特に高品質なぶどうが収穫できるペサック・レオニャンPessac-Léognan。ペサックとレオニャン、2つの村の名前を組み合わせてできている小さなワイン生産地区の名前ですが、実際にはカドジャックCadaujac、カネジャンCanéjan、グラディニャンGradignan、レオニャンLéognan、マルティヤックMartillac、メリニャックMérignac、ペサックPessac、サン・メダール・デイランSaint-Médard-d’Eyrans、タランスTalence、ヴィルナーヴ・ドルノンVillenave d’Ornonの10のコミューンがペサック・レオニャンのワインを産することができます。

ドメーヌ・ド・シュヴァリエは、ペサック・レオニャンA.C.、レオニャンの村の近くに位置しています。
Chevalier
私がこのシャトーを訪問したのは2014年9月、ちょうど収穫の最中でした。グラーヴ=小石の名の通り、小石が多く見られる畑には収穫を直前に控えたぶどうが見られました。
Chevalier2
美しい形状のシャトー内部には、赤ワインのアルコール発酵に使うステンレス・タンクや熟成、そして白ワインの発酵に使うバリックが整然と並べられています。

この日はちょうどオーナーがいらして、貴重な古酒1981の白、ハーフ・ボトルも開けて頂きました。コーヒーの様な余韻。ドメーヌ・ド・シュヴァリエの白は長く熟成させても楽しむことができます。

樽熟成タイプのボルドーの白ワインは、冬季にもじっくり楽しむことができます。魚介類だけでは無く、白身の肉料理と合わせて頂いても良いでしょう。

Clos Yは、2015年もレストラン講座「世界の銘醸地を巡る!」を続けてまいります。1月21日のテーマはボルドー地方、グラーヴ地区です。アペリティフに希少なドメーヌ・ド・シュヴァリエのロゼをお楽しみ頂きます。ご興味がございましたらご連絡ください。

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ワイン・コラム 第167回 イタリアの話 フェッラーリ編

新年明けましておめでとうございます。

本年も引き続き、訪問したワイン産地の話などをコラムに綴っていきたいと思います。

2015年第1回目のコラムでは、イタリア、トレンティーノ・アルト・アディジェ州で上質なスパークリング・ワインを造るフェッラーリFerrariをご紹介いたします。

ワイナリーは、同州の州都トレントTrentoの町にあります。
DSC01657
私はお隣のヴェネト州のヴェローナから北上しトレントに向かったのですが、途中の風景は心打たれるものでした。

道は狭い渓谷を南北に走っているのですが、両岸は崖のように聳え立っていて、電車と車は谷の一番下の方を通ります。夕暮れ時、見上げてしまう崖が両側にある中を走っていくのはどこか悪い夢のようで、美しい風景ながらトレントに着いた時はほっとしたのを覚えています。

谷底の比較的平坦な部分から急斜面過ぎて作業ができない部分の間にぶどう畑が拓かれています。

トレントの町の名を取ったD.O.C.トレントという呼称のワインがありますが、それはトレントの町周辺のぶどうを用いて造られるスパークリング・ワインです。私が通った渓谷の斜面畑のぶどうも使われることでしょう。比較的価格は手ごろ。しかし内容はとても充実していて、世界的に見てもコスト・パフォーマンスが高いスパークリング・ワインだと思います。

そのトレントを代表する生産者がフェッラーリです。車のフェッラーリとは関係がありませんが、同じ名前のそれぞれ有名企業であるため、一緒にイヴェントを行うこともあるようです。

シャンパーニュの高級メゾンのように、フェッラーリの建物内部は華やかな雰囲気で、訪問客も多かったです。
DSC01659
マーケティングの華やかな部分が目立ちますが、肝心のワインの品質も注目に値します。

スタンダード・キュヴェのブリュットから、上級のペルレ、そしてトップ・ラインのリゼルヴァ・ルネッリ、圧巻のジュリオ・フェッラーリまで、いずれも素晴らしいワインです。

トレントD.O.C.としては少し高価ですが、トップ・クラスのキュヴェは世界中のあらゆるスパークリング・ワインの中で最高品質の域に達していると思います。

今年、良いことがあった時の乾杯用に今から準備しておくのも手ですね!

Clos Yは、2015年も引き続きイタリア・ワイン基礎講座を続けていきます。1月12日のテーマはトレンティーノ・アルト・アディジェ州です。地場品種の白ワイン、赤ワイン、そしてフェッラーリのスプマンテも試飲して頂きます。ご興味がございましたらご連絡ください。

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ワイン・コラム 第166回 2014年印象に残ったワインの話

2014年も終わりを迎えようとしています。

どのような年でしたでしょうか?

私は毎年年末になると「今年のワイン」を考えます。今年はソムリエとして複数のコンクールに参加させて頂き、その内容により的を絞って試飲を重ねました。そういった環境の中で、強く印象に残ったものは...

Quinta dos Roques Dão Tinto Cãoキンタ・ドス・ロケス ダン ティント・カン 1999

ポルトガルの中でも重要なワイン産地、ダン。この土地を代表する生産者のひとりがキンタ・ドス・ロケスです。このポルトガルでもトップ・クラスの生産者が、希少な高級品種ティント・カンで造ったワインの15年熟成ものです。

香りは熟成感を伴う複雑なもので、温暖な地域で育ったぶどうを思わせる温かみがありながら繊細。味わいはピークを迎え、力強いもののどこかブルゴーニュのピノ・ノワールを思わせるような気品があり、なかなか他に類を見ない個性的なワインでした。

もはや通常に購入することは不可能なワインですが、丸の内のポルトガル料理屋さんでお目にかかれるかもしれません。

この生産者によるEncruzadoエンクルザ―ドの白ワインも実に秀逸であることを付け加えておきます。

あともうひとつ、挙げておきたいのはブルゴーニュのBizotビゾによるMarsannayマルサネイです。

ビゾと言えばヴォーヌ・ロマネの知る人ぞ知る生産者。高品質なワインを造っていますが生産量が少ないためなかなかお目にかかることができません。そのビゾがマルサネイのClos du Royクロ・デュ・ロワ畑で造るこの赤ワイン。どこかD.R.C.の雰囲気を感じたので印象に残っています。

みなさまはいかがでしたでしょうか?来年もきっと素晴らしいワインとの出会いがあるはずです。

本年も大変お世話になりました。2015年も、引き続きよろしくお願い申し上げます。

Clos Y代表 中西 祐介
Le 31 Décembre 2014

ワイン・コラム 第165回 イタリアの話 マッツェイ編

キアンティChianti

世界で最も有名なワインの銘柄のひとつでしょう。

このイタリア・ワインは、なだらかな丘陵、連なる糸杉が美しい、トスカーナ州で生まれます。

名が知られている割に、その実態はあまり知られていないと思います。キアンティにも数種類あります。まずはキアンティ。一般的にはキアンティの中で最もカジュアルなワインで、サンジョヴェーゼSangioveseという黒ぶどうを主体に、他の黒ぶどう、そして白ぶどうの使用も認められています。そして地区名付きキアンティ。例えば斜塔で有名なピサの町の近くのぶどうで造られたものでキアンティ・コッリーネ・ピサーネChianti Colline Pisaneなど、7つの小地区が認められています。そして、キアンティの中で私は最も心を動かされる、キアンティ・クラッシコChianti Classico。古くからぶどう畑が拓かれていた場所のぶどうから造られたワインのみが名乗ることができ、現在のキアンティの名声の礎です。キアンティ・クラッシコが素晴らしかったので、キアンティと名乗ることができるワインの産地が周囲に広がっていきました。キアンティ・クラッシコは白ぶどうの使用が認められていません。郷土料理のビステッカ・アッラ・フィオレンティーナなどとは相性抜群の、「肉が食べたくなる」赤ワインです。そしてそれぞれに、長期熟成の上級版、リゼルヴァRiservaがあります。

今回は、上質なキアンティ・クラッシコを造る、マッツェイMazzeiをご紹介いたします。

マッツェイはフォンテルトリFonterutoliという銘柄で上質なキアンティ・クラッシコを造っていますが、他にも白ワインやスーパー・トスカーナのシエピSiepi、さらにはトスカーナ州以外でもワイン造りを行っています。

私がこの生産者を訪問したのは2010年の9月末のことでした。

自然の美しいトスカーナ州ですが、マッツェイの醸造所は山の中にひっそりと佇んでいます。

そのワイナリーは近代的で、とても効率的にできています。

ぶどうが運ばれてくる地上部分。
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部分的に丸い蓋があり、取り外しできるようになっています。穴の真下にはアルコール発酵が行われるステンレス・タンクが待ち受けています。

ちょうど収穫時期で、タンクの中ではアルコール発酵がまさに行われているところでした。
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シエピを含む複数銘柄を試飲させて頂きましたが、マッツェイのワインは果実味に張りがあり、酸味との均整が美しく、かっちりとエレガントにまとまっているという印象を受けました。
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キアンティ・クラッシコといってもいろいろなタイプがあります。フォンテルトリは品質において上位に来るのは間違いありません。

美しいトスカーナが生む素晴らしいワイン、キアンティ・クラッシコ。美味しい食材が増えてくるこの時期、マッツェイの作品を、料理と共にじっくりと味わってみてはいかがでしょうか。

Clos Yは11月30日のイタリア・ワイン基礎講座のテーマをトスカーナとし、マッツェイのキアンティ・クラッシコを含む3種類のワインを料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味がございましたらご連絡ください。

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ワイン・コラム 第164回 オーストラリアの話 ジャコンダ編

ジャコンダGiaconda

カルト・ワインを生みだす、オーストラリアの生産者です。

オーストラリアのカルト・ワインと言うと、ヌーンNoonなどに代表されるような、黒く、濃く、アルコール度数の高い、超凝縮ワインを想像されるかもしれません。

今回ご紹介するジャコンダは、シラーズやルーサンヌなどローヌ系品種も造っておりますが、ブルゴーニュ風に造られるピノ・ノワールやシャルドネも見逃せない品質です。

居を構えるのはヴィクトリア州北部、ビーチワースBeechworthです。この生産者により有名なワイン産地ですが、他にもソレンバーグSorrenberg、カスターニャCastagna、サヴァテールSavaterreなど偉大なワインを生みだす素晴らしい生産者が町の付近に点在しています。

ワイナリーによりワインのスタイルは当然異なるのですが、過度に濃くはない、エレガントさを備えたワインと言う点で共通しています。

今回ご紹介するジャコンダは、この高級ワイン産地でも筆頭に来るワイナリーです。

標高約400mの乾燥した地に、僅か6haほどの畑を所有しています。
Giaconda
Giaconda2
Giaconda3
私がこのワイナリーを訪問したのは2008年の2月末、収穫期のことでした。忙しい時期にもかかわらず、醸造所の見学とワインの試飲もさせて頂きました。

いずれも素晴らしい品質!トータルで6haほどしかありませんので、当然全てのキュヴェが少量生産。ワインは入手困難ですので、品質の割に知名度は高くないかもしれません。

しかしワイン・メーカーのリック・キンツブラナー氏は世界の白ワインメーカートップ10に選ばれるなど、評価されています。

もしかするとどんなに素晴らしくても、1本1万円以上のオーストラリア・ワインに手を伸ばすのは勇気がいることかもしれません。しかし、全オーストラリアで別格のワイン産地、ビーチワースのトップ生産者のワインは、試す価値があると思います。

Clos Yは、11月3日のレストラン講座のテーマを「新世界」とし、リッジのモンテ・ベッロなど素晴らしいワインを料理と合わせてお楽しみ頂きます。ジャコンダのナンチュア・ヴィンヤード・シャルドネ2006も登場いたします!ご興味がございましたらご連絡ください。

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ワイン・コラム 第163回 イタリアの話 ピエモンテ州 ブローリア編

イタリア、ピエモンテ州Piemonte

ネッビオーロNebbioloによるバローロBarolo、バルバレスコBarbarescoが特に有名ですが、近年ではバルベーラBarberaやドルチェットDolcettoのD.O.C.G.銘柄も増え、トスカーナ州Toscanaと並びイタリアでもトップ・クラスのワイン産地として知られています。

ピエモンテ州のワインとして、白ワインも忘れてはいけません。ロエロRoero地区のアルネイスArneisやエルバルーチェErbaluceも良いです。

今回は、コルテーゼCorteseという白ぶどう品種で造られるガヴィGaviをご紹介いたします。

ピエモンテ州のワイン生産の中心はアスティAstiなどが造られる州の中部から南部にですが、北部でも上質なワインが造られています。ワイン名ガヴィの名のもとになっているガヴィの町は、州の最南東部に位置しています。
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ピエモンテは「山の麓」の意味があります。バローロやバルバレスコなどはしっかりとした肉料理と合わせたいものですが、ガヴィはやはり魚介類でしょうか。山のイメージが強いピエモンテ州。しかしガヴィは、実は海から直線で30kmほどの所に位置しています。ティレニア海の新鮮な魚介類と楽しむのも良いですし、ピエモンテ州の郷土料理バーニャ・カウダと楽しむのも良いでしょう。

私が訪問したのは、ガヴィトップ生産者のひとり、ブローリアBrogliaです。

こぢんまりとした、静かなガヴィの集落の北西に位置し、ワイナリーの周りはぶどう畑に囲まれています。
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一般的にガヴィは品質が安定していて、コスト・パフォーマンスが高いです。だいたい1,500円ほどで良いものが手に入りますし、3,000円を超すものはほとんどありません。

ブローリアは複数のガヴィを生産しています。珍しいガヴィ・スプマンテや、日本で5,000円を超すものまで、それぞれが良質です。

特筆すべきなのはやはり最高峰のブルノ・ブローリアBruno Brogliaでしょう。ラ・メイラーナLa Meirana畑の中でも特に優れた区画の、樹齢の高い樹の、低収量により凝縮されたぶどうから造られます。香りの成熟度、味わいの密度が異なります。このようなタイプのワインはなかなかガヴィには見られないものです。

ガヴィ。コスト・パフォーマンスが高く、イタリアン・レストランで重宝するワインだと思います。覚えておいて損は無い銘柄です。機会がありましたら、ブローリアも試してみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、10月26日のイタリア・ワイン基礎講座のテーマをピエモンテとし、バローロ、バルバレスコ、そしてブローリアのガヴィの試飲も行います。この講座ではバローロやバルバレスコなど実際に現地を訪れた時の話や、郷土料理の話もいたします。ご興味がございましたらご連絡ください。

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ワイン・コラム 第162回 ブルゴーニュ地方の話 ブシャール・ペール・エ・フィス編

ブルゴーニュ地方において、生産者の形態の分類で「ドメーヌDomaine」と「ネゴシアンNégocian」があります。

ドメーヌは自らが栽培するぶどうからワインを造るもので、家族経営の小規模な生産者が多いです。それに対しネゴシアンは他者が栽培したぶどうを購入してワインを造る、もしくは他者が生産したワインを購入してそれを熟成させて販売するもので、規模の大きな会社が多いです。

しかしその図式ももはや過去のものになりつつあります。

今日では、家族経営の小規模ドメーヌが小規模ネゴシアンとして購入ぶどうからワインを造るケースが増えています(その場合、同じ人間がワインを造ってもドメーヌものとネゴシアンものは別会社の名前を用い、ラベルも異なります。そうでないと区別がつかないですね。)

また、規模の大きなネゴシアンが自社畑を取得し、ドメーヌものとしてワインを造っています。特に名の知れた、規模の大きなネゴシアンは所有する畑の面積もとても広く、ドメーヌとして見逃せない存在になっています。

今回はそのようなネゴシアン兼ドメーヌで、上質なワインを生産しているブシャール・ペール・エ・フィスBouchard Père et Filsをご紹介いたします。

ブルゴーニュ地方のワイン文化の中心の町、ボーヌBeaune。城壁に囲まれた、まさにワインの町ですが、ブシャール・ペール・エ・フィスの社屋は鉄道の駅からまっすぐ町に向かって進んだ、城壁を入ってすぐのところに位置しています。
Bouchard P et F
この造り手を、私は2度訪問させて頂きました。一度目は2004年。社屋の地下に張り巡らされたカーヴを案内して頂きました。そして2度目は2008年。今度は、ボーヌの北隣りの村、サヴィニー・レ・ボーヌ村Savigny-Lès-Beauneに行きました。というのも、2005年、ブシャール・ペール・エ・フィス社はこの地に最新鋭の醸造所を新たに設けたからです。

2008年の訪問はちょうど収穫時期でした。一年で最も忙しい時なのですが、次々とぶどうが搬入されてくる醸造所、そしてまさに収穫の最中の畑などを案内して頂きました。
Bouchard 選果
Bouchard4 白ぶどうも選果
Bouchard6
まさに、ぶどうからワインが生まれる現場です。
Bouchard10
Bouchard9
ドメーヌものも、ネゴシアンものも上質です。良いぶどうを、テロワールの表現に努め醸すブシャール・ペール・エ・フィス。今後も素晴らしいワインを世に送り出していくことでしょう。

Clos Yは、10月8日のブルゴーニュ ステップ・アップ講座 続編のテーマを「ボーヌとその周辺」とし、それぞれのアペラシオンの代表的な銘柄の試飲も行います。ボーヌ代表として、ブシャール・ペール・エ・フィスの「ヴィーニュ・ド・ランファン・ジェジュ」が登場します!

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ワイン・コラム 第161回 イタリアの話 プロセッコ編

スパークリング・ワイン。

ワインの中でも、何かしらの方法を用いてワインに発泡性を持たせたものです。上質なワインは醸造中に発生する炭酸ガスをワイン中に取りこんで造ります。

フランス北東部、シャンパーニュ地方で造られるシャンパーニュChampagneというスパークリング・ワインが世界で最も有名ですね。日本では「シャンパン」の名前で親しまれています。本来シャンパンというものはこのシャンパーニュ地方で造られた、原産地保護されているスパークリング・ワインのみを指します。

他にはカジュアルに楽しめるスペインのカバCava、そしてシャンパーニュ越えを目指しているイタリアのフランチャコルタFranciacorta...世界には数えきれないほどのスパークリング・ワインがあり、それぞれの土地で、その土地のぶどうを使い、「テロワール」を表現したワインになっています。

今回は、イタリア北東部で造られるプロセッコProseccoをご紹介いたします。

プロセッコは品種の名前、でしたが2009年にプロセッコを使用したスパークリング・ワインの一部がイタリアのワイン法上最高格付けであるD.O.C.G.に昇格したのをきっかけに、その名がグレラGleraという、地元で使われてきた名前に改められました。同時に、プロセッコという単語は、D.O.C.G.に昇格しなかったかつてのプロセッコ品種を用いて造られるスパークリング・ワインのD.O.C.名として現在は使われています。

ぶどう品種の名前が、ワインの名前にすり替わってしまったわけです。

ややこしいですね。整理すると、2014年現在は、プロセッコというのはカジュアルな(D.O.C.G.ではない)スパークリング・ワインの名前。そのプロセッコ・ワイン(そしてD.O.C.G.に昇格したスパークリング・ワイン)の原料となるぶどう品種名はグレラ、というわけです。

私は2013年の秋に、ヴェネト州北部に位置するプロセッコの産地に行ってまいりました。特に興味があるのはD.O.C.G.に指定された地域、中でも最高のぶどうが収穫できるとされるカルティッツェCartizzeでした。

ヴェネツィアのマルコ・ポーロ空港から北西へ50kmほど、ヴァルドッビアーデネValdobbiadeneの町へ行き、ヴァルドValdo社を訪問しました。
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事前に訪問の交渉を続けたのですが、残念ながらお互いの時間が合わず、短いテイスティングだけさせて頂きました。短時間でしたが最上級品のカルティッツェのワインまで開けて頂きまして、良い勉強をさせて頂きました。

その後カルティッツェ地区の畑へ。グレラによるスパークリング・ワインは、例えD.O.C.G.銘柄でも決して超高価ではありません。そのようなワインを生みだす畑ですが、上質なぶどうが収穫できそう、同時に農作業が大変そうな斜面畑です。
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このような畑での1年の重労働、そして完成したワインの品質を考えると、「あり得ない」値付けがされています。私も含め、ワイン愛好家にとっては上質なワインが安ければ有り難いことなのですが...

肝心のワインの品質ですが、細やかな泡を持つ、少し甘味が感じられるタイプが主流となっています。その点では世界のスパークリング・ワインの中でも独自の立ち位置にいますが、最近では辛口のいわゆるブリュットBrutも増えてきています。

世界的に流行りのグレラによるスパークリング・ワイン、気軽に楽しめるスパークリング・ワインのひとつとして、覚えておいて頂いて損は無いと思います。

Clos Yは、9月28日からイタリア・ワイン基礎講座を始めます。第1回のテーマはイタリア概論。イタリア全般のお話をいたします。3種類の試飲ワインには、D.O.C.G.格付けのグレラのスパークリング・ワインも含まれております。ご興味がございましたらご連絡ください。

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ワイン・コラム 第160回 ブルゴーニュ地方の話 ルイ・ラトゥール編

コルトンCorton

ブルゴーニュ地方、コート・ド・ボーヌ地区唯一の赤ワインのグラン・クリュです。

ラドワ・セリニーLadoix-Serrigny村、アロース・コルトンAloxe-Corton村、そしてペルナン・ヴェルジュレスPernand-Vergelesses村、これら3ヵ村にまたがり、コルトンの丘があります。
Pernandから
遠くからでも目立つ、ぽこっとした丸いこの丘の日当たりの良い部分にはぶどうが植えられていて、特に上質なぶどうが収穫できる畑はコルトンやコルトン・シャルルマーニュCorton-Charlemagneといったグラン・クリュに格付けされています。

コート・ド・ニュイのグラン・クリュ、例えばマジ・シャンベルタンMazis-Chambertinやボンヌ・マールBonnes-Maresなどに比べると、コルトンの赤はやや地味な感じがあります。一般的なコルトンの価格がグラン・クリュとしては控えめで、それより高価なプルミエ・クリュもたくさんあることを考えると当然なのかもしれませんが、このアペラシオンを引っ張っていくような傑出した生産者が多く無いこともその理由の一つと言えるでしょう。

コルトンの優れた生産者としては、ボノー・デュ・マルトレイBonneau du Maltray、トロ・ボーTollot-Beaut、ブシャール・ペール・エ・フィスBouchard Père et Fils、ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレDomaine de la Vougeraie(近年ではD.R.C.)などが挙げられますが、今回はコルトン最大の所有者でるルイ・ラトゥールLouis Latourをご紹介いたします。

1731年からの歴史を持つこの生産者は、今日ではブルゴーニュだけでなく南仏でもワイン造りを行っていて、多くのアペラシオンを手掛けています。一般的には「ネゴシアン」としての認識が強いことと思われますが、自社畑を所有するドメーヌとしての顔も持ち合わせています。

極上のロマネ・サン・ヴィヴァンRomanée-Saint-Vivantなども造っていますが、この生産者のハートはコルトンにあるようです。

私がこのメゾンを訪問した時、まずはボーヌの街中にあるオフィスを訪ねました。するとすぐに車でコルトンの丘まで移動して、そこにある醸造所を案内してくださいました。

こだわりのある醸造設備や醸造方法など面白い点がありますが、私が興味深いと思う部分は、この生産者は複数のコルトンを造り分けているところです。

まずは、一般的な「コルトンCorton」。コルトンというグラン・クリュは複数の畑の集合体ですが、あるひとつの畑のぶどうのみからコルトンを造る場合、その畑の名を表記することができます。例えば、コルトン・ブレッサンドCorton Bressandesなど。ルイ・ラトゥールのコルトンの一番下に位置するこのキュヴェは、コルトンの複数の畑のぶどうをブレンドしたもので、畑名を名乗ることはできません。

それから、畑名入りのコルトン。コルトン・クロ・ド・ラ・ヴィーニュ・オ・サンCorton Clos de la Vigne Au Saintなど。普通に考えると、畑まで絞り込んだ、コルトンの中でも一番上に来るものです。しかし、ルイ・ラトゥールにはこの上があります。

それが、同社の看板ワインであるシャトー・コルトン・グランセイChâteau Corton Granceyです。ルイ・ラトゥールの自社畑のコルトン4つの畑の高樹齢のぶどうをブレンドして造ります。同社のコルトンの最上品、であるのかもしれませんが、ブルゴーニュの真の愛好家は畑の表現を確かめたいもので、複数畑のブレンドものには興味が無い、という方もいらっしゃるかもしれません。

今回はコルトンの話が中心になりましたが、同社のグラン・クリュの白、コルトン・シャルルマーニュはコルトンの赤以上の高い評価を得ています。ひとまずコルトンがどのようなワインか確かめたい場合には、この造り手のコルトンはひとつの基準になることでしょう。
Corton コルトン上部から

Clos Yは、9月から始まるブルゴーニュ ステップ・アップ講座 続編の第1回の内容をコルトンとその周辺とし、ルイ・ラトゥールの畑名入りのコルトンも試飲に登場してもらいます。ご興味がございましたらご連絡ください。

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