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2018-01

ワイン・コラム 第193回 イギリス・ワインの話 ナイティンバー編

イギリス産のワイン

今日ではその高い品質が評価され、少しずつワイン市場で認知されています。

白ワイン、ロゼ・ワイン、赤ワイン等ありますが、特に高い評価を得ているのがスパークリング・ワインです。

イギリス南部で造られるスパークリング・ワインが高品質であることは、原料となるぶどうが育つ環境を見れば納得がいきます。それというのも、世界に名だたるスパークリング・ワイン産地であるフランスのシャンパーニュ地方とイギリス南部は距離的に近く、土壌は共通した白亜質とのことです。

私は2015年9月にイングランドのWest Sussex州にあるナイティンバーNyetimberを訪問しました。
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イギリスのワインと言えば、私が2002年にイギリスを旅した際、お店で探してみましたが、見つけられたのは甘口の酒精強化ワインのみだったと記憶しております。

ナイティンバーの設立は1988年ですので、その頃には既に高品質なイギリス・ワインがあったのですね。

さて、ナイティンバーは、海(イギリス海峡)から20kmほどの丘陵地に位置しています。土壌はやはりシャンパーニュ地方のものととてもよく似ている白亜質。151haの所有地には、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエが栽培されています。
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私が訪問した2015年は、収穫は10月半ばになるだろうということでした。シャンパーニュ地方の収穫より1ヵ月近く遅いですから、ぶどうの成熟がゆっくり進むのでしょう。全て手摘みで行うようです。

趣のある庭園近くにある建物で、5種類のテイスティングをさせて頂きました。
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クラシック・キュヴェ Classic Cuvée 2010
ブラン・ド・ブラン Blanc de Blancs 2007
ブラン・ド・ブラン Blanc de Blancs 1996
ロゼ Rosé 2009
ドゥミ・セック Demi-Sec N.V. (2006年が主体、ドザージュ44g/l)

ワインの質はやはり素晴らしく、何も言わずに出されればシャンパーニュと答えてしまうと思います。マロ・ラクティック発酵は2009年までは行っていませんでしたが、2010年から行うようになりました。基本的に樽は使いませんが、2007年から造り始めたロゼにだけ使用するようです。ルミュアージュは機械で行います。コルクはDiamなのでほぼブショネの心配は無いでしょう。

ナイティンバーの他にも、上質なワインを造るワイナリーがイギリスには複数あります。

シャンパーニュの有名メゾンも、地球温暖化を見越してか、イギリスに進出しています。今後ますます注目を集めるワイン産地であることは間違いありません。

未経験の方は是非イギリスのスパークリング・ワインを試してみてください。安価ではありませんが、期待は裏切られないことと思います。

Clos Yは、2月4日のレストラン講座で貴重なナイティンバー クラシック・キュヴェ 2005をご用意いたします。ご興味がございましたら是非ご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第192回 2017年

2018年最初のコラムでは、2017年を振り返ります。

2017年はなんといってもソムリエ・コンクールが多い年でした。

4月には3年に一度の全日本最優秀ソムリエ・コンクール(以下全日本)本選が行われ、それに先立ち3月に予選が行われました。

7月にはWines of Portugal Japanese Sommelier of the Year 2017 (ポルトガルワイン杯。予選5月)

10月にはポメリー・ソムリエコンクール2017(予選9月)

11月には第11回JETCUP イタリアワイン・ベスト・ソムリエ・コンクール(予選9月)

そして12月には第1回ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール2017(予選11月)が行われました。

ひと口にソムリエ・コンクールと言っても、コンクールごとに課題が異なります。

ポルトガル杯はポルトガル・ワインについて、JETCUPはイタリア・ワインについて、ボルドー&ボルドー・シュペリュールソムリエコンクールはボルドーとボルドー・シュペリュールを中心に問題が出題されます。

私が参加したのは全日本、ポメリー・ソムリエコンクールそしてボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクールでした。

ポメリー・ソムリエコンクールは、シャンパーニュ・ポメリーが主催。9年前に無くなってしまいましたが、私世代には馴染みのある名コンクールの復活です。シャンパーニュのみならず、世界のスパークリング・ワイン、そして日本酒スパークリングも出題範囲に含まれていました。

なんといっても困難だったのが全日本です。

出題範囲は特にありません。フランス、イタリアなど有名なワイン産出国はもちろん、東欧や中東、北欧、中国など世界中のワインやぶどう栽培、醸造に関する問題が出題されます。さらにはワインだけでなく、リキュール、蒸留酒、日本酒、ビール、コーヒー、紅茶、ミネラル・ウォーター、世界のノン・アルコール飲料、3つ星レストランに関する問題など、対策に限りはありません...

今年3月の予選に向けて、昨年より準備を続けてきましたが、どれだけやっても全く十分ではありません。

そして予選当日、筆記試験に臨み、あまりの出来なさに、今までの努力は何だったのかという思いにかなり落ち込みました。ショックでした。日常でなかなか感じることのない衝撃です。幸い予選を通ったのでその点は良かったですが、勉強した割にあまりよくできなかった衝撃が残っていて、素直に喜ぶことができないほどでした。

全日本の順々決勝は、主催の日本ソムリエ協会が動画も公開していますので内容をご存知の方もいらっしゃると思いますが、「提案」する課題が多かったです。あるワインをテイスティングしてそれを購入するか否か、ワイン持ち込みのお客様に対してソムリエとしてできることの提案、日本ソムリエ協会のイヴェントの提案など。ただワインをサービスするだけではない、「世界的に求められるソムリエ像」が浮き彫りとなりました。

結果として、私は準々決勝を突破することができましたが、決勝には駒を進めることができませんでした。

続くポメリーでは決勝に進出し、3位。ボルドーでは2位という結果になりました。

2017年はコンクールの優勝に手は届きませんでしたが、今年もコンクールのみならず、日々ソムリエとしての研鑽を積み、成長できるよう努力して参ります。

では本年も、宜しくお願い申し上げます。

Clos Y代表
中西 祐介

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vinclosy@aol.com

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