Home > Archives > 2014-09
2014-09
ワイン・コラム 第162回 ブルゴーニュ地方の話 ブシャール・ペール・エ・フィス編
ドメーヌは自らが栽培するぶどうからワインを造るもので、家族経営の小規模な生産者が多いです。それに対しネゴシアンは他者が栽培したぶどうを購入してワインを造る、もしくは他者が生産したワインを購入してそれを熟成させて販売するもので、規模の大きな会社が多いです。
しかしその図式ももはや過去のものになりつつあります。
今日では、家族経営の小規模ドメーヌが小規模ネゴシアンとして購入ぶどうからワインを造るケースが増えています(その場合、同じ人間がワインを造ってもドメーヌものとネゴシアンものは別会社の名前を用い、ラベルも異なります。そうでないと区別がつかないですね。)
また、規模の大きなネゴシアンが自社畑を取得し、ドメーヌものとしてワインを造っています。特に名の知れた、規模の大きなネゴシアンは所有する畑の面積もとても広く、ドメーヌとして見逃せない存在になっています。
今回はそのようなネゴシアン兼ドメーヌで、上質なワインを生産しているブシャール・ペール・エ・フィスBouchard Père et Filsをご紹介いたします。
ブルゴーニュ地方のワイン文化の中心の町、ボーヌBeaune。城壁に囲まれた、まさにワインの町ですが、ブシャール・ペール・エ・フィスの社屋は鉄道の駅からまっすぐ町に向かって進んだ、城壁を入ってすぐのところに位置しています。
この造り手を、私は2度訪問させて頂きました。一度目は2004年。社屋の地下に張り巡らされたカーヴを案内して頂きました。そして2度目は2008年。今度は、ボーヌの北隣りの村、サヴィニー・レ・ボーヌ村Savigny-Lès-Beauneに行きました。というのも、2005年、ブシャール・ペール・エ・フィス社はこの地に最新鋭の醸造所を新たに設けたからです。
2008年の訪問はちょうど収穫時期でした。一年で最も忙しい時なのですが、次々とぶどうが搬入されてくる醸造所、そしてまさに収穫の最中の畑などを案内して頂きました。
選果
白ぶどうも選果
まさに、ぶどうからワインが生まれる現場です。
ドメーヌものも、ネゴシアンものも上質です。良いぶどうを、テロワールの表現に努め醸すブシャール・ペール・エ・フィス。今後も素晴らしいワインを世に送り出していくことでしょう。
Clos Yは、10月8日のブルゴーニュ ステップ・アップ講座 続編のテーマを「ボーヌとその周辺」とし、それぞれのアペラシオンの代表的な銘柄の試飲も行います。ボーヌ代表として、ブシャール・ペール・エ・フィスの「ヴィーニュ・ド・ランファン・ジェジュ」が登場します!
講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
ワイン・コラム 第161回 イタリアの話 プロセッコ編
ワインの中でも、何かしらの方法を用いてワインに発泡性を持たせたものです。上質なワインは醸造中に発生する炭酸ガスをワイン中に取りこんで造ります。
フランス北東部、シャンパーニュ地方で造られるシャンパーニュChampagneというスパークリング・ワインが世界で最も有名ですね。日本では「シャンパン」の名前で親しまれています。本来シャンパンというものはこのシャンパーニュ地方で造られた、原産地保護されているスパークリング・ワインのみを指します。
他にはカジュアルに楽しめるスペインのカバCava、そしてシャンパーニュ越えを目指しているイタリアのフランチャコルタFranciacorta...世界には数えきれないほどのスパークリング・ワインがあり、それぞれの土地で、その土地のぶどうを使い、「テロワール」を表現したワインになっています。
今回は、イタリア北東部で造られるプロセッコProseccoをご紹介いたします。
プロセッコは品種の名前、でしたが2009年にプロセッコを使用したスパークリング・ワインの一部がイタリアのワイン法上最高格付けであるD.O.C.G.に昇格したのをきっかけに、その名がグレラGleraという、地元で使われてきた名前に改められました。同時に、プロセッコという単語は、D.O.C.G.に昇格しなかったかつてのプロセッコ品種を用いて造られるスパークリング・ワインのD.O.C.名として現在は使われています。
ぶどう品種の名前が、ワインの名前にすり替わってしまったわけです。
ややこしいですね。整理すると、2014年現在は、プロセッコというのはカジュアルな(D.O.C.G.ではない)スパークリング・ワインの名前。そのプロセッコ・ワイン(そしてD.O.C.G.に昇格したスパークリング・ワイン)の原料となるぶどう品種名はグレラ、というわけです。
私は2013年の秋に、ヴェネト州北部に位置するプロセッコの産地に行ってまいりました。特に興味があるのはD.O.C.G.に指定された地域、中でも最高のぶどうが収穫できるとされるカルティッツェCartizzeでした。
ヴェネツィアのマルコ・ポーロ空港から北西へ50kmほど、ヴァルドッビアーデネValdobbiadeneの町へ行き、ヴァルドValdo社を訪問しました。
事前に訪問の交渉を続けたのですが、残念ながらお互いの時間が合わず、短いテイスティングだけさせて頂きました。短時間でしたが最上級品のカルティッツェのワインまで開けて頂きまして、良い勉強をさせて頂きました。
その後カルティッツェ地区の畑へ。グレラによるスパークリング・ワインは、例えD.O.C.G.銘柄でも決して超高価ではありません。そのようなワインを生みだす畑ですが、上質なぶどうが収穫できそう、同時に農作業が大変そうな斜面畑です。
このような畑での1年の重労働、そして完成したワインの品質を考えると、「あり得ない」値付けがされています。私も含め、ワイン愛好家にとっては上質なワインが安ければ有り難いことなのですが...
肝心のワインの品質ですが、細やかな泡を持つ、少し甘味が感じられるタイプが主流となっています。その点では世界のスパークリング・ワインの中でも独自の立ち位置にいますが、最近では辛口のいわゆるブリュットBrutも増えてきています。
世界的に流行りのグレラによるスパークリング・ワイン、気軽に楽しめるスパークリング・ワインのひとつとして、覚えておいて頂いて損は無いと思います。
Clos Yは、9月28日からイタリア・ワイン基礎講座を始めます。第1回のテーマはイタリア概論。イタリア全般のお話をいたします。3種類の試飲ワインには、D.O.C.G.格付けのグレラのスパークリング・ワインも含まれております。ご興味がございましたらご連絡ください。
講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
Home > Archives > 2014-09
- サイト内検索
- Feeds
- Meta