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2011-11

ワインコラム 第86回 ブルゴーニュ地方の話 2011年秋訪問 フィリップ・シャルロパン・パリゾ編

しばらく経ってしまいましたが、今年もボージョレ・ヌーヴォーBeaujolais Nouveauが解禁になりましたね。

 

フレッシュでフルーティなこのワインが、私は大好きです。毎年同じ生産者のボージョレ・ヌーヴォーを飲んでいると、ヴィンテージによるワインの違いが浮き彫りになります。2009は凝縮していました。2010は軽いタイプでした。2011は、生産者によりばらつきがありましたが、2010より濃縮感があり、なかなか良い出来だったと思います。

 

さて、そのボージョレを有するブルゴーニュBourgogne地方に、2011年の9月に行ってまいりました。

 

2011年はぶどうの開花が早かったため、収穫も例年より早く行われました(ぶどうの開花から100日後がぶどうの収穫日になると言われています。)。まだ収穫を行っているところもありましたが、大半の畑は収穫が終わった状態でした。

 

この忙しい時期に、複数の造り手さんを訪問させていただきました。ほんとうに、ワイナリーは一年で一番忙しいところ、訪問のお願いを受け入れてくださった方々にはとても感謝しております。

 

今回ご紹介するのは、ジュヴレイ・シャンベルタンGevrey-Chambertin村にドメーヌを構えるフィリップ・シャルロパン・パリゾPhilippe Charlopin-Parizotさんです。

 

伝説のアンリ・ジャイエHenri Jayer氏の愛弟子と呼ばれるこの造り手さんは、もじゃもじゃ頭のいかつそうな風貌(私はなんとなくプロレスラーみたいだなと思ってしまうのですが)で、びしっとミネラルの芯の通った素晴らしい白ワイン濃密で力強いタイプの赤ワインを生みだしています。

 

2006年に完成した、まだ新しい醸造所はブルゴーニュに多い家族単位の造り手さんのものとは異なり、中規模の工場のような外観ですが、効率的にできています。特に、区画ごとにワインを仕込み分けることができる小さなステンレス・タンクが林立しているのはなかなか見られない光景です。

DSC00701 

アポを取っていったものの、当日は忙しさのピークのようでした。アポを取る時点で、「1時間だけ」と多忙なお父さん(フィリップ氏)の代わりに、息子さん(父親そっくり!)が案内してくれました。

 

試飲は全て樽から2010年のワインです。白から始まりました。ブルゴーニュ地方の造り手さんを訪問すると、赤から始まることもあります。造り手さんによって考え方が異なるのですね。

 

まずは、プティ・シャブリPetit Chablisです。このドメーヌは2007年からシャブリのワインの生産を始めました。プティ・シャブリの次は、シャブリ、そして畑違いのプルミエ・クリュを4種、そしてグラン・クリュのコルトン・シャルルマーニュCorton-Charlemagneです。一貫してミネラルが強いスタイル。コルトン・シャルルマーニュの余韻の長さは特筆ものでした。

 

赤も2010を樽からです。ジュヴレイ・シャンベルタンのラ・ジュスティスLa Justiceに始まり、レ・ゼヴォセルLes Evocelles、ヴィエイユ・ヴィーニュVieilles Vignes、シャルム・シャンベルタンCharmes-Chambertin、マジ・シャンベルタンMazis-Chambertinそして偉大なシャンベルタンChambertin!全てジュヴレイ・シャンベルタン村にある、畑違いの興味深い試飲となりました。まだ熟成中の未完成品ですし、若過ぎる状態ですから、還元状態にあるワインもありましたが、共通していたのはしっかりとした果実味、何より驚かされたのは既にタンニンがほぼ溶け込んでいる状態だったことです。2010は簡単なヴィンテージではなかったと思うのですが、タンニンも完熟した状態でぶどうを収穫したのでしょう。高品質なワイン造りのための畑仕事の努力が伺えました。

 

本当に忙しい中、お時間を取ってくださって貴重なワインを試飲させて頂いて感謝しております。また、そっくりな親子が並んでいる姿を見られて嬉しかったです(笑)。

DSC00700 忙しさのピークの醸造所。 

ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾのワインを試したことが無い方は、是非試してみてください。白も赤も、本当に素晴らしいワインです。

 

Clos Yでは、12月12日のレストラン講座のテーマを「ブルゴーニュ」とし、フィリップ・シャルロパン・パリゾのワインを含む良質ワインを、それに合わせた特別料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

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レストラン講座 世界の銘醸地を巡る!2012 募集中です!

レストラン講座とは、レストランを会場に料理とワインを合わせて楽しむ講座です。ワインの勉強ができて、料理とのマリアージュも体感できる、一石二鳥の講座ですね!
この講座は、テーマの産地の優良ワインと、そのワインに合わせて料理長に特別に作って頂くフルコースのフランス料理(冷前菜、温前菜、主菜、デザート)をお楽しみ頂ける講座です。毎月、世界の銘醸地を旅するように楽しい時間をお過ごしいただけます。

 
日時&テーマ
12月19日(水曜日) 20時から テーマ 半年に一度の豪華版 ※ワインも料理も豪華版です!

 

場所 

池袋 オザミ・サンカントヌフ (サンシャイン60ビルの59階にあります。)

 

受講料 

12月19日の豪華版 15,750円(税込) 

 

最大定員 

7名

 

詳細

12テーマ 半年に一度の豪華版

2012年最後のこの講座は、ワインも料理も、質・量ともにグレード・アップでお届けいたします!

アペリティフに クレマン・ダルザス ブリュット0 2006 ジュリアン・メイエ

冷前菜と プラ・デ・バジェス ピカポル 2009 アバダル

温前菜と ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・カタラーヌ グルナッシュ・ブラン ヴィエイユ・ヴィーニュ 2005 ドメーヌ・クロ・デ・フェ

肉料理と コート・デュ・マルマンデ シャント・クークー 2003 エリアン・ダ・ロス

チーズと コート・ド・カスティヨン 1999 プピーユ

デザートと ソーテルヌ 2001 シャトー・フィロ

  

オザミ・サンカントヌフ杉原シェフによる、ワインに合わせた特別料理にもご期待ください!

DSC00854 仔いのししのソーセージとブーダン・ノワール(温前菜)

DSC00859 濃厚な魚介のパエリア!1993 Rioja白と一期一会のマリアージュ。

DSC00855 ジビエもあります!スコットランド産ヤマウズラ。

DSC00856 濃厚なチョコレートのテリーヌ。バニュルスとの相性は抜群でした...

受講ご希望の方、使用予定のワイン、料理などについて気になる方はメールでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

 

※以上の予定ワインは変更になる場合があります。また、予期せぬワインの劣化(ブショネなど)が起こり得ることを予めご了承ください。

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ワインコラム 第85回 ルシヨン地方の話 マス・ブラン編

南フランスのルシヨン地方Roussillonをご存知でしょうか?

 

フランス最南端、スペインとの国境沿いに位置し、東は地中海に面しています。よくラングドック地方Languedocと一緒にされますが、ラングドック地方が177,000haのぶどう畑を持ち、スパークリング、白、赤、甘口など多彩なワインを生みだすのに対し、ルシヨン地方のぶどう畑はその約1/5の34,000haです。

 

ルシヨン地方で造られるワインは、主に濃縮感の強い赤ワインと酒精強化による甘口ワインです。また、標高の高い場所で造られる上質な白ワインも、生産量こそ少ないものの見逃せません。

 

今回は、スペインから北上してフランスに入る場合、最初のワイン産地になるバニュルスBanyulsコリウールCollioureについてご紹介いたします。

 

バニュルスとコリウールは、生産地域が重複しています。バニュルスと名乗るワインは全て酒精強化による甘口タイプのワインであるのに対して、コリウールは赤、白、ロゼのスティル・ワインです。

 

いずれも個性的な上質ワインで、数軒の優れた生産者がおりますが、私が訪問させていただいたのはその中でも最も重要な造り手のひとつ、ドメーヌ・デュ・マス・ブランDomaine du Mas Blancです。

 

マス・ブランはバニュルス・シュール・メールBanyuls-sur-Mer、「海の上のバニュルス」という美しい名を持つ、地中海沿いの美しい小さな町に位置しています。

Banyuls3Banyuls4 

マス・ブランはコリウールもバニュルスも、いろいろなタイプのワインを生産しており、いずれも高い評価を得ています。

 

この地域の畑は、海沿いの急斜面に展開されています。車で走っていると見上げてしまうような斜面もあります。傾斜が急なので機械作業は不可能です。南の暑い太陽が照りつける中、人手による作業が要求されます。

Banyuls 

結果、大切に育てられた上質なぶどうから、素晴らしいワインが生まれます。

 

バニュルスはポートワインのようなタイプもありますが、熟成容器を屋外にさらして造るランシオrancioというマデイラワインのようなタイプや、厳しい基準を満たしたグラン・クリュGrand Cruなど様々なタイプがあります。その個性により、アペリティフからフォワ・グラを使った料理、デザートまで幅広く楽しむことができます。

Banyuls8 屋外に晒されたランシオ用の樽 

コリウールは生産量の半分以上が赤ワインです。グルナッシュやシラーなどが使われますが、ワインにより品種構成が異なります。すると当然ワインの個性も異なりますが、色が濃く、果実味が豊かで、熟成によりその魅力を増していく素晴らしいワインです。私は、生産量は少ないのですが、コリウールのロゼを強くお勧めします。ロゼワインとしては濃い色調を有し、僅かにタンニンも感じられる、赤ワインのような性質を備えたロゼワインです。バニュルス・シュール・メールで、地中海を見ながら地元の魚介類と合わせたら最高でしょう!...なかなかできないことですが...

 

さて、マス・ブランではいろいろなキュヴェを試飲させて頂きました。個性的なバニュルスたち、畑別のキュヴェで仕込んだコリウールたち。それほど知られていないこのアペラシオンに、これほど上質なワインがあると、嬉しくなりました。

 

品質の割に、その知名度ゆえか、価格は控えめに設定されています。見つけたら是非試してみてください。冬は特に濃厚なコリウールの赤、そして甘いバニュルスが素敵な時間をくれるはずです。

 

Clos Yでは、11月16日のレストラン講座のテーマを「ルシヨン地方」とし、この地方のワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。マス・ブランの2000年の赤ワインが2種類出ます!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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