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2009-08

ワインコラム 第26回 オーストラリア横断の話 南オーストラリア州編 その2

南オーストラリア州の旅は続きます。

 

リヴァーランドからアデレードに戻った私は再びバロッサ・ヴァレーBarossa Valleyに向かいました。グラント・バージGrant Burgeジェイコブス・クリークJacob’s Creekなどの大手を訪問し、安定した品質のワインに感心させられました。

grant-burge グラント・バージの畑

jacobs-creek ジェイコブス・クリークの近代的なセラー・ドア。レストランも併設されていて、たくさんの人が集まっていました。

 

jacobs-creek2 ジェイコブス・クリークの畑

 

少量の上質ワインを造ることよりも、良質なワインをたくさん造るほうが難しいのでは、と思います。

 

この日はバロッサ・ヴァレーの中心地であるタヌンダTanundaという町で夜を過ごしたのですが、ホテルがどこも満室で、町のはずれにあるキャラバン・パークに泊まりました。キャラバン・パークとは、広大な敷地にキャンピング・カーが置かれていて、利用者はそこに宿泊します。キャンピング・カーの内部にはベッド(私が利用した車には4人分のベッドがありました。)、キッチン、テレビ、冷蔵庫など必要なものはほとんど備わっています。トイレとシャワーは無く、パーク内の設備を使うことになります。4人で泊まれば安いですが、一人では一般的なホテルよりも高くつきました。一人旅は切ないものです...

 

ただ、夜の星の奇麗だったこと!オーストラリアでは美しい自然に何度も感動したものでした。

 

翌日は、エデン・ヴァレーEden ValleyヘンチキHenschkeを訪れました。英語を見て、どのように発音すればよいのかわからなかったのでワイナリーの人にどのように発音すればよいのか尋ねたところ、日本の発音そのままに「ヘンチキ」で良いとのことでした。面白い名前ですね!

 

名前は面白いですが、ヘンチキは実に高品質なワインの造り手です。トップ・キュヴェのヒル・オブ・グレースHill of Graceは恐らくオーストラリアで最も高価なワインです。試飲できなかったので、ワイナリーからやや離れた所にある畑を、舗装されていない道を走り見てきたのですが、見た感じはそれほど偉大なテロワールには見えませんでした。でも何か特別な要素があるのでしょうね。

hill-of-grace2 ヒル・オブ・グレース。貴重なぶどうを鳥に食べられないよう、ネットで保護されています。

 

続いて向かったのは、動物園です!ワインの話とそれるので、このお話は次回に番外編としてお届けいたします。

 

さて、次に向かったワイン産地はアデレードからやや南に下ったマクラレン・ヴェールMacLaren Valeです。ここも重要なワイン産地です。ダーレンベルグd’ArenbergピラミマPiramimma2つのワイナリーを訪れました。ダーレンベルグは老舗ワイナリーで、ワインは安定した品質を誇っています。品質の割に値段が安いので、感心させられます。ピラミマも優良生産者です。この造り手の甘口ワインは、私の心を打ちました!オーストラリアの甘口ワインは全体的にレベルが高いと思います。

 

この地区にはヌーンNoonというカルト・ワイナリーがあります。高品質なワインを造るものの生産量が少なく、常に高い値段が付けられています。ワイナリーの入口には訪問者を受け付けない「Soled Out」の文字が!

noon ヌーン入口。

 

残念ながらワイナリーの訪問はできませんでしたが、畑を見ることはできました。収穫間近の黒ぶどうが健やかに育っています。小粒で、いかにも濃いワインができそうです。後にシドニーでこのワイナリーのワインを飲んだのですが、私のワイン人生の中でも最も濃く、凝縮されたワインのひとつでした!

 

次に向かったのは、もしかするとオーストラリアで最も有名なワイン産地、クナワラCoonawarraです。クナワラはお隣のヴィクトリア州に近く、マクラレン・ヴェールから離れています。途中川を渡ったのですが、川には橋が無く、定期的に船が行き来していて、車を運んでくれます。

pict0104 向こうから、移動式橋(?)がやってきます。

面白い体験でした!

 

クナワラは、赤い土テラ・ロッサで有名な産地です。写真で見ると確かに赤い!のですが、オーストラリアには赤い土は珍しくないと思います。クナワラに限らず見られます。

katnooke795912 クナワラの畑。土が赤いでしょうか...?

 

ですが事実として、クナワラのワインは高品質です。カベルネ・ソーヴィニヨンが特に評価されていますが、実際に素晴らしいワインが多く造られています。

 

続いて、旅はお隣のヴィクトリア州へ続いていきますが...

次回はオーストラリア番外編、動物のお話です!

 

 

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ワインコラム 第25回 オーストラリア横断の話 南オーストラリア州編 その1

楽しかったマーガレット・リヴァーMagaret Riverの訪問を終えた私はパースに戻ってきました。

 

レンタカーを返し、電車で南オーストラリア州のアデレードAdelaideへと向かいます。約2,700kmの長旅です。駅で昼食に食べたのは「ステーキ・バーガー」。牛ステーキの入ったハンバーガーです。肉が豪快に入っているのはいいのですが、この食べ物はステーキをパンで挟んだようなもの。食べると、ステーキが噛みきれずに出てきてしまいます。...気をつけてください。

 

さて、壮大な自然の真ん中を突っ走り、無事にアデレードに着きました。

train2 オーストラリアの車窓から

 

早速レンタカーを借り、ワイン産地へと向かいます。

 

途中、町に車を止めて買い物をして、戻ったら駐車違反の紙が貼られていました。標識を見て確認して、大丈夫だろうと思ったのですが、標識を見誤っていたようです。...気をつけてください。

 

さて、南オーストラリア州は、オーストラリアのワイン生産量の半分近くを占める重要な生産地です。

 

まず私が向かったのは、上質なリースリングRieslingで有名なクレア・ヴァレーClare Valleyです。慣れない車に少し苦労しながらたどり着いたこの産地はなだらかな起伏に富んでいます。訪れたワイナリーはパイクスPikesです。

pikes1

 

pikes2 ちょうどぶどうの収穫時期でした。

 

さわやかな風味のリースリングのほかに、温暖な土地で栽培されるヴィオニエviognierサンジョヴェーゼSangioveseなどのワインもありました。

 

冷涼な気候のもと栽培されるリースリングで有名な産地なのに、なぜ温暖な気候のもと栽培されるぶどう品種が植えられているのか?この辺りに「新世界」と呼ばれるグループに属するオーストラリアのワイン産地としての歴史の浅さ&将来への可能性を感じます。

 

パイクスの人の説明によると、やはりクレア・ヴァレーは冷涼な気候のワイン産地のようです。その後リージングハムLeasingham社を訪問し、クレア・ヴァレーを後にしました。

 

次いでバロッサ・ヴァレーBarossa Valleyに向かいました。ここではペンフォールドPenfolds社を訪れました。シャルドネChardonnayシラーズShirazなど、複数のワインをテイスティングさせてもらいました。ここは比較的暖かいワイン産地ですが、冷涼な気候に適しているピノ・ノワールPinot Noirのワインがあったことには驚きました。

 

さらに私はこの後別のワイン産地を目指しました。大規模にワイン造りが行われているリヴァーランドRiverlandです。このワイン生産地区は少し離れたところにあるので、車を走らせましたが...

 

時速120kmほど出して、彼方まで真っ直ぐな道を延々と30分以上走っていると、何か妙な気持になります。所々丘を回ったりするのですが、基本はどこまでもまっすぐな道を走ります。

pict0067 まっすぐな道。

 

他の車はほとんど走っていませんし、ところどころにカンガルーの亡骸があったりして、不安な気持ちにさせられます。

 

なんとかたどり着いたリヴァーランドは、フランスでは考えられない規模の「大工場」が見られます。マレー川という大河の水を利用した灌漑設備が整った広大な畑が広がっています。

pict0066 マレー川。川に枯れた木が!

 

こうした光景をみると、オーストラリアだなあ、と実感します。フランスにないものを見るためにオーストラリアに来ているので、このようなところに来られて良かったと思いました。

 

次回は南オーストラリア州の続きです。

 

 

 

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ワインコラム 第24回 オーストラリア横断の話 西オーストラリア州編

前回のコラムでは、オーストラリアのワイン産地を旅するために真夏のパースPerthに着き、車を購入したその日にその車が廃車になったお話をしました。

 

嘆いていても始まりません。早速レンタカー屋さんを巡り、車を借りました。新しい車にテンションが上がり、意気揚々とマーガレット・リヴァーMagaret Riverを目指して出発です!

 

マーガレット・リヴァーは西オーストラリア州を代表するワイン産地です。海に近く、海洋性気候でフランスのボルドーBordeauxに似ていると言われています。しかし、実際両者を比較してみると日差しの強さが違います。マーガレット・リヴァーの太陽は、何と言いますか、フィルターを通していないというか、ぎらぎらと大地を焼きつけるような直接的な日差しを放っています。例えば、日陰にいて、手の甲などに少しだけ光が当たると、その部分に何かものが当たったようで反応してしまうほどです。

 

実際ぶどうの熟度は高く、ワインの平均アルコール度数もボルドーよりマーガレット・リヴァーのほうが高いようです。

 

マーガレト・リヴァーには、特にシャルドネChardonnayが高く評価されているワイナリー、ピエロPierroで働いている友人がいます。彼と合流してワイナリーを案内してもらいました。

 

このあたりは海に近く木が多く、比較的平坦な土地が続いています。

 

pierro4 Pierroの畑。上質なワインができる畑には起伏があるようです。

 

ヨーロッパに比べ、「土地が広いな」と感じました。訪れたワイナリーはビオディナミ農法を取り入れているカレンCullenシラーズShirazが印象深かったヴァス・フェリックスVasse Felix

vasse-felix Vasse Felix

 

ソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blancが秀逸なケープ・マンテルCape Mentelle、大規模で美しいヴォエジャー・エステイトVoyager Estate、「アート・シリーズ」が素晴らしいルーウィン・エステイトLeeuwin Estateなどです。どのワイナリーも予約なしで行ったのですが、セラー・ドアCellar Doorというワイン試飲&販売所を設けてあり、いろいろテイスティングさせていただきました。ワイナリーごとの個性はありましたが、どのワインもぶどうの熟度が高いことを思わせる、しっかりした味わいでした。オーストラリアを代表するシャルドネのひとつ、ルーウィン・エステイトのアート・シリーズ・シャルドネのスケールの大きさ、充実した味わいはさすがでした!

 

夜は友人が働いているピエロの醸造責任者のお宅に泊めていただきました。食事は豪快なバーベキューです!途中ピエロのオーナーがワインを持って加わり、みんなで食べて、飲みました。毎日移動、移動の一人旅では寂しい食事が多いので、久し振りの大人数での食事は楽しかったです!

 

pierro7 Pierroワイナリー入口

 

町から離れた、ぶどう畑に囲まれた場所で迎えた夜、星がびっくりするほど美しかったです。空が近くて、飲み込まれそうでした...

 

翌日は、友人と、マーガレット・リヴァーの南東に位置するワイン産地を回りました。まず向かったのはグレイト・サザンGreat Southernです。地図を見る限りそれほど遠くない感じでしたが、ノン・ストップのドライヴで4時間かかりました!車をほとんど見かけない、まっすぐな道を走り、時に森を超え、グレイト・サザンの中の小地区であるマウント・バーカーMount BakerプランタジェネットPlantagenet社を訪れました。なかなか評価の高いワイナリーですが、私は特に甘口ワインが気に入りました。ポート・ワインタイプのものと、ヨーロッパでは珍しい樽熟成をさせたミュスカMuscatは上質でした!

 

次いで、ペンバートンPemberton地区にあるラスト・レイクLast Lakeを訪れました。

last-lake Last LakeのChardonnay

 

ここのセラー・ドアの方はとても陽気で、楽しかったです!オーストラリアの人々は心が開放的で、親切でした。一人旅をしていて、その優しさに救われたことが何度もあったものです。ラスト・レイクのすぐ隣に、ピカルディPicardyというワイナリーがあります。閉まっていて訪問できませんでしたが、比較的暑い西オーストラリア州では珍しく、上質なピノ・ノワールPinot Noirが成功しています。トップ・キュヴェであるテット・ド・キュヴェTête de Cuvéeは一度試してみる価値のあるワインだと思います。

 

朝出発して、マーガレット・リヴァーに戻ったのは夜でした。往復700km!思った以上に走り、疲れました!

 

お世話になった友人との最後の夜、またバーベキューをして、ピエロのワインを飲んだのでした。

 

次回は、大きく移動をして、南オーストラリア州のお話です。

 

 

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ワインコラム 第23回 オーストラリア横断の話 その1

私は昨年1月から3月にかけて、オーストラリアのワイン産地を巡る旅をしてきました。

 

南半球に位置するオーストラリアは北半球とは季節がほぼ逆になっているので、一年でも最も暑い時期だったわけです。

 

128日、真冬の日本を出た私は、真夏のオーストアリアに着きました。西オーストラリア州最大の都市、パースPerthです。空の青さ、日差しの強さが眩しかったです。最初はこの日差しが気持ち良かったものでしたが、後々この光に悩まされました...!驚くほど強い日差しで、とても「熱く」、車の運転も苦労したものです。

 

さて、私の計画は、パースで車を手に入れ、海岸沿いに点在するワイン産地を東へ東へと移動し、シドニーから帰国する、というものでした。ひたすら、ワイン修行の日々です!

 

初めてのパースには興味がありましたが、「車を買うこと」だけに専念しました。広大なオーストラリアは車社会ですから、車の売買が個人間でも一般的に行われているとの前情報を頼りに行動開始です。

 

まずは着いて数時間で、携帯電話を買いました。プリペイド式のもので、カードを買ってチャージして使うものです。慣れない英語に苦労しましたが、なんとかチャージして準備O.K.です。

 

...今考えると、ここで携帯を買っておいて本当に良かったです。その話はまた後ほどいたします...

 

車の売買がどのように行われているかと言うと、人が多く集まる場所(観光、情報センターなど)に貼り紙がしてあります。車のメーカー、車種、走行距離、値段などが書いてあり、連絡先の電話番号も書かれています。そこに電話して、アポを取って、車を見せてもらうわけです。

 

早く車を手にしてワイン産地巡りをしたかったものですから、2日ほどで数件の車を見て、早速購入しました。

beech 車の試運転で訪れたビーチ。

 

私はパース在住の日本人から個人的に購入しました。お金を払い、「オーナー交代書」にお互いサインします。それを持って役所に行くとオーナーの交代が公的に成立します。いろいろ大変でしたが、手続きを済ませて「これでこの車のオーナーはあなたです。」と言われたときはかなり嬉しかったものです!

 

さて、ここで大まかにオーストラリアのワイン産地のご紹介をいたします。オーストラリアは大きく7つの州に分かれていますが、その中でも特に重要なワイン産出州は西オーストラリア州Western Austraria南オーストラリア州South Australiaヴィクトリア州Victoriaタスマニア州Tasmaniaニュー・サウス・ウェールズ州New South Walesです。上記の順に、西から東へと効率よく旅をしようと思い、私はパースに入ったわけです。

 

まずは西オーストラリア州のワイン産地の訪問です。

 

パースのすぐ東に位置するスワン・ヴァレーSwan Valley。それほど重要な地区ではありませんが、今回初めて訪れる産地で期待が膨らみます。

 

びっくりしたのは、見慣れたヨーロッパのぶどうと仕立て方が全く異なる点です。

swan-valley3 幹が細く、樹齢が若そうな木に大粒の黄色いぶどうがなっています。

 

今回オーストラリアを訪問したのは、伝統的ワイン生産国であるフランスと異なる点の多いワイン産地に行ってみたかったからで、ぶどうの栽培法ひとつ見てもここに来てよかったと思えるものでした。

 

フランスで造り手巡りをするときは、必ず事前にアポを取ってから行くのですが、今回のオーストラリアの旅ではほとんどアポなしでワイナリーを巡りました。ありがたいことにこの国には「セラー・ドア」なるものがあります。一言でいうとワイナリーの「試飲販売所」のようなもので、アポなしで行ってもワインをテイスティングすることができます。

 

スワン・ヴァレーでは数件のワイナリーを訪問しました。私はいつも試飲のときワインを飲みこまずに吐き出すのですが、暑い中よく冷えた白ワインは思わず飲み込みたくなるほどおいしかったです!

 

さて、続いて西オーストラリア州のハイライト、マーガレット・リヴァーMagaret Riverへ移動します。パースから、地図を見るとすぐなのですが、200km以上離れています。オーストラリアの旅では、この「距離感」にやられた部分がありました。真夏の暑い中、長時間の運転は楽ではないですね。

 

マーガレット・リヴァーを目指し運転していた時に、「事件」は起こりました。車を購入した初日、初めての道を運転するので、いろいろ気を使いながら走っていました。車のメーターを見ると、エンジンの温度が上がっています。暑い国なのでこんなものなのかなと思っていたのですが(今考えると、そんなことはないのですが)、どんどん温度が上昇していくのでこれはまずいなと思い、どこか車を止められるところがあればそこで様子を見てみようと決めました。しかし行けども行けどもまっすぐな太い道が続いて、車を止められそうな場所がありません。

 

その時です。今でもあの感覚は忘れられませんが、急にアクセルが上がり、メーターのあらゆるランプが一斉に点灯しました。最初はパンクかと思いました。路肩に車を寄せ、止めたのですが、明らかに様子が変です。

 

...オーバーヒートでした。買った車に不備があったのでしょうね。どうにも身動きが取れなくなってしまったので、日本のJAFのような会社に電話をしました。本当に、携帯を買っておいて良かったです!私は英語が流暢に話せない上に、自分が今どこにいるのかも正確にわからない状況でいろいろ説明しました。1時間ほどでしょうか、来てくれた方が車を見てくれたのですが、どうやらエンジンが完全に壊れてしまったようで、レッカー車を呼ぶとのこと。今度は2時間近く寂しく待つことになりました。

 

このときの気持ち、暑さ...思い出したくありません(泣)。

 

結局レッカー車で車ごとパースに戻りました。今後どうしようかな、といろいろ考えましたが、もはや新たに車を探す気力もなく、とりあえず西オーストラリア州はレンタカーで回ろうと決めました。

 

いやー、実際パースでの数日は大変でした。豪ドルも高かったですし、今後も未知のワイン産地を旅しなければならないわけですから、気分的にも下がっていましたね。

 

でも、実際のところ今後の旅は順調に、楽しく進んで行くのでした。次回は、マーガレット・リヴァーのお話です。

 

 

 

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ワインコラム 第22回 シャンパーニュChampagneの話

暑い日が続きますね。夏はやはりさっぱりとした白ワインか、よく冷えたスパークリング・ワインがおいしいですよね。

 

今回はスパークリング・ワインの王様、シャンパーニュChampagneのお話です。

 

スパークリング・ワインの一種であるシャンパーニュは、フランス北東部のシャンパーニュ地方で造られるワインです。

 

シャンパーニュ地方の中心都市はランスReimsです。パリから北東へたったの145km。フランスの歴代国王が戴冠式を行った立派なノートル・ダム大聖堂は、世界遺産に指定されています。

reims1 目を奪われる彫刻が施されたランスの大聖堂。

 

市内には料金を支払って見学できるシャンパーニュ・メーカー(メゾン)が少なからずあります。

 

ワイン産地は5つの地区に分かれています。特に重要とされているのが、17あるグラン・クリュの村を含むモンターニュ・ド・ランスMontagne de Reims地区、ヴァレ・ド・ラ・マルヌVallée de la Marne地区、コート・デ・ブランCôte des Blancs地区です。

 

モンターニュ・ド・ランス地区からは上質なピノ・ノワールPinot Noir(黒ぶどう)が、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区からはピノ・ムニエPinot Meunier(黒ぶどう)が、コート・デ・ブラン地区からは極上のシャルドネChardonnay(白ぶどう)が収穫されます。

verzenay1 モンターニュ・ド・ランス地区、ヴェルズネイ村。

 

シャンパーニュは主に上記3品種のブレンドからワインを造っています。私たちが乾杯!しているシャンパーニュの多くはこのブレンド・タイプ(ブレンドのことをフランス語でアッサンブラージュassambageと言います。以下、ブレンドのことをアッサンブラージュと表記します。)ですが、中には特別なアッサンブラージュのものがあります。黒ぶどうのみ(ピノ・ノワールとピノ・ムニエ)から造られた場合はブラン・ド・ノワールBlanc de Noirs、白ぶどうのみ(シャルドネ)から造られた場合はブラン・ド・ブランBlanc de Blancsと表記されます。

 

一言で「シャンパン」といってもいろいろなタイプがあるのですね。では、実際に造り手さんを訪問してみましょう。

 

まずは、モンターニュ・ド・ランス地区、グラン・クリュのアンボネイAmbonnay村のエグリ・ウーリエEgly Ourietさんです。モエ・エ・シャンドンMoët et Chandonやヴーヴ・クリコVeuve Clicquotなど大手メゾン(メゾンとは、シャンパーニュ地方におけるワインの造り手のこと)が市場の大半を占めるシャンパーニュにおいて、家族単位で頑張っている造り手さんです。小規模ながらワインの品質はトップクラスで、高い評価を得ています。

 

「完璧主義者」とされるこの造り手は、醸造はさることながら畑仕事に力を入れています。本当に、ワインとはぶどうですから、いかに良いぶどうを得るかが重要です。私は彼の畑仕事を1年中観察したわけではないのですが、少なく見ても人の倍以上の仕事はしているはずです。そうして得られた上質なぶどうをシャンパーニュへと造っていきます。発酵に樽を用いるなど、手間暇をかけた一流の仕事の結果できたシャンパーニュは尊敬に値する品質です。

 

シャンパーニュ地方では、スパークリング・ワインだけでなく、泡のないワイン(スティル・ワイン、つまり普通のワイン)も造られています。エグリ・ウーリエの赤ワイン「アンボネイ・ルージュ Ambonnay Rouge」はブルゴーニュの上質ワインに劣らない、驚くほどの品質です。

 

さて、今度はコート・デ・ブランの造り手さんです。グラン・クリュのメニル・シュール・オジェMesnil sur Oger村にあるメゾン、サロンSalonを見てみましょう。

salon1

 

サロンは特別な生産者です。通常シャンパーニュのボトルにはヴィンテージの記載がありません。複数の収穫年のワインをブレンドして造られているからです。しかしサロンのボトルには必ずヴィンテージが記載されています。サロンは、良年に、その年のぶどう100%でしかワインを造りません。逆に言うと、良いヴィンテージとならなかった年にはワインを生産しないのです。ワインを造らないワインメーカーなんて、絵を描かない画家みたいなものですよね。本当に特殊な生産者です。

 

その分、品質に対するこだわりは並大抵のものではありません。良年の偉大なぶどうを丁寧に発酵させ、シャンパーニュを造ります。それを10年ほど熟成させてから、ようやく出荷します。10年!果物を収穫して10年後に発売するなんて、通常考えられませんよね!今が旬のすいかも、10年経ってから販売しようと思ったら、影も形もなくなっているのではないでしょうか。

 

しかし、サロンのシャンパーニュは、10年の熟成を経てもぴちぴちしています。まだまだ飲むには若い状態です。すごいですね。これが極上ワインの姿なのですね。

 

エグリ・ウーリエやサロンはなかなか気軽に飲めるものではありませんが、暑い夏に飲む冷たいシャンパーニュは格別ですよね!シャンパーニュとともに素敵な夏をお過ごしください。

 

 

 

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