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2010-11

ワインコラム 第64回 知られざる名産地の話 ソーシニャック編

このワインコラムでは、上質なワインを産するにもかかわらず知名度の低いワイン産地をご紹介していきたいと思います。

 

今回ご紹介するのは、フランス南西部に位置するソーシニャックSaussignacというワイン産地です。

 

ソーシニャックはフランス南西部のベルジュラックBergerac地区にあります。ベルジュラック地区は、ベルジュラックの町の周辺を指しますが、ボルドーBordeauxの東に位置し、栽培されているぶどう品種やワインのスタイルなど、ボルドーの延長と言うことができます。

 

ソーシニャックは甘口ワイン専門のアペラシオンです。セミヨンSémillonを主体にソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blancなどをブレンドして造られます。熟したぶどうを樹についたまま干しぶどう状にした遅摘みで造られるタイプと、貴腐ぶどうによる、有名なソーテルヌSauternesのようなタイプがあります。

 

ソーシニャックの近くにはモンバジヤックMonbazillacなど、同様のワインを産する産地がありますので、この辺りは甘口ワイン造りに適した環境があるのでしょう。

 

私は2004年9月にラザック・ドゥ・ソーシニャックRazac de Saussignac村にあるシャトー・ラ・モーリーニュChâteau La Maurigneを訪問しました。緩やかに起伏する丘が連なる牧歌的な土地で、車を走らせていると心が穏やかになります。

 

このシャトーでは、ソーシニャックのほかにコート・ド・ベルジュラックCôtes de Bergeracの赤ワインなども造っています。

 

ソーシニャックに関しては、3つのキュヴェを造っています。まずはシャトーChâteauというキュヴェ、次にキュヴェCuvéeというキュヴェ、そして最上品としてフロリレージュFlorilègeというキュヴェです。ぶどうの状態により造り分けるのですが、上級キュヴェに向かうほど濃縮されたぶどうを用い、熟成期間を長く取ります。フロリレージュに関しては3年から4年という長い樽熟成期間を取っています。

 

シャトーというキュヴェはそれほど強い濃縮感はなく、フルーティーさが際立つ心地よい甘口のワインです。キュヴェというキュヴェはシャトーに比べ濃縮感があり、樽熟成のニュアンスも強くなります。最上級のフロリジェーヌは上質なソーテルヌに匹敵する濃縮感、凝縮された甘味、複雑なアロマを持つまさにグラン・ヴァンです!それでも知名度の低さゆえか、価格は低めに設定されています。このような、尊敬すべき生産者の上質なワインがもっと広く知られ、入手し易くなればワイン・ライフがより豊かになることでしょう。

Saussignac - コピー 

Clos Yでは近いうちにソーシニャックを含めたレストラン講座を企画いたしますので、ご興味のある方は楽しみにしていてください!

 

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ワインコラム 第63回 珍しいワインの話

世の中には実に多くのワインがありますね。

 

フランスのボルドーを例に見ても、たくさんのシャトーがあり、過去何十年ものヴィンテージがあります。さらに、毎年新しいヴィンテージのワインが生まれていきます。

 

人ひとりが、一生をかけても世界中のすべてのワインを飲むことは不可能だと私は思います。

 

それほどたくさんのワインがあるわけですから、中には「こんなのあり?!」というようなワインも存在するわけです。

 

今回は、そのような面白い、不思議なワインをご紹介いたします。

 

まずは、そろそろ新酒が出る頃ですから、地元でしか飲めないボルドーの新酒、ブーリュBourruです。

Bourru - コピー 

発酵中の状態で、甘さと炭酸ガスがある、一年でもほんのわずかな時期にしか手に入らない珍しいものです。

 

続いて、ボルドー、グラーヴGraves地区のワインです。グラーヴというアペラシオンでは、赤ワイン、白ワインの生産が認められていますが、甘口のワインは認められていません。ところが、甘口のグラーヴを見つけてしまいました!

Graves Moelleux - コピー 

Gravesという表記の下に、赤字でMoilleuxと記されておりますが、フランス語で「柔らかい」という意味です。ワイン用語としては、甘口を意味します。甘口が認められていないのになぜ甘口があるのか...謎です。

 

さらにボルドーから、シャトーで直接買う以外に入手できないワインをご紹介いたします。シャトー・コス・デストゥルネルChâteau Cos d’EstournelVin de Réserveです。

Cos Reserve - コピー 

偉大なヴィンテージ、1995年のワインの澱の部分を瓶詰めしたものです。ろ過をしたのか、澱は見られませんでした。

 

続いて南フランスから、ぶどう品種名をラベルに表記したワインです。

Viognier 

Viognierとはぶどう品種の名前ですが、何故かその文字がAppellation Contrôléeの文字で挟まれています。つまり、A.O.C. Viognierとなってしまっているわけですが、そのようなアペラシオンは存在しません。実際ラベル上部にはヴァン・ド・ペイ・ドックVin de Pays d’Ocと明記されています。...不思議です。

 

最後に、今月の第3木曜日に解禁されるボージョレ・ヌーヴォーBeaujolais Nouveauにちなんで、原料であるガメイGamayの珍しいものをご紹介いたします。

Sorrenberg Gamay 

これはオーストラリアのソーレンベルグSorrenbergという造り手さんが手掛けるガメイです。フランス以外でガメイを手掛ける造り手さんはほとんどいないので、珍しいと言えると思います。上質なワインでした!

 

世の中にはさらに珍しい、面白いワインがたくさん隠れていると思います。そのようなワインを探してみるのもワインの楽しみのひとつかもしれませんね。

 

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