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2010-07

ワインコラム 第56回 フランスの食材の話 ボルドー編

梅雨が明け、暑い日が続きますね。

 

食欲がわかない日もあるかもしれません。今回はフランス、ボルドーBordeaux地方のおいしい食材をご紹介いたしますので、このコラムで少しでも活力が湧いていただければ幸いです。

 Ausone入り口 日差しの強いボルドーの夏。

今回ご紹介するのは、「うなぎ」です。日本では土用の丑の日にうなぎを食べて、元気をつけますね。ボルドーでは特定の日にうなぎを食べるという習慣はないのですが、うなぎが食べられています。

 

うなぎのことを、フランス語でアンギーユanguilleといいます。フランス人は日本人ほどうなぎを食さないようですが、様々な調理法で楽しんでいるようです。例えば、パリの高級総菜屋さんに行くと見つけられるのが、「スモークうなぎ」です。フィレに下ろしたうなぎを燻製にしたもので、脂が乗っていておいしいものです。樽で熟成させた、香ばしい香りを持つボリューム感のある白ワインと良く合います!

 

うなぎのスモークはあまり一般的ではないかもしれませんが、ボルドー地方の郷土料理として、うなぎの赤ワイン煮込みMatelote d’anguilleがあります。うなぎをぶつ切りにし(日本ではまず見られないですね。)、香味野菜と赤ワインとともに煮込んでいきます。骨つきなので少々食べづらいです。かば焼きに慣れ親しんでいる日本人には、いまいちかな、と思ってしまうかもしれません...。しかし、これはこれでおいしく、特にボルドー地方の赤ワインと合わせやすいので面白い調理法だと思います。

 

他に、私が働いていたビストロで、ぶつ切りにしたうなぎをニンニクやパセリとともにソテーした料理を出していました。地元の料理と地元のワインは不思議に合うもので、セミヨンsémillonのふくよかさとソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blancの爽やかさを併せ持ったボルドーの白ワインと良く合います。

 

ボルドー地方には、「もうひとつのうなぎ」があります。やつめうなぎLamproieです。同じ「うなぎ」という名を持つものの、一般的なうなぎとは全く印象が異なります。生きた状態で網に入ったやつめうなぎを一度シェフが私に見せてくれたことがありましたが、口にはなんだか歯(牙?)がいっぱいあるし、びちびち動いているし、「絶対に噛まれたくない!」と、とても近寄れなかったのを覚えています。

 

ボルドーでは、若干の違いはあると思いますが、基本的にはやつめうなぎも普通のうなぎ同様に調理していきます。つまり、赤ワイン煮ですね。

 

うなぎも、やつめうなぎも、常備しているレストランは聞いたことがないので、もし運よく(?)メニューに載っていたら、試してみると面白いかもしれません。おいしくなくても、私は責任を取りませんが...(笑)

 

正直、日本のかば焼きが、うなぎの最高の調理法なのかな、と思う今日この頃です。

 

うなぎ自体、意外とワインと合わせやすい食材だと思います。この週末にでも、うなぎとワインを楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

 

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vinclosy@aol.com

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ワインコラム 第55回 イタリア ロンバルディア編

イタリア、ロンバルディア州Lombardia

 

聞きなれない名前かもしれませんが、州都であるミラノMilanoは広く知られていますね。

Milano ミラノの大聖堂 

イタリア北西部に位置しており、バローロBaroloなどで知られるピエモンテPiemonte州の東隣りの州です。

 

シャンパーニュChampagneに迫る高品質なスパークリング・ワインであるフランチャコルタFranciacortaや、バローロと同じ黒ぶどう品種から造られるヴァテッリーナ・スペリオーレValtellina Superioreなど、上質なワインが造られています。

 

私がこの地を旅したのは2008年の秋でした。フランスから電車でミラノに入り、ミラノで車を借りてフランチャコルタの産地に向かいました。

 

フランチャコルタの産地はミラノの北東にあるイゼオ湖Lago d’Iseoの南部に広がっています。

 

まずは中心となる町、エルブスコErbuscoに向かいました。イタリアのワイン産地を車で回るのは2回目でしたが、ロンバルディア州は初めてでしたので、道に迷ったのを覚えています...

 

しかしなんとか無事に(笑)辿り着きました。小さな町です。

Erbusco 

私はベッラヴィスタ社Bellavistaを訪れました。フランチャコルタを代表する上質なワインの造り手です。ベッラヴィスタとは「美しい眺め」という意味がありますが、小高い丘にあるワイナリーからは美しい景色を見渡すことができます。

Bellavista ワイナリーの入り口。 

今回の訪問ではワイナリーの内部を案内して頂きました。ベッラヴィスタでは、スパークリング・ワイン造りでは珍しく、ワインの熟成に樽を使用しています。樽を用いることにより、ワインに複雑味が加わります。

Bellavista6 フレンチ・オークの小樽。 

細かい醸造や熟成のテクニックはありますが、今回の訪問で改めて感じたことは、上質ワイン造りには「良いワインを造る造り手の意思」と「良質なぶどう」が欠かせないということです。

 

世界のワイン産地を訪問していてよく思うのですが、どんな田舎の無名な産地でも、優れた造り手は良いワインを造るための明確な見解を持っていて、畑仕事に力を入れています。

 

ベッラヴィスタも良いワイン造りに対する明確な考えを持ち、ぶどう栽培に力を入れていたのでした。複数のキュヴェを造っていますが、トップ・キュヴェはもちろん、スタンダード・キュヴェも良くできていますので、フランチャコルタとはどのようなものなのか試してみたいという方にはまずお勧めしたい造り手さんだと思います。

 

これからの季節、スパークリング・ワインを飲まれることが多くなると思います。ロンバルディア州が世界に誇るフランチャコルタも試してみてください!

 

Clos Yでは、7月15日のレストラン講座のテーマをロンバルディア州とし、フランチャコルタを始め同州の上質なワインをお楽しみいただきます。メインのお肉料理と合わせて頂くヴァルテッリーナ・スペリオーレ・スフルサットは陰干ししたぶどうから造られる力強い赤ワインで、是非試していただきたい逸品です。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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