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ワインコラム Archive
ワインコラム 第92回 スペインの話 リオハ編
- 2012-02-01 (水)
- ワインコラム
スペインでは、プリオラートPrioratやリベラ・デル・ドゥエロRibera del Dueroなどもありますが、やはりリオハRiojaが代表的な銘醸地と言えるでしょう。
リオハはスペイン北部、フランスの国境からそう遠くないところに位置しています。
ぶどう畑は約5万haあり、生産量も多いです。ワインショップに行くと、日本でもほとんどのお店に置いてありますね。
リオハでは白ワイン、ロゼワインも生産されていますが、有名なのは赤ワインです。一般的にはテンプラニーリョTempranilloという黒ぶどうを主体に造られます。
テンプラニーリョ
リオハは有名ですから、今回はリオハのあまり知られていない面をご紹介したいと思います。
まずはワインに使われるぶどう品種です。リオハ=テンプラニーリョの赤ワイン、というのが一般的な認識だと思いますが、テンプラニーリョを使っていないリオハの赤ワインも僅かですが存在しています。この場合、グラシアーノGracianoやガルナッチャGarnacha、マスエロMazueloなど、通常ではテンプラニーリョの補助品種として使われるぶどうが主体になります。
グラシアーノ
ガルナッチャ
マスエロ
リオハの白ワインは、フレッシュな若飲みタイプのものから樽で熟成された長期保存タイプまでいろいろありますが、珍しいものとしては遅摘みぶどうによる甘口もあります。
今日のリオハでは、伝統的なワインと近代的なワインなど、造り手の方向性に違いが見られます。イタリアのバローロBaroloのような、有名で歴史のある産地によくある傾向かもしれません。
伝統的なリオハの赤ワインは、テンプラニーリョを主体とし、アメリカン・オークの大樽で熟成。ワインの特徴としては若いうちから色調はオレンジを帯び、香りにも酸化熟成の様子が取れます。近代的なリオハの赤ワインはテンプラニーリョなどの地場品種に、場合によってはカベルネをブレンド。アメリカン・オークの他に、フレンチ・オークのバリック(225リットルサイズの小樽)も用いて熟成させます。ワインの特徴としては若いうちは黒っぽいような濃い色調を呈し、豊かな果実味を持ち、タンニンは多くても丸く、なめらかです。
バローロにしてもそうですが、優良な生産者のワインは、伝統的、近代的を問わず、とても完成度が高いですね。
濃厚なワインから、エレガントなワインまで、幅広いワインを産するリオハ。改めて注目してみてはいかがでしょうか?
Clos Yでは、2月15日のレストラン講座のテーマをスペインとし、カバ、シェリーなどスペインの代表的な産地のワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。1993のリオハの白、2種類のリオハの赤もあります。ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第91回 食材の話 ジビエ 青首鴨(コル・ヴェール)編
- 2012-01-13 (金)
- ワインコラム
秋から冬にかけて、レストランのメニューを賑わすジビエGibier。鹿、猪など、野生の動物を狩って手に入れた食材です。
私は個人的に野兎Lièvre(の煮込みà la royal)が好きですが、人気のあるのは鴨類でしょうか。
中でも青首鴨(コル・ヴェール)Col-vertは、野鴨を代表する鴨として人気を博しています。
一言で鴨と言っても、世界にはいろいろな種類があります。ジビエではなく、飼育鴨だけ見てもバルバリーBarbarie、家鴨(あひる)、合鴨(あいがも)などがあり、ジビエでは軽鴨(かるがも)、小鴨(こがも)など、さらにドゥミ・ソヴァージュ(半野生。短期間飼育した後に自然に放ったもの)で最高級とされるシャラン鴨Canard Challandaisなど...
いずれも食用としては、赤身の肉で、共通した特徴がありますが、味わいはそれぞれ微妙に異なっています。
コル・ヴェール(=青い首)は、雄の頭部が緑色をしていることに由来している呼び名です。正式名称は「真鴨」と言います。きれいな緑色の首を持つのは雄だけで、雌は全体が褐色で、鮮やかな緑色は見られません。
コル・ヴェールの肉は、飼育鴨と比較すると赤みが強く、独特の風味を持っています。特に雌は皮下脂肪が厚く、濃厚な風味を持っています。まさに、ジビエの醍醐味を楽しめる食材で、人気があります。
合わせるワインを考えてみますと(とても楽しいです!)、真っ先に挙がるのはブルゴーニュのピノ・ノワールでしょう。一般的な鴨でしたらヴィラージュ・クラスのワインやブルゴーニュA.C.クラスのものでも楽しめると思いますが、せっかくのコル・ヴェールですから、プルミエ・クリュ以上のワインと合わせたいところです。特に、ジューシーに焼き上げて、サルミ・ソースsauce salmis (がらと香味野菜を焼き、ワインとフォンを加えて煮詰め、がらのエキスを抽出したソース。)を添えて仕上げた極上の一皿には、グラン・クリュの出番でしょう!
北ローヌのエレガントかつ力強いシラーSyrahも好相性だと思います。上質なバローロBaroloも候補として挙がります...イメージとしては、繊細でいながら力強さを持った、香り高い赤ワインです。熟成した極上のロワールのカベルネ・フラン(クロ・ルジャールClos Rougeardなど)も最高だと思います。
考えていたらお腹が減ってきてしまいました(笑)。
コル・ヴェールを含むジビエは、一年の中で食べられる時期が限られています。今はジビエのとても良い季節です。是非、ジビエを食べに出かけてみてはいかがでしょうか?
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ワインコラム 第90回 2011年心に残ったワインの話
- 2012-01-04 (水)
- ワインコラム
日本では出会えない希少なものから、大手生産者が手掛けるそれほど高価でないものまで、いろいろなワインが挙がりました。やはりワインはこのような多様性が面白いですね。
さて、Clos Y中西の2011年感動ワインは以下の通りです!
1、エグリ・ウーリエEgly Ouriet シャンパーニュ レ・ヴィーニュ・ド・ヴリニーChampagne Les Vignes de Vrigny N.V. 2009年8月にデゴルジェされたものです。熟成感があり、ロースト香がしっかりと出ていました。
2、ジェローム・プレヴォー Jérôme Prevost シャンパーニュ ラ・クロズリー レ・ベギーヌ Champagne La Closerie Les Béguines (2005) ノン・ヴィンテージ・シャンパーニュなのですが、実際は2005年の収穫100%のものです。1のエグリ・ウーリエ同様、ピノ・ムニエ100%。こちらも熟成感が強く、ロースト香がしっかり出ていました。これほど芳醇でリッチなシャンパーニュはあまり多くないでしょう。
3、コト・デ・ゴマリスCoto de Gomariz リベイロ ヴィニョ・デ・エンコスタス・デ・キストス アルバリーニョ Ribeiro D.O. Viño de encostas de xistos Albariño 2009 スペイン北西部、密かに注目を集めているリベイロの白ワインです。グレープフルーツの華やかな香りが強く印象に残っています。
4、ジアルディ Gialdi ティチーノ ビアンコ・ディ・メルロ ロヴェレ Ticino D.O.C. Bianco di Merlot Rovere 2010 スイス南部、ティチーノ地区は高品質なメルロを生みだします。トップ・クラスのワインは、ボルドーのトップ・ワインに比肩するほどの品質です。この地区では、メルロによるロゼ、そして白(!)も造られています。このワインは、優良生産者ジアルディによる、樽熟成白ワインです。果実味豊かで、酸味もあり、香ばしい樽香を楽しめる、しっかりした構成の白ワインでした。
5、ルイ・ジャド Louis Jadot ヴォーヌ・ロマネ Vosne-Romanée 2006 ルイ・ジャドが素晴らしいワインを造っているのはわかっています。しかし、なかなか通常のヴィラージュ・クラスのワインを飲む機会がありません。久しぶりにヴィラージュのヴォーヌ・ロマネを飲んで、驚かされました。これほど表情豊かなワインとは!
6、キャレ・クルバン Carré-Courbin ヴォルネイ・プルミエ・クリュ クロ・ドゥ・ラ・カーヴ・デ・デュック Volnay 1er Cru Clos de la Cave des Ducs 2001 珍しい畑を試してみようと、初めてこの生産者のワインを飲みました。10年経った、それほど良くないヴィンテージのこのワイン、素晴らしかったです!果実味、酸味、ボリュームなど、必要な要素を全て押さえ、さらに複雑な豊かな香り...また手に入るのであれば、是非また飲みたいワインです。
7、ドメーヌ・デ・コント・ラフォン Domaine des Comtes Lafon ヴォルネイ Volnay 2006 この造り手は、さすが、赤も素晴らしい!やや難しいこの年で、これほどの完成度とは...入手困難なのが残念!
8、ドメーヌ・デュ・モンテイエ Domaine du Monteilletサン・ジョゼフ 赤 キュヴェ・デュ・パピー Saint-Joseph Rouge Cuvée du Papy 2008 ブラインドで試飲して、間違いなくピノ・ノワール(ヴォーヌ・ロマネ2009あたり)だろうと思ったワインです。サン・ジョゼフと聞いて愕然としました。非常に良くできた、美しいワインです。
9、オーギュスト・クラップ August Clape ル・ヴァン・デ・ザミ Le Vin des Amis 2009 ローヌ地方、コルナスのトップ生産者が手掛ける「友達のワイン」。ヴァン・ド・ターブル格付けで、価格は友達価格ながら、内容はあの偉大なコルナスを彷彿とさせる!びっくりです。
10、レ・ジャルダン・ドゥ・バビロン Les Jardins de Babylone ジュランソン Jurançon 2007 ディディエ・ダグノー氏がフランス南西部で造る甘口ワインです。甘口ながら、糖、酸のバランスが完璧で、ぴんと張り詰めたような緊張感も漂う美しいワイン。ワインとしてのひとつの完成形を見せつけられたようでした。
ちなみに、印象に残った生産者はジュヴレイ・シャンベルタンGevrey-Chambertin村のフィリップ・シャルロパン・パリゾPhilippe Charlopin-Parizot氏とそのご子息でした(似ている。)。
さて、2012年はどのような素晴らしいワインとの出会いが待っているのでしょうか?今年もワインと共に素晴らしい一年にしましょう!
Clos Yは、新年お年玉企画としまして、シャトーヌフ・デュ・パプ単発講座を企画しております。ドメーヌ・デュ・ペゴーDomaine du Pégauのキュヴェ・ダ・カーポCuvée Da Capo 2007もご試飲頂けます!ご興味がございましたらご連絡ください。
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ワインコラム 第89回 ボルドー地方の話 シャトー・カントメルル編
- 2011-12-28 (水)
- ワインコラム
どのように時間を使うか計画を立てるのは、実はとても難しいものです。
ブルゴーニュBourgogneやナパ・ヴァレーNapa Valleyのように、ワイナリーが密集していて移動に時間をあまり取られないならば、午前中に2軒、午後に3軒という過密なスケジュールを立てることもできるかもしれません。
しかし、ブルゴーニュではひとつの造り手さんが10種類以上のワインを造っていることが多く、さらに複数のヴィンテージを試飲させて頂ける場合は試飲だけで1時間以上かかることがあります。通常ワイナリーの訪問は醸造設備や熟成セラーの見学から入ります。熱意のある造り手さんは畑まで連れて行ってくれもしますので、訪問時間が3時間を超える場合もあります。
事前に「訪問は設備の見学、ワインの試飲で90分です。」などと伝えてくれる造り手さんもいますが、このようなケースは少数派で、時間の予想は簡単ではありません。
私は300以上の生産者を訪問させて頂いておりますので、訪問時間に関してはある程度の予想が立てられます。
例えば、
ボルドーは1シャトー90分ほど。(シャトーの歴史のお話を聞く。醸造所、熟成室の見学。2、3種類の試飲。)
ブルゴーニュは1ドメーヌ120分ほど。(醸造所、熟成室の見学。12種類ほどの試飲。)
しかし、これは経験上の平均的な流れであって、例外はもちろん存在します。そのような場合、時間が足りなくなったり、余ったりしてしまいます。
私はワイナリーを訪問させていただく場合、通常は必ず事前に予約を取ってから行くのですが、ワイナリーの訪問と訪問の間に思わぬ時間が出来てしまった場合、訪問を断られるのを覚悟で近くのワイナリーに飛び込みで入ってみることがあります。
今回は、このような形で飛び込んだ、シャトー・カントメルルChâteau Cantemerleのお話です。
シャトー・カントメルルはボルドー地方、メドック地区のマコーMacau村に位置する、1855年の格付け第5級のグラン・クリュです。マルゴーMargaux、ポイヤックPauillacといった村名アペラシオンではなく、オー・メドックHaut-Médocというアペラシオンに属するためか、メドック地区のグラン・クリュとしてはあまり注目されていないようです。
しかし、このシャトーは確実にその品質を上げてきています。特に2000年代後半の伸びは注目に値します。
さて、私の飛び込み訪問ですが、結果としては、やはりきちんと見学はさせてもらえませんでした。しかし、急な訪問者に対して、とても親切に対応してくださったことが記憶に残っています。
また、もうひとつ強く覚えていることは、このシャトーの美しさです。このシャトーは90haもの畑を所有していますが、シャトーへの門をくぐると、ちょっとした森があります。背の高い木の間の道を進むことは気分をリラックスさせてくれますし、その森を抜けて現れるシャトーは均整が取れて美しく、印象に残っています。
この美しいシャトーから生まれるワインは、前述のように素晴らしいものです。さらに、大きな特徴はワインの価格が低めに設定されていることです。比較的手ごろに上質なワインが楽しめます。このようなワインは、ありがたいですね。しかし、評価が上がってくると、価格も上がるのが世の常です。このシャトーのワインも徐々に高くなっていくかもしれません...
いまのうちに、試されることをお勧めさせていただきます!
Clos Yは、1月18日のレストラン講座のテーマを「ボルドー」とし、シャトー・カントメルル2006を含む、グラン・クリュを中心としたワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第88回 ボルドー地方の話 シャトー・ポンテ・カネ編
- 2011-12-18 (日)
- ワインコラム
今回は、フランス、ボルドーBordeaux地方、ポイヤックPauillac村に位置するシャトー・ポンテ・カネChâteau Pontet-Canetのお話です。
私は2010年の9月にこのシャトーを訪問させて頂きました。このシャトーは1990年代まではそれほど注目されておりませんでしたが、2000年代に入ってからはめきめきとワインの品質を上げ、近年では要注目のシャトーになっています。有名ワイン評論家の評価も、グラン・クリュ5級でありながら1級シャトーの評価にひけをとりません。
その品質の鍵はどこにあるのでしょうか?
まずは栽培面を見てみましょう。このシャトー最大の特徴のひとつは、有機農法を取り入れている点です。2004年からビオディナミに着手し、2010年にはAgriculture Biologiqueから正式に認証を得ました。
ぶどう栽培において、近年有機栽培の畑は年々増加していますが、広い土地で実践している例は多くありません。ポンテ・カネは120haの土地を所有しており、そのうち81haにぶどうが植えられています。ひとつひとつのシャトーの畑の規模が大きいボルドー地方では、有機栽培を実践しているシャトーは数えるほどしかありません。特に、グラン・クリュのシャトーの中で、現時点で正式に有機栽培の認証を得ているのは恐らくこのシャトーのみでしょう。
耕作には馬も用いるとのことです。
この規模でこのような畑仕事をするのは大変な労力が必要とされます。
醸造面では、2005年に新しい醸造場を構築。アルコール発酵は木製、またはコンクリート製の発酵槽で天然酵母により行われます。
美しい醸造場。タンクも美しい。
果汁の移動にはポンプを使わず、重力により優しく行います。過度な醸造テクニックは用いません。最高のぶどうを、なるべくナチュラルに扱うことにより、その力を存分に引き出すわけです。
私は、栽培しているぶどう品種の割合もひとつのキー・ポイントだと思っております。ポイヤックのシャトーは一般的にカベルネの比率が高いのですが、ポンテ・カネ他のシャトーに比べメルロの比率がやや高いようです。これが、豊かで力強い中に、ソフトさをもたらしていると考えられます。
実際に試飲してみると、やはり素晴らしいワインです!黒系果実のコンフィ、スパイスの香りに樽からのロースト香が調和しています。果実味は豊かで、同時に酸味もしっかりしています。ボリューム感があり、タンニンは量が多くしっかりしていますが収斂性は無く、溶け込んでいます。長く続く余韻がこのワインがグラン・ヴァンであることを証明しています。
ここ数年のプリムール(先物取引)で、ポンテ・カネも徐々に高値が付けられてきています。この品質のワインを比較的手ごろに楽しめるのは、もしかしたら今のうちだけかもしれません。
今後の動向に目が離せません!
Clos Yは、1月8日のレストラン講座でシャトー・ポンテ・カネの2003をご用意しております。2003はポンテ・カネの2000年代の中でも特に素晴らしいヴィンテージのひとつです!この講座にご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第87回 シャンパーニュ地方の話 ガストン・シケ編
- 2011-12-04 (日)
- ワインコラム
2011年は、シャンパーニュ地方では1822年以来の早い収穫開始日(8月19日)が提示されました。これは猛暑で収穫が異例に早かった2003年よりも1日早く、近年の温暖化の影響を感じずにはいられません。
通常であれば収穫真っただ中くらいのタイミングで訪問したのですが、実際畑を見てみても、私が回った範囲では全て収穫が終わっていました。
複数の造り手さんを訪問させていただきましたが、ガストン・シケGaston Chiquetさんを訪問したお話をご紹介いたします。
この造り手さんは、23haの自社畑を擁するR.M.(自社畑のぶどうのみからワインを造る形態。ブルゴーニュでいうところのドメーヌに相当。)です。なかなかの規模です。
メゾンはDizy村に位置しています。この村はエペルネイEpernayのすぐ北隣り、名高いグラン・クリュのアイAÿ村のすぐ西にあります。
メゾンのすぐ裏手の畑。正面の丘の上部はアイの畑。
今回の訪問の最大の目的は、ピノ・ノワールで名高いアイ村の土地に植えたシャルドネから造る、ブラン・ド・ブラン・ダイBlanc de Blancs d’Aÿについて造り手さんから直接話を聞くことでした。
まずは醸造所を見せてもらいました。ご自慢の最新式プレス機と、昔ながらの旧式のプレス機を併用しています。黒ぶどうから白いスパークリング・ワインを造るこの地方では、ぶどうの搾り方がとても重要です。旧式と最新式では、どちらも得られる果汁の質に差はないそうですが、最新式のマシンは自動で、より効率的に果汁を搾ることができます。
伝統的な垂直式圧搾機。
最初のアルコール発酵はステンレス・タンクでこのメゾンは行っています。すでに発酵は終わっていて、将来シャンパーニュとなるワインの原酒をステンレス・タンクから直接取って、試飲させてくださいました。シャンパーニュの原酒を飲む機会はあまりありませんが、やはり、酸っぱいです!この原酒を熟成させ、絶妙にブレンドし、最後にドザージュすることによって、あの優雅なシャンパーニュになるのですから、興味深いところです。
地下の熟成カーヴなど、ひと通り見学させて頂いた後、美しいサロンで数種類のシャンパーニュを試飲です。
いずれも良いシャンパーニュでした!特にご紹介したいのは、今回の目的でもあるブラン・ド・ブラン・ダイです。アイ村で栽培されているシャルドネ100%で造られる、世界で唯一のブラン・ド・ブランです。前述の通りアイ村はピノ・ノワールで有名ですが、一部シャルドネも植えられています。1935年に他に先駆けてシャルドネをこの土地に植えたのは、このメゾンということです。
特徴を一言でまとめると、「スマートでエレガント」。ブラン・ド・ブランでも、ブリオッシュやモカの香りを放ち、口に含むと芳醇さを感じるタイプもあれば、細身で酸が主体となる軽やかなタイプもあります。このキュヴェは後者のタイプに属します。ただ、このワインのすごいところはただ単に軽いだけではなく、アニマルの香りを持ち、余韻にぐっと酸が伸びて行きます。ノン・ヴィンテージですが、5年以上熟成させたら面白いだろうなと感じました。
それと、特に良かったキュヴェがクラブClub2002です。良年のみ造られる同メゾンのトップ・キュヴェで、シャルドネとピノ・ノワールのブレンドです。ブリオッシュやトーストの香ばしい香りを放ち、口に含むとバターの風味が広がります。余韻が長く、本当に素晴らしかったです!
12月はスパークリング・ワインを飲む機会も増えると思います。シャンパーニュは特に通常のワインより多くの手間、時間をかけて造られています。造り手さんの情熱を思いながら召し上がると、一層おいしいと思いますよ!
Clos Yは、「シャンパーニュの熟成について考える」単発講座を12月14日に企画しております。どなたでも気軽に参加頂けますので、ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第86回 ブルゴーニュ地方の話 2011年秋訪問 フィリップ・シャルロパン・パリゾ編
- 2011-11-30 (水)
- ワインコラム
フレッシュでフルーティなこのワインが、私は大好きです。毎年同じ生産者のボージョレ・ヌーヴォーを飲んでいると、ヴィンテージによるワインの違いが浮き彫りになります。2009は凝縮していました。2010は軽いタイプでした。2011は、生産者によりばらつきがありましたが、2010より濃縮感があり、なかなか良い出来だったと思います。
さて、そのボージョレを有するブルゴーニュBourgogne地方に、2011年の9月に行ってまいりました。
2011年はぶどうの開花が早かったため、収穫も例年より早く行われました(ぶどうの開花から100日後がぶどうの収穫日になると言われています。)。まだ収穫を行っているところもありましたが、大半の畑は収穫が終わった状態でした。
この忙しい時期に、複数の造り手さんを訪問させていただきました。ほんとうに、ワイナリーは一年で一番忙しいところ、訪問のお願いを受け入れてくださった方々にはとても感謝しております。
今回ご紹介するのは、ジュヴレイ・シャンベルタンGevrey-Chambertin村にドメーヌを構えるフィリップ・シャルロパン・パリゾPhilippe Charlopin-Parizotさんです。
伝説のアンリ・ジャイエHenri Jayer氏の愛弟子と呼ばれるこの造り手さんは、もじゃもじゃ頭のいかつそうな風貌(私はなんとなくプロレスラーみたいだなと思ってしまうのですが)で、びしっとミネラルの芯の通った素晴らしい白ワイン、濃密で力強いタイプの赤ワインを生みだしています。
2006年に完成した、まだ新しい醸造所はブルゴーニュに多い家族単位の造り手さんのものとは異なり、中規模の工場のような外観ですが、効率的にできています。特に、区画ごとにワインを仕込み分けることができる小さなステンレス・タンクが林立しているのはなかなか見られない光景です。
アポを取っていったものの、当日は忙しさのピークのようでした。アポを取る時点で、「1時間だけ」と多忙なお父さん(フィリップ氏)の代わりに、息子さん(父親そっくり!)が案内してくれました。
試飲は全て樽から、2010年のワインです。白から始まりました。ブルゴーニュ地方の造り手さんを訪問すると、赤から始まることもあります。造り手さんによって考え方が異なるのですね。
まずは、プティ・シャブリPetit Chablisです。このドメーヌは2007年からシャブリのワインの生産を始めました。プティ・シャブリの次は、シャブリ、そして畑違いのプルミエ・クリュを4種、そしてグラン・クリュのコルトン・シャルルマーニュCorton-Charlemagneです。一貫してミネラルが強いスタイル。コルトン・シャルルマーニュの余韻の長さは特筆ものでした。
赤も2010を樽からです。ジュヴレイ・シャンベルタンのラ・ジュスティスLa Justiceに始まり、レ・ゼヴォセルLes Evocelles、ヴィエイユ・ヴィーニュVieilles Vignes、シャルム・シャンベルタンCharmes-Chambertin、マジ・シャンベルタンMazis-Chambertinそして偉大なシャンベルタンChambertin!全てジュヴレイ・シャンベルタン村にある、畑違いの興味深い試飲となりました。まだ熟成中の未完成品ですし、若過ぎる状態ですから、還元状態にあるワインもありましたが、共通していたのはしっかりとした果実味、何より驚かされたのは既にタンニンがほぼ溶け込んでいる状態だったことです。2010は簡単なヴィンテージではなかったと思うのですが、タンニンも完熟した状態でぶどうを収穫したのでしょう。高品質なワイン造りのための畑仕事の努力が伺えました。
本当に忙しい中、お時間を取ってくださって貴重なワインを試飲させて頂いて感謝しております。また、そっくりな親子が並んでいる姿を見られて嬉しかったです(笑)。
忙しさのピークの醸造所。
ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾのワインを試したことが無い方は、是非試してみてください。白も赤も、本当に素晴らしいワインです。
Clos Yでは、12月12日のレストラン講座のテーマを「ブルゴーニュ」とし、フィリップ・シャルロパン・パリゾのワインを含む良質ワインを、それに合わせた特別料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第85回 ルシヨン地方の話 マス・ブラン編
- 2011-11-12 (土)
- ワインコラム
フランス最南端、スペインとの国境沿いに位置し、東は地中海に面しています。よくラングドック地方Languedocと一緒にされますが、ラングドック地方が177,000haのぶどう畑を持ち、スパークリング、白、赤、甘口など多彩なワインを生みだすのに対し、ルシヨン地方のぶどう畑はその約1/5の34,000haです。
ルシヨン地方で造られるワインは、主に濃縮感の強い赤ワインと酒精強化による甘口ワインです。また、標高の高い場所で造られる上質な白ワインも、生産量こそ少ないものの見逃せません。
今回は、スペインから北上してフランスに入る場合、最初のワイン産地になるバニュルスBanyulsとコリウールCollioureについてご紹介いたします。
バニュルスとコリウールは、生産地域が重複しています。バニュルスと名乗るワインは全て酒精強化による甘口タイプのワインであるのに対して、コリウールは赤、白、ロゼのスティル・ワインです。
いずれも個性的な上質ワインで、数軒の優れた生産者がおりますが、私が訪問させていただいたのはその中でも最も重要な造り手のひとつ、ドメーヌ・デュ・マス・ブランDomaine du Mas Blancです。
マス・ブランはバニュルス・シュール・メールBanyuls-sur-Mer、「海の上のバニュルス」という美しい名を持つ、地中海沿いの美しい小さな町に位置しています。

マス・ブランはコリウールもバニュルスも、いろいろなタイプのワインを生産しており、いずれも高い評価を得ています。
この地域の畑は、海沿いの急斜面に展開されています。車で走っていると見上げてしまうような斜面もあります。傾斜が急なので機械作業は不可能です。南の暑い太陽が照りつける中、人手による作業が要求されます。
結果、大切に育てられた上質なぶどうから、素晴らしいワインが生まれます。
バニュルスはポートワインのようなタイプもありますが、熟成容器を屋外にさらして造るランシオrancioというマデイラワインのようなタイプや、厳しい基準を満たしたグラン・クリュGrand Cruなど様々なタイプがあります。その個性により、アペリティフからフォワ・グラを使った料理、デザートまで幅広く楽しむことができます。
屋外に晒されたランシオ用の樽
コリウールは生産量の半分以上が赤ワインです。グルナッシュやシラーなどが使われますが、ワインにより品種構成が異なります。すると当然ワインの個性も異なりますが、色が濃く、果実味が豊かで、熟成によりその魅力を増していく素晴らしいワインです。私は、生産量は少ないのですが、コリウールのロゼを強くお勧めします。ロゼワインとしては濃い色調を有し、僅かにタンニンも感じられる、赤ワインのような性質を備えたロゼワインです。バニュルス・シュール・メールで、地中海を見ながら地元の魚介類と合わせたら最高でしょう!...なかなかできないことですが...
さて、マス・ブランではいろいろなキュヴェを試飲させて頂きました。個性的なバニュルスたち、畑別のキュヴェで仕込んだコリウールたち。それほど知られていないこのアペラシオンに、これほど上質なワインがあると、嬉しくなりました。
品質の割に、その知名度ゆえか、価格は控えめに設定されています。見つけたら是非試してみてください。冬は特に濃厚なコリウールの赤、そして甘いバニュルスが素敵な時間をくれるはずです。
Clos Yでは、11月16日のレストラン講座のテーマを「ルシヨン地方」とし、この地方のワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。マス・ブランの2000年の赤ワインが2種類出ます!ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第84回 美食の話 2011年秋 フランス編
- 2011-10-30 (日)
- ワインコラム
まずは、パリのプティ・ヴェルドPetit Verdotで食べた前菜、鯖のマリネです。
鯖はフランスでは頻繁に見かける食材ではありませんが、手に入れにくいかと言うとそうでもなく、スーパーなどでも普通に売られています。私がフランスに住んでいた頃は真空パックに入った鯖の燻製を買っていました。なかなかワインとも楽しめるものでした。
さて、プティ・ヴェルドの鯖は、半身をマリネにして、表面を炙り香ばしく仕上げたものでした。中身は半生の状態ですが全く臭みはなく、洗練された非常においしい料理でした。
次はランスReimsのカフェで食べた、タルタルステーキSteak Tartareです。タルタルステーキ自体はフランスのどこにでもある、特にこの場でご紹介するような料理ではないのですが、驚いたことに、このお店は焼きタルタルステーキを出していました。
もともとタルタルステーキは、ひき肉状にした生の牛肉に玉ねぎ、ピクルス、ケッパーなどを入れ、塩、胡椒、マスタード、辛い調味料、卵黄などを入れて良く混ぜたものです。ユッケのようなもの、と言えるでしょうか。最近日本では生の肉を食べるのが難しくなっていますので、今回の旅ではタルタルステーキをたくさん食べてきました。もう、1年分食べました。
その焼きタルタルですが...
タルタルステーキを想像してください。おいしそうですね。これを、フライパンで両面をさっと焼いたものを想像してください。
...そのままです!
焼いたので、見た目はハンバーグのようになっていますが、中は生、いわゆるタルタルステーキのままです。焼いた部分も、特に香ばしくておいしいというわけでもなく...まあ、経験できて良かったです(笑)。
続いて、デザートをひとつご紹介します。
クランブル・オ・ポムCrumble aux pommesです。フランスでは良く出会う、温かいデザートなのですが、日本のフランス料理屋さんでなかなかお目にかかれないですね。器にりんごを入れて、その上に小麦粉、バター、砂糖で作ったもろもろとした生地を載せてオーヴンで焼いたデザートです。フランスではちょっと甘すぎることがありますが、甘さを控えれば日本人受けすると思います。
タルト仕立て
さて、秋です。おいしい料理とワインを楽しみましょう!
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ワインコラム 第83回 2011年秋 フランスで出会った素晴らしいワインの話
- 2011-10-08 (土)
- ワインコラム
今回は、パリで出会った素晴らしいワインについてご紹介させて頂きたいと思います。
日ごろ私は、日本には世界中のワインが集まっており、世界的に見てもかなり広いワインの選択肢が与えられていると思っております。実際、フランスでも入手困難なフランスワインが比較的容易に入手できることがありますし、その点で恵まれていると思います。
しかし世界にはそれこそ数えきれないほどのワインがあります。地元で消費されてしまい、他に出回らないワインも少なくありません。
さて、フランスの首都、パリ。パリは「ワイン産地」と言える場所ではないと思うのですが、世界中の素晴らしいワインが集まる場所と言えるでしょう。
まずはパリのレストラン、プティ・ヴェルドPetit Verdotでのお話です。このお店のオーナーは、ボルドー地方を代表するレストラン、コルディアン・バージュCordeillan-Bagesで日本人ながらシェフ・ソムリエを務めていらした石塚氏です。レストランというより気軽なビストロ風のお店ですが、流石に素晴らしいワインが揃っています!
食事と合わせて、グラスで10種類(!)ほど飲ませて頂いたのですが、特に印象的だったのは、
Mâcon-Villages Terroir de Clessé 2006 Domaine Michel

Vouvray Clos du Bourg Moelleux 1959 Huet
前者はブルゴーニュ地方南部、マコネ地区のシャルドネによる甘口白ワインです。この地区ではプイィ・フュイッセPouilly-Fuisséなど素晴らしい白ワインが産出されていますが、通常は辛口です。例外的に甘口を造る生産者がいますが、片手で数えられるほどでしょう。この造り手さんのワインは初めてだったのですが、やはり、世界にはいろいろなワインがあるものですね。
後者はロワールを代表する生産者の熟成甘口ワインです。1959はロワールでは伝説的な超優良年です。その味わいは...ブショネ(主にコルク中に発生してしまったT.C.A.という物質が原因で起こる、ワインの劣化の1種。ワインが濡れた段ボールのようなひどい香りを放つようになってしまいます。)でした!出していただく前から、「ブショネだけど試してみる?」と聞かれて試したのですが、なかなか派手なブショネでした。半世紀以上経った極上ワインを開けて、ブショネって辛いですよね...
さて、気を取り直して、ワインショップで発見した珍品をご紹介いたします。
Vin de Table de France Le Vin des Amis 2009 August Clape
ワインの格でいうと、何ということはないテーブル・ワインなのですが、これがとんでもないワインでした。造り手のオーギュスト・クラープはローヌ北部、コルナスCornasを代表する生産者です。ローヌ北部にはコート・ローティCôte-Rîtie、エルミタージュHermitageなど錚々たるクリュがひしめいており、中でも高級ワインはバリック(225ℓ容量の樽)で長期間熟成させることがあります。そんな中、オーギュスト・クラープは昔ながらの大樽熟成で、しかも新樽は一切使いません。原料となるぶどうが生まれ育った環境をそのままワインとして表現しています。誰もが、ひと口目から「素晴らしい!」と言ってしまうようなワインではないのですが、特にある程度の熟成を経ると他のワインでは得難い感動を与えてくれる極上ワインとなります。
そう、オーギュスト・クラープのワインは素晴らしいのですが、真価を発揮するまで時間がかかるな、というのが私の個人的な正直な感想です。恐らく、その点は造り手さんも自覚しているのでしょう。そのため今回このコラムでご紹介するワインを造ったのかな、と思いました。このワインが...素晴らしかったです!2009年、まだまだ若いですが、素晴らしくおいしかった!いかにも北ローヌのシラーという感じで、極上のシラー飲みが持ち得る芯の通ったスパイスのアロマを持ち、果実味、酸味ともに豊かで、何より明らかにオーギュスト・クラープのワイン、コルナスを思わせるニュアンスに富んでいるのです。このワインの名前を訳すと「友人たちのワイン」。クラープの偉大なワインを、若いうちから、手ごろな価格で飲んでもらいたいと、正に友達用に少量生産したのでしょう。私はこの造り手さんを2004年に訪問しましたが、このようなワインがあるとは知りませんでした...この品質で12ユーロほどでしたので、毎日でも飲みたいほどです!
改めて、世界は素晴らしいワインで溢れています。
あなたは今晩、何のワインを飲みますか?
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