Home > Archives > 2013-08

2013-08

ワイン・コラム 第136回 ロワール地方の話 サンセール編

8月末。涼しい日もあり、夜には秋の虫の声も聞こえるようになりましたが、まだ暑い日が続きますね。

 

暑い日には爽やかなワインを良く冷やして楽しみたいところです。

 

フランス、ロワール地方のミュスカデMuscadetや、ボルドー地方のアントル・ドゥー・メールEntre-Deux-Mers、ポルトガルのヴィニョ・ヴェルデVinho Verde、ドイツ、モーゼルMoselのリースリング、フランス、プロヴァンスProvence地方のロゼなど、とても良いでしょう。

 

サンセールSancerreのワインも、この時期重宝すると思います。

 

サンセールのワインは、パリから約170km南に位置するサンセールの町の周辺のぶどう畑のぶどうから造られます。

 

サンセールは小さな町ですが、小高い丘にあり、遠くから見えてくるその風景に、モン・サン・ミシェルが思い出されました。美しい風景です。

DSC00980 サンセールからの風景 

サンセールの白ワインは、ソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blanc100%で造られます。高級なキュヴェ(生産量が少ないため、あまり目にする機会は多くないと思います。)には樽が使われ、秋から冬に飲みたいような味わい深いものがありますが、一般的には醸造に樽を用いず、フレッシュに仕上げられます。柑橘類やフレッシュ・ハーブの香りを持ち、爽やかな酸味を楽しむことができます。

 

サンセールのワインのラベルに、その原料となるぶどうが育った畑名が記されることは多くありませんが、ひとつ、極上の畑を紹介したいと思います。それは、サンセールの町から西に3kmほどの所にある、シャヴィニョールChavignol村にあります。

 

その名もレ・モン・ダネLes Monts Damnés。シャヴィニョール村に行けば嫌でも目に入る、南向きの斜面畑です。日当たり、水はけが良く、いかにも良く熟したぶどうが収穫できそうな立派な畑です。畑を知った上で、その畑のぶどうからできたワインを飲むことは、興味深く、ワインの醍醐味のひとつですね。

 

シャヴィニョール村と言えば、クロッタン・ド・シャヴィニョールCrottin de Chavignolと言う名の山羊のミルクのチーズにより、その名を知られています。小さな丸い形のチーズで、フランスでは広く親しまれています。チーズは熟成により風味が変化しますが、このチーズは特に熟成による風味の違いが顕著で面白いと思います。若いうちは水分が少し多くややしっとりとしていて、少し柑橘類やハーブを思わせる香りがあり、味わいは酸味がややしっかりと感じられます。熟成が進むにつれ水分が飛び、チーズ自体一回り小さくなります。身がしまり、カットするのが少し大変なほどです。そのため熟成したこのチーズ専用のナイフもあるほどです。この段階まで来ると、ナッツ系の香りが出てきて、味わいは酸味が落ち着いてこくが出てきて、味わいの余韻が非常に長くなります。

 

同じ産地と言うこともあり、クロッタン・ド・シャヴィニョールはサンセールの友、というイメージがありますが、フレッシュタイプのサンセール白とは、若い状態のクロッタン・ド・シャヴィニョールを合わせると良いでしょう。

 

さて、サンセールにはロゼと赤もあります。どちらもピノ・ノワールPinot Noir100%で造られます。ピノ・ノワールの本場ブルゴーニュのワインに比べると、より北で冷涼な気候を反映して、線の細い、早飲みタイプのものが一般的ですが、中には新樽を使って熟成された、極上ワインも少量ですが造られています。

 

うだるような夏の暑さも終わりを迎えると寂しいものです。暑いうちに、暑い中で楽しむ爽やかワイン、試してみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yは、9月7日(土曜日)のお昼に、「偉大なワインを飲む!」単発講座を企画しております。ブラン・フュメ・ド・プイィの王者、ディディエ・ダギュノーがサンセールで造る希少なレ・モン・ダネも登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想等ございましたら下記メール・アドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

ワイン・コラム 第135回 シャンパーニュ地方の話 上質なスティル・ワインに注目!編

フランス北東部に位置する、パリから一番近いワイン産地、シャンパーニュChampagne地方。

 

言わずと知れた、世界最高峰のスパークリング・ワインの産地として名声を誇っていますが、ひっそりとスティル・ワイン(発泡性では無い、いわゆる普通の白ワイン、赤ワイン、ロゼ・ワイン。)が造り続けられていることはあまり知られていないようです。

 

今回は、シャンパーニュ地方で造られているスティル・ワインをご紹介したいと思います。

 

まず、シャンパーニュ地方には、原産地呼称(A.O.P.)として、

 

1、  Champagne

2、  Coteaux Champenois コトー・シャンプノワ

3、  Rosé des Riceys ロゼ・デ・リセイ

 

の3つがあります。

 

1のChampagneは、スパークリング・ワイン専門のアペラシオンです。いわゆる「シャンパン」です。

 

2のコトー・シャンプノワは、シャンパーニュ地方で造られるスティル・ワインで、赤ワイン、白ワイン、ロゼ・ワインの生産が認められています。白ワインにはChardonnayシャルドネが、赤そしてロゼ・ワインにはPinot Noirピノ・ノワールとPinot Meunierピノ・ムニエが用いられます。

 

有名メゾンが造る高品質なコトー・シャンプノワ(日本で入手可)を挙げると、

Egly-Ouriet Coteaux Champenois Ambonnay Rouge

Bollinger Coteaux Champenois La Côte aux Enfans

Henri Giraud Coteaux Champeois Blanc

などがあります。

 

個人的に忘れられないのは、

René Geoffroy Coteaux Champenois Cumières Rouge Pinot Meunier 2008

DSC00671 - コピー 

他、日本ではあまり見かけませんが、Laurent-Perrier, Moët et Chandon, Gatinoisなどもコトー・シャンプノワを造っています。

 

コトー・シャンプノワは、シャンパーニュ(スパークリング・ワイン)に用いられるようなコルク栓が使われている場合が多いようです。その場合、外観はシャンパーニュ(スパークリング・ワイン)のように見えます。特にフランスのワイン屋さんなどで、シャンパーニュ(スパークリング・ワイン)を買ったつもりなのに実はコトー・シャンプノワを買ってしまった、ということが起き得ますので、これからフランスに行ってシャンパーニュを買うつもりでいらっしゃる方はコトー・シャンプノワの存在を頭の片隅にでも入れて置かれると良いかもしれません。

 

さて、コトー・シャンプノワの品質ですが、シャンパーニュ地方はフランスでも最北のワイン産地で、冷涼なところです。そこで育つぶどうはあまり糖度が上がらず、酸味が強い果汁が得られます。それがそのままワインになりますので、濃縮感が強くなく、色あいも淡く、酸味のしっかりとしたワインが多いです。例えば、コトー・シャンプノワの赤を、同じ価格のブルゴーニュのピノ・ノワールと比べると薄くてがっかり、ということになる場合が多いと思います。

 

しかし、上に挙げたような、とても上質なコトー・シャンプノワもありますし、近年は温暖化の影響もあるのか、ぶどうの成熟度が増し、過去に比べ上質なコトー・シャンプノワが増えてきたのが実感されます。日本で見かけないコトー・シャンプノワがフランスなどで売られていたら、遊び半分で試してみるのも良いでしょう。

 

続いて、3のロゼ・デ・リセイですが、このワインはシャンパーニュ地方南部Les Riceysレ・リセイ村周辺で栽培されるピノ・ノワールのみから造られるロゼ・ワインです。つまり、ロゼ・デ・リセイといえば、必ずピノ・ノワール100%のロゼ・ワインということです。

 

コトー・シャンプノワのワインに比べると、ロゼ・デ・リセイは、原料となるぶどうが南部のより暖かい土地で育っていますので、ロゼとは言えより厚みのあるものが多いです。

Les Riceys 樹 Les Riceysの畑

Les Riceys 川 村に流れる川 

世界でロゼ・ワイン・ブームが起こっていると言われています。大体のロゼは早飲みタイプのフレッシュでフルーティなもので、それはそれで魅力があります。ただ、ピノ・ノワールを原料とした、冷涼な地域で造られるロゼは、クールな雰囲気をたたえた、独特の美しさがあるように感じられます。ロゼ・デ・リセイはまさにそのようなワインで、生産量こそ多くないものの、フランス最上のロゼ・ワインのひとつと言えるものがあると思います。

 

シャンパーニュ地方のスティル・ワイン。あまり見かけることはありませんし、見つけたとしても決して安くは無い価格が付けられています。今までは好奇心の強い、もしくは勉強熱心な人が試せばよいもの、というようなワインだったように思われますが、近年素直に心を打つ、驚くべき品質のものが増えてきているようです。

 

暑い時期は赤ワインを敬遠しがち、という方など、試してみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yは、9月1日のレストラン講座のテーマを「シャンパーニュ」とし、フル・コースのフランス料理(☆付きレストランが会場です!)をシャンパーニュ地方のワインと合わせてお楽しみ頂きます。メインのお肉料理には、重厚感のあるロゼ・デ・リセイに登場して頂きます!ご興味がございましたらご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想等ございましたら下記メール・アドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

Home > Archives > 2013-08

サイト内検索
Feeds
Meta

Return to page top