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2014-08

ワイン・コラム 第160回 ブルゴーニュ地方の話 ルイ・ラトゥール編

コルトンCorton

ブルゴーニュ地方、コート・ド・ボーヌ地区唯一の赤ワインのグラン・クリュです。

ラドワ・セリニーLadoix-Serrigny村、アロース・コルトンAloxe-Corton村、そしてペルナン・ヴェルジュレスPernand-Vergelesses村、これら3ヵ村にまたがり、コルトンの丘があります。
Pernandから
遠くからでも目立つ、ぽこっとした丸いこの丘の日当たりの良い部分にはぶどうが植えられていて、特に上質なぶどうが収穫できる畑はコルトンやコルトン・シャルルマーニュCorton-Charlemagneといったグラン・クリュに格付けされています。

コート・ド・ニュイのグラン・クリュ、例えばマジ・シャンベルタンMazis-Chambertinやボンヌ・マールBonnes-Maresなどに比べると、コルトンの赤はやや地味な感じがあります。一般的なコルトンの価格がグラン・クリュとしては控えめで、それより高価なプルミエ・クリュもたくさんあることを考えると当然なのかもしれませんが、このアペラシオンを引っ張っていくような傑出した生産者が多く無いこともその理由の一つと言えるでしょう。

コルトンの優れた生産者としては、ボノー・デュ・マルトレイBonneau du Maltray、トロ・ボーTollot-Beaut、ブシャール・ペール・エ・フィスBouchard Père et Fils、ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレDomaine de la Vougeraie(近年ではD.R.C.)などが挙げられますが、今回はコルトン最大の所有者でるルイ・ラトゥールLouis Latourをご紹介いたします。

1731年からの歴史を持つこの生産者は、今日ではブルゴーニュだけでなく南仏でもワイン造りを行っていて、多くのアペラシオンを手掛けています。一般的には「ネゴシアン」としての認識が強いことと思われますが、自社畑を所有するドメーヌとしての顔も持ち合わせています。

極上のロマネ・サン・ヴィヴァンRomanée-Saint-Vivantなども造っていますが、この生産者のハートはコルトンにあるようです。

私がこのメゾンを訪問した時、まずはボーヌの街中にあるオフィスを訪ねました。するとすぐに車でコルトンの丘まで移動して、そこにある醸造所を案内してくださいました。

こだわりのある醸造設備や醸造方法など面白い点がありますが、私が興味深いと思う部分は、この生産者は複数のコルトンを造り分けているところです。

まずは、一般的な「コルトンCorton」。コルトンというグラン・クリュは複数の畑の集合体ですが、あるひとつの畑のぶどうのみからコルトンを造る場合、その畑の名を表記することができます。例えば、コルトン・ブレッサンドCorton Bressandesなど。ルイ・ラトゥールのコルトンの一番下に位置するこのキュヴェは、コルトンの複数の畑のぶどうをブレンドしたもので、畑名を名乗ることはできません。

それから、畑名入りのコルトン。コルトン・クロ・ド・ラ・ヴィーニュ・オ・サンCorton Clos de la Vigne Au Saintなど。普通に考えると、畑まで絞り込んだ、コルトンの中でも一番上に来るものです。しかし、ルイ・ラトゥールにはこの上があります。

それが、同社の看板ワインであるシャトー・コルトン・グランセイChâteau Corton Granceyです。ルイ・ラトゥールの自社畑のコルトン4つの畑の高樹齢のぶどうをブレンドして造ります。同社のコルトンの最上品、であるのかもしれませんが、ブルゴーニュの真の愛好家は畑の表現を確かめたいもので、複数畑のブレンドものには興味が無い、という方もいらっしゃるかもしれません。

今回はコルトンの話が中心になりましたが、同社のグラン・クリュの白、コルトン・シャルルマーニュはコルトンの赤以上の高い評価を得ています。ひとまずコルトンがどのようなワインか確かめたい場合には、この造り手のコルトンはひとつの基準になることでしょう。
Corton コルトン上部から

Clos Yは、9月から始まるブルゴーニュ ステップ・アップ講座 続編の第1回の内容をコルトンとその周辺とし、ルイ・ラトゥールの畑名入りのコルトンも試飲に登場してもらいます。ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第159回 チリの話 コノ・スル編

チリのワイン

そう聞いて、どのようなイメージが浮かぶでしょうか?カベルネ・ソーヴィニヨン、赤ワイン、安い、濃い...

恐らく「エレガント」や「(価格が)高い」というイメージはほとんど無いことでしょう。

一般的にはその通りだと思います。今回は、コノ・スルCono Surをご紹介いたします。日本でも人気の生産者ですね。ここのワインは特に「安い!」というイメージがあると思います。私はもう何年も前に、コノ・スルの日本で3桁の値段のワインを開けてみて、これはどうしたものかと悪い意味で驚かされた経験があります。

私は2013年にコノ・スルを訪問させて頂きました。果たして今日現在、コノ・スルは、そしてチリのワインは世界的にどの程度の位置にいるのか、確かめてみましょう。

コノ・スルが居を構えるのはチリの首都サンティアゴの南、ワイン産地としてはコルチャグア・ヴァレーColchagua Valleyに位置しています。

その歴史は1993年からとまだ新しいワイナリーですが、既に世界的に高い評価を得ています。

安く、質もそれなりだった経験のあるこのワイナリーのワイン。しかし比較的最近発売されたスパークリング・ワインの品質にとても良い印象を持っていましたので、現在はどうなのだろうと不安と期待を交えての訪問でした。

到着は夜。ゲスト・ハウスに案内され、コノ・スルのワインとバーベキューでもてなしてくださいました。
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夜空は月と星が美しかったです。
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広大な敷地には、畑と大きな醸造所があります。
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訪問させて頂いたのはちょうど収穫&醸造の時。
DSC01392丁寧な選果は上質ワイン造りに必須の工程です。

さて、肝心なテイスティングですが、シングル・ヴィンヤードSingle Vineyard20バレルズ20Barrelsシリーズを中心に行われました。

結果は驚きの連続でした。いずれも高品質!これが日本で1,000円台後半から2,000円台前半で売られているのを考えると、素晴らしく充実した内容です。

そしてコノ・スルの虎の子オシオOcio。チリで最高の、そして世界的にもトップ・クラスの、エレガントさを備えた、完成度の高いピノ・ノワールです。

訪問を終え感じたことは、この生産者のワインは「安い」のではなく「コスト・パフォーマンスが高い」ということです。品質に合わない低価格だと思います。そしてリースリングやピノ・ノワールはもちろん、カベルネ・ソーヴィニヨンなどにも「エレガントさ」が感じられました。

いわゆる新世界で「濃いだけ」のワインを造ることは難しいことではないのかもしれません。しかしそこにエレガントさを持たせるのはとても大変なことです。

コノ・スル1社を見ただけでも、チリ・ワインが世界的に高い位置づけにあることがわかります。

特にワインが好きという方々、今一度チリのワインを見直してみてはいかがでしょうか?

Clos Yは8月24日の「偉大なワインを飲む!」単発講座のテーマをピノ・ノワールとし、同品種による世界各国のテロワールの表現に注目してみたいと思っております。コノ・スルのオシオも登場いたします!ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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