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2010-10

ワインコラム 第62回 ぶどう品種の話 サンジョヴェーゼ編

今回は、ワイン用のぶどう品種をひとつご紹介いたします。

 

フランスと並ぶワイン大国であるイタリア。同国で最大の生産量を誇るのがサンジョヴェーゼSangioveseです。

 

イタリアワインの代表的な銘柄であるキアンティChiantiの主な原料であり、キアンティを産するトスカーナ州やその周辺の州で広く栽培されています。

Avignonesi5 サンジョヴェーゼ。 

でも、大切なのは量ではなくにあります。優れた生産者による上質なサンジョヴェーゼは感動に値し、イタリアだけでなく世界的に見ても最高のワインのひとつとなります。

 

原産はトスカーナ州とされており、非常に古い歴史を持っているようです。

 

ワインとしての特徴は、濃い色調、しっかりした酸味と、ときには果実味を上回るほどの酸味、そして豊富なタンニンにあります。特に、「酸味」と「タンニン」が特徴的だと思います。色が濃く、果実味が豊かなワインはたくさんありますが、同時にしっかりした酸味と豊富なタンニンを備えるワインはそう多くありません。

 

ワインの銘柄としては前述したキアンティが何と言っても有名ですが、品質ではブルネッロ・ディ・モンタルチーノBrunello di Montalcinoに触れないわけにはいかないでしょう。このワインはモンタルチーノの町の周辺の限定された地区のサンジョヴェーゼ100%で造られることが義務付けられています。

 

サンジョヴェーゼは突然変異を起こしやすく、プルニョーロ・ジェンティーレPrugnolo GentileやモレッリーノMorellinoなど複数の亜種があるのですが、ブルネッロもサンジョヴェーゼの亜種のひとつです。

 

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは重厚で複雑な風味に溢れ、まさに偉大なワインです。北イタリア、ピエモンテ州のバローロBarolo(ぶどう品種はネッビオーロNebbiolo)と並び、イタリアワインの双璧と言えるでしょう。

 

他にサンジョヴェーゼの優れたワインとして、キアンティ・クラッシコChianti Classico(一般的なキアンティより限定された地区で栽培されたぶどうから造られる)、ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノVino Nobile di Montepulciano(前述したプルニョーロ・ジェンティーレから主に造られる)などが挙げられます。

 

私は、良質なサンジョヴェーゼを口にすると、肉料理が欲しくなってしまいます(笑)。重厚なサンジョヴェーゼは赤身の肉を使った料理などを引き立ててくれますので、是非合わせてみてください!

 

Clos Yでは、11月のレストラン講座のテーマを「イタリア」とし、上質なワインをそれに合わせた料理とともにお楽しみ頂きます。7日(日曜日)の講座ではとびきりのブルネッロ・ディ・モンタルチーノも登場します!18日(木曜日)の講座ではバローロや1990年のネッビオーロも登場いたします。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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ワインコラム 第61回 美食の話 フランス&イタリア編

前回に引き続き、訪問してきたばかりのフランスとイタリアのお話です。

 

秋真っただ中、秋と言えば食欲の秋ですから(笑)、今回は、旅先で出会ったおいしいものについてご紹介したいと思います。

 

まずはサンテミリオンSaint-Emilionのレストランで食べた、トゥールーズのソーセージSaucisse de Toulouseです。

DSC00369 

フランスでは豚肉加工品が多く消費されています。生ハムやパテ、ソーセージなどいろいろありますが、それら豚肉加工品も有名な産地があります。例えば、バイヨンヌBayonne(フランス南西部、スペインとの国境近くに位置する町)の生ハムや、モルトーMorteau(フランス北東部、フランシュ・コンテ地方の町)のソーセージなどです。

 

トゥールーズのソーセージはフランス南西部の町、トゥールーズで発達したもので、やや粗引きの豚肉のソーセージです。シンプルですが、ジューシー(ナイフで切ると肉汁が飛び出すほど!)で素材由来の甘味があり、ワインと良く合います。

 

続いて、今度はフランス北東部のアルザス地方Alsaceから、チーズのパイ包み焼きStrudelです。

DSC00454 - コピー 

フランスではチーズの生産も盛んですね。各地に個性的なチーズがありますが、アルザス地方ではウォッシュタイプのチーズ、マンステールMunsterが有名です。今回出会った料理は、マンステールをたっぷりと使い、ソーセージも入れてパイ生地で包み、オーヴンで焼いたものです。ボリュームのあるこの料理には、赤ワインを合わせたいものですね。となると、アルザス唯一の赤ワイン、ピノ・ノワールPinot Noirの出番ですが、比較的軽いタイプのものが多いので、できればある程度濃縮感のあるものを選びたいものです。

 

次はイタリアに参ります。イタリアもおいしいものの宝庫ですね!

 

フランス料理とイタリア料理、全く違うもののように考えられていますが、私はそれほど大きな違いは無いのではないかと思っております。

 

一言で「フランス料理」といっても、地方ごとに郷土料理は大きく異なりますし、同じことがイタリア料理にも言えると思います。なので、フランス、イタリアと国で分けることにあまり意味はなく、地方ごとに分けて考えるほうがわかりやすいでしょう。

 

ひとつ、フランス料理とイタリア料理の大きな違いがあると思います。「パスタ」です。フランスでもパスタ類は食べますが、パスタが主役、という料理はほとんど見られないですね。大抵は肉であれ魚であれ、何かの料理の付け合わせとして使われています。

 

イタリアでは、コースの場合は前菜の後に登場します。コースの場合は一皿あたりの量は少なめです。コースではない場合は、たっぷりとした量で出てきますね。

 

今回ご紹介するのは、カンパニア州Campaniaで出会ったポルチーニと黒トリュフのフェットチーネです。

DSC00547 

イタリアの真ん中を南北に走るアペニン山脈を移動中に、近くに大きな町が無く、でもそろそろ食事をしたい、というタイミングで出会ったレストランの料理です。

 

イタリア語しか通じない小さなレストランで、正直料理に対して期待せずに入ったのですが...

 

このパスタにはやられました!(笑)

 

出された瞬間に、トリュフの香りに包まれます。ポルチーニはとろりとした状態にまで火を通され、太めのパスタであるフェットチーネに絡み、食べているこちらがとろけそうになります。ワインは地元の赤ワインを合わせて、良く合ったのですが、もっと熟成した状態のものがあれば尚良かったと思います。

 

日本も、おいしいものが溢れる秋。この週末にでも、秋の味覚とワインのマリアージュを楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

 

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ワインコラム 第60回 ボルドーの話 サンテミリオン編

2010年の9月にフランスとイタリアのワイン産地を訪問してきました。

 

そのまだ新鮮な情報をお伝えしようと思います。今回はボルドーBordeauxの町とサンテミリオンSaint-Emilionがテーマです。

 

ボルドーに限った事ではありませんが、この時期のフランスは朝、晩は冷え込みますが、日中は照りつける太陽の日差しが強烈で、暑く感じます。しかし空気は乾燥しており、日陰は涼しく、快適です。

 

そんな爽やかな空気の中、サンテミリオンへと向かいました。

DSC00365 ボルドーの町。 

ちょうどこの日はイベントがあり、小さな町が大変混雑していました。

DSC00367 サンテミリオンの教会前で。 

訪問したのはシャトー・ロル・ヴァランタンChâteau Rol Valentinです。

 

ボルドーではひとつのシャトーが100ha以上の畑を所有していることも珍しくないのですが、シャトー・ロル・ヴァランタンはわずか7.5haの畑を所有するのみの小さな生産者です。

DSC00375 ロル・ヴァランタンの畑。 

そのためでしょうか、ワイン造りの方法も一般的なボルドーのシャトーと異なっています。畑を小さな区画ごとに分け、区画ごとに小さな容量の発酵槽で発酵させます。このことについては、大規模なシャトーでも高品質なワインを目指すところでは実施しています。

 

特徴的なのは、アルコール発酵中にピジャージュpigeageをするということです。少し専門的な話になりますが、赤ワインを造るために必要不可欠な色素、渋みはぶどうの皮や種からもたらされます。そのため、アルコール発酵中は果汁と果皮、種を接触させておくことが必要になるのですが、アルコール発酵中に生じる炭酸ガスのために果皮や種などの固形物は発酵槽の上部に浮かんで行ってしまいます。すると色素などの抽出ができなくなってしまいますので、何か手を打たなくてはなりません。

 

ボルドーで一般的なのは、ルモンタージュremontageという方法です。発酵槽の下部から果汁を引き抜いてポンプで上部に送り、浮かんでいる固形物に振りかける作業を指します。ロル・ヴァランタンが実施しているピジャージュとは、発酵槽の上部に浮かんでしまった固形物を木の棒で上から下へ(発酵槽の内部へ)押し下げる作業です。

 

ルモンタージュもピジャージュも固形物と液体を接触させる、という点では一緒ですが、ピジャージュのほうが抽出が強くなります。そのため、この方法はぶどうの果皮の色素が薄い、もしくはタンニンがそれほど強くないピノ・ノワールPinot Noirなどのぶどう品種に適応されることが一般的です。ロル・ヴァランタンの主要品種はメルロMerlotで、色素もタンニンもしっかりしているぶどう品種です。

 

では、ロル・ヴァランタンのワインが過度に凝縮して、渋みの塊のようかというと、そうでもないのです。渋みは確かにしっかりしているのですが、ぎすぎすしないまろやかな口当たりです。これは、いろいろな意味で本当に良く熟したぶどうによるものでしょう。ワインの質の大部分はぶどうの質によるものですからね。

 

面白いものを見せてもらった充実した訪問の後、ボルドー市内に戻り、夜はラ・チュピナLa Tupinaで食事をしました。ボルドーを代表する素晴らしいレストランのひとつで、フランス南西部の料理を得意としています。珍しい、アキテーヌ地方Aquitaine(フランス南西部、ボルドーを含む。)のキャビアなど、地元の上質な食材を使ったおいしい料理を楽しみました。

DSC00380 キャビアを乗せた帆立のタルタル。 

最後に、まだ確定的なことは言えないのですが、「この調子でいけば、今年(2010年)は偉大な2009年を凌ぐほどのヴィンテージになるだろう」と、ロル・ヴァランタンのオーナーが言っていました。2010年も良い年になるといいですね!価格さえ控えめであるならば...

 

 

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