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2014-05

ワイン・コラム 第155回 ブルゴーニュ地方の話 クリオ・バタール・モンラシェ編

数ある世界のワイン銘醸地の中でも、特に人気の高いブルゴーニュ地方。

この土地では畑ひとつひとつに名前が付けられ、さらに特級Grand Cru、1級Premier Cruなど格付けもされています。

最上級の格である特級の畑グラン・クリュからは素晴らしいワインが生まれ、愛好家の垂涎の的となっています。

今回は、それらブルゴーニュ地方のグラン・クリュの中でも面積が小さく、希少なクリオ・バタール・モンラシェCriots-Bâtard-Montrachetをご紹介いたします。
Criots-Batard-Montrachet

ブルゴーニュ地方で、白ワインを産するグラン・クリュはミュジニーMusignyとコルトンCorton系、そしてモンラシェMontrachet系と3ヵ所しかありません。

中でも何も付かないモンラシェ(いわゆるル・モンラシェLe Montrachet)は世界中の辛口白ワインの頂点に立つワインと言って差し支えないでしょう。

モンラシェ系と前述しましたが、その偉大なモンラシェの周りに、「モンラシェ」という名前が付くグラン・クリュが4つあります。シュヴァリエ・モンラシェChevalier-Montrachet、バタール・モンラシェBâtard-Montranet、ビアンヴニュ・バタール・モンラシェBienvenues-Bâtard-Montranet、そしてクリオ・バタール・モンラシェです。

ピュリニー・モンラシェPuligny-Montrachetとシャサーニュ・モンラシェChassagne-Montrachetという単語がありますが、これらは村の名前であり、そしてその村で産されるワインの名前でもあります。これらは、ワインとしましてはグラン・クリュではありません。世界の頂点に立つような偉大なワインを産するモンラシェという畑が、ピュリニー村とシャサーニュ村にまたがって存在しているのですが、それぞれの村が偉大な畑の名を自らの村の名前に付け加えた結果、現在の名になっています。

モンラシェ系のグラン・クリュは、それぞれ微妙に質が異なりますが、やはり偉大な白ワインです。クリオ・バタール・モンラシェは、中でも最小の1.57haしかない極小畑です。偉大なモンラシェの斜め向かいに位置していて、南を向いていて、少し赤っぽい土壌です。
Criots-Batard-Montrachet2

この小さな畑を複数の生産者が分割所有しているため、1樽(750mlのボトル約300本)以上のワインを生産できる面積を所有するのは僅か4人という状況です。そのため、ほとんど見かけることがないワインです。希少性に関してはモンラシェの上を行くグラン・クリュです。

この畑はシャサーニュ・モンラシェ村に属していますが、この村の平均的なワインに比べると、香りの複雑さ、強さ、果実味の豊かさ、ボリューム、余韻の長さにおいて勝り、全体的に密度が高いワインです。流石グラン・クリュです。

クリオ・バタール・モンラシェ。ブルゴーニュのグラン・クリュの中でも、興味深い畑のひとつです。

Clos Yは、6月2日のレストラン講座のテーマを「ブルゴーニュ」とし、素晴らしいブルゴーニュのワインを神楽坂の名店さ々木の特別料理と合わせてお楽しみ頂きます。希少なクリオ・バタール・モンラシェも登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第154回 アルザス地方の話 マルセル・ダイス編

フランス北東部に位置するアルザスAlsace地方。

小さな村々には色とりどりの美しい家が並び、観光客が多く集まります。

この土地は美食の地としても知られています。フォワ・グラやマンステールMunsterチーズ、ボリュームのある豚肉料理...

ワインの品質も素晴らしく、ワイン愛好家の中でも特に人気の高いワイン産地のひとつです。

この地方のワインは、単一品種により造られるのが一般的です。リースリングRieslingやピノ・グリPinot Gris、ゲヴュルツトラミネールGewurztraminerなど、品種の個性が生きた華やかなタイプのワインが多いです。

今回ご紹介する生産者マルセル・ダイスMarcel Deissはアルザス地方を代表する生産者でありながら、そのワインはアルザス地方の「例外」的なものが多い、特異な造り手です。
Marcel Deiss

アルザス地方には特級Grand Cruに格付けされている畑が51あります。一般的にはアルザス地方でグラン・クリュを名乗るためには、指定されている畑のぶどうからワインを造らなければならないのはもちろん、高貴4品種と言われる限定されたぶどうだけしか使用が認められず、それもほとんどの場合単一品種でワインが造られます。

しかしマルセル・ダイスは、例えばグラン・クリュであるマンブールMambourgの場合、この地はピノに適しているという考えの下、Pinot Blanc, Pinot Gris, Pinot Noir, Pinot Beurot, Pinot Meunierを栽培し、ワインを造っています。Pinot Meunierなどアルザス地方でA.O.P.ワインを造るためには認められていない品種です!それを使ってでもなおグラン・クリュとしてワインを流通させることができるのはこの生産者のみでしょう。
Mambourg Mambourgの畑

マルセル・ダイスはワイン法をも変える、まさに別格の生産者なのです。

他にもこの造り手の特筆すべき点として、ぶどう品種の混植、混醸、密植(1haあたり12,700株など)、低収量(1haあたり15~20hlなど)など、枚挙に暇がありません。

ワイン造りに何でもありのような感もありますが、この造り手が目指すものはただ一つ、「テロワールの表現」です。そのために土地と真摯に向き合い、ワインに表現しています。

マルセル・ダイスのワイン、特にグラン・クリュなどは高価です。アルザス・ワインが好きな方の中でも、15,000円を払ってマンブールを飲もうと思う方は少ないようです。そのため、知名度が高い割にそのワインは謎に包まれている部分が多いように思われます。

ある土地の声を聞いてみたいと思った時、マルセル・ダイスのワインを飲んでみてはいかがでしょうか。その土地でしか表現できない何が示されているはずです。

Clos Yは、マルセル・ダイスが手掛ける全てのグラン・クリュの試飲を含むワイン講座を企画しています。ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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