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2011-07

ワインコラム 第80回 ロワール地方の話 ミュスカデとグロ・プラン、そして石の話

暑い季節に飲みたくなるワインがあると思います。私の場合、ボルドー地方のアントル・ドゥー・メールEntre Deux Mersと、ロワール地方のミュスカデMuscadetがそれにあたります。この2つの銘柄は、爽やかで、良く冷やすとおいしく、生産者による品質のばらつきが少なく、抜群のコストパフォーマンスの良さがあります。

 

ミュスカデはフランスで一番長い川であるロワール川の河口に近い(海に近い)場所で栽培される、ミュスカデ(=Melon de Bourgogne)という白ぶどうから造られます。海に近いところで造られているためか、潮っぽい香りがして、海産物と良い相性を示してくれます。

 

私は、ミュスカデと、もう一つのあるワインをセットのように感じています。そのワインは、グロ・プラン・デュ・ペイ・ナンテGros Plant du Pays Nantais(以下グロ・プランと表記させて頂きます。)です。

 

グロ・プランという白ワインは、ミュスカデとは違いフォル・ブランシュFolle Blancheという白ぶどうから造られるのですが、産地はミュスカデに隣接しており、軽快な味わいから、詰められるボトルの形まで似ております。価格はミュスカデより安いくらいで、ミュスカデの弟分と表現しても良いのではないかと思います。

 

このグロ・プラン、フランスのワイン法としては、ミュスカデが属する最上のA.O.C.ではなく、その一つ下のカテゴリーに属しておりました。しかし、2011年にA.O.C.に昇格したのです!このことにより、今後さらに品質が向上していくかもしれません。

 

さて、ミュスカデもグロ・プランも、ナントNanteという大きな町の近くにあるワイン産地ですが、そのナントの町の北西120kmほどのところ、地方はブルターニュBretagneになりますが、カルナックCarnacという小さな町があります。フランスのどこにでもありそうなこの小さな町を有名にしているものがあります。それは、謎の巨石群です。

 

世界には、どうしてこのようなものがこんなところにあるのだろう?と首をひねってしまうものがありますね。石としては、イースター島のモアイやイギリスのストーン・ヘンジなどが有名ですね。カルナックの巨石群は、ストーン・ヘンジのように特別な形に組まれているわけではなく、モアイのように造形が施されているわけでもないのですが、普通に人々が暮らす田舎の小さな町の原っぱに謎の巨石が点在している様は不思議な感動をもたらしてくれます。

 

今年の夏の自由研究は、ワインを飲みながら石について調べることで決まりですね!

 

 

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vinclosy@aol.com

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ワインコラム 第79回 アルザス地方の話 ルネ・ミュレ編

今年も暑い夏がやってまいりました。

 

暑い時期には、冷涼地で造られた酸味の際立った爽やかな白ワインを良く冷やして楽しみたいですね。

 

今回は香り高い上質なワインを産する、フランス、アルザスAlsace地方のお話です。

 

アルザス地方は、フランス北東部に位置しています。主要都市はストラスブールStrasbourg。また、コルマールColmarは小さいながらも人気の観光地として知られています。

 

この地に行かれたことのある方は、この地方特有の風景に魅せられ、土地の人々の温かさに感激されたことでしょう。

 

ワイン産地としてみると、フランスでシャンパーニュChampagne地方に次いで北に位置する冷涼な産地です。西側にヴォージュVosge山脈があり、西から来る湿った空気を遮ってくれるため、フランスで最も降水量の少ないワイン産地になっています。

 

栽培されているぶどう品種は、唯一の黒ぶどうであるピノ・ノワールPinot Noirが9.6%で、残りは白ぶどうです。そう、ここは白ワイン王国なのです。

 

エレガントなリースリングRiesling、バラやライチの香りが華やかなゲヴュルツトラミネールGewurztraminerなどが有名ですね。

 

今回ご紹介する造り手さんは、アルザスのワイン産地でも南部のルーファックRouffachに居を構えるルネ・ミュレRené Muréです。

 

私がこの造り手さんを訪問したのは2008年の9月のことでした。

Rene Mure 

収穫時期にもかかわらず訪問を受け付けてくれました。収穫時期はワイナリーにとって一年で一番忙しい時期です。朝から晩まで、優れた造り手さんは妥協することなく働き続けます。

 

作業が立て込んでいるため、醸造所内の見学はできませんでしたが、テイスティング・ルームで各種ワインを試飲させていただきました。

 Rene Mure2 土壌のサンプル。

優れたクレマンCrémant(スパークリング・ワイン)、土地の力を感じる、上質な辛口白ワイン、遅摘みによる甘口白ワイン...

 

中でも面白かったのは、ヴァン・ド・ターブルVin de Table格付けのシャルドネです。アルザスでA.O.C.を名乗るためには、許可されたぶどう品種を用いなければなりませんが、シャルドネは許可品種に含まれていないため、ヴァン・ド・ターブル規格になってしまったワインです。向上心のある造り手さんは、いろいろ新しいことに挑戦したくなるのでしょう。

 

印象的だったのは、一連のピノ・ノワールです。アルザス地方のA.O.C.で唯一許可されている黒ぶどうであるピノ・ノワールを用いて、ルネ・ミュレでは数種類の赤ワインを造っています。その違いはぶどうの出所、つまり畑です。

 

カジュアルラインの出来にも感心させられましたが、何といっても圧巻はルネ・ミュレご自慢のモノポール畑、クロ・サン・ランドランClos Saint Landelinのピノ・ノワールです。

 

アルザス地方のように北部の冷涼な土地で育つ黒ぶどうはどうしても完熟が難しく、ワインにしても色素が薄く、軽いものになります。ところが、南向き斜面の畑で収量を抑えて栽培されたルネ・ミュレのピノ・ノワールのワインは、色も濃く、香り豊かで全体的に密度が高く、凝縮されています。とても北部のワインとは思えません。ブラインドで出されたなら、疑うことなくブルゴーニュを考えるでしょう。...しかもグラン・クリュを!

 

近年は温暖化の影響もあるのでしょうか、アルザス産の素晴らしいピノ・ノワールが増えてきている気がします。中でも、このクロ・サン・ランドランのピノ・ノワールは、ヴィンテージによるぶれも少なく、極上のピノ・ノワールだと断言できます。

 

この週末にでもアルザス・ワインを楽しんでみてはいかがでしょうか?暑さを忘れさせて、爽やかな気分になると思いますよ!

 

Clos Yでは、8月7日のレストラン講座を「半年に一度の豪華版」とし、ルネ・ミュレのクロ・サン・ランドラン・ピノ・ノワールを含む豪華なコースを予定しております。ゴッセ・ブラバンのキュヴェ・プレスティージュに始まり、ベルナール・デュガ・ピィのムルソー、シャトー・フィジャック1960など、一期一会の会になると思います。ご興味がありましたらご連絡ください。

 

 

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