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ワインコラム 第22回 シャンパーニュChampagneの話

暑い日が続きますね。夏はやはりさっぱりとした白ワインか、よく冷えたスパークリング・ワインがおいしいですよね。

 

今回はスパークリング・ワインの王様、シャンパーニュChampagneのお話です。

 

スパークリング・ワインの一種であるシャンパーニュは、フランス北東部のシャンパーニュ地方で造られるワインです。

 

シャンパーニュ地方の中心都市はランスReimsです。パリから北東へたったの145km。フランスの歴代国王が戴冠式を行った立派なノートル・ダム大聖堂は、世界遺産に指定されています。

reims1 目を奪われる彫刻が施されたランスの大聖堂。

 

市内には料金を支払って見学できるシャンパーニュ・メーカー(メゾン)が少なからずあります。

 

ワイン産地は5つの地区に分かれています。特に重要とされているのが、17あるグラン・クリュの村を含むモンターニュ・ド・ランスMontagne de Reims地区、ヴァレ・ド・ラ・マルヌVallée de la Marne地区、コート・デ・ブランCôte des Blancs地区です。

 

モンターニュ・ド・ランス地区からは上質なピノ・ノワールPinot Noir(黒ぶどう)が、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区からはピノ・ムニエPinot Meunier(黒ぶどう)が、コート・デ・ブラン地区からは極上のシャルドネChardonnay(白ぶどう)が収穫されます。

verzenay1 モンターニュ・ド・ランス地区、ヴェルズネイ村。

 

シャンパーニュは主に上記3品種のブレンドからワインを造っています。私たちが乾杯!しているシャンパーニュの多くはこのブレンド・タイプ(ブレンドのことをフランス語でアッサンブラージュassambageと言います。以下、ブレンドのことをアッサンブラージュと表記します。)ですが、中には特別なアッサンブラージュのものがあります。黒ぶどうのみ(ピノ・ノワールとピノ・ムニエ)から造られた場合はブラン・ド・ノワールBlanc de Noirs、白ぶどうのみ(シャルドネ)から造られた場合はブラン・ド・ブランBlanc de Blancsと表記されます。

 

一言で「シャンパン」といってもいろいろなタイプがあるのですね。では、実際に造り手さんを訪問してみましょう。

 

まずは、モンターニュ・ド・ランス地区、グラン・クリュのアンボネイAmbonnay村のエグリ・ウーリエEgly Ourietさんです。モエ・エ・シャンドンMoët et Chandonやヴーヴ・クリコVeuve Clicquotなど大手メゾン(メゾンとは、シャンパーニュ地方におけるワインの造り手のこと)が市場の大半を占めるシャンパーニュにおいて、家族単位で頑張っている造り手さんです。小規模ながらワインの品質はトップクラスで、高い評価を得ています。

 

「完璧主義者」とされるこの造り手は、醸造はさることながら畑仕事に力を入れています。本当に、ワインとはぶどうですから、いかに良いぶどうを得るかが重要です。私は彼の畑仕事を1年中観察したわけではないのですが、少なく見ても人の倍以上の仕事はしているはずです。そうして得られた上質なぶどうをシャンパーニュへと造っていきます。発酵に樽を用いるなど、手間暇をかけた一流の仕事の結果できたシャンパーニュは尊敬に値する品質です。

 

シャンパーニュ地方では、スパークリング・ワインだけでなく、泡のないワイン(スティル・ワイン、つまり普通のワイン)も造られています。エグリ・ウーリエの赤ワイン「アンボネイ・ルージュ Ambonnay Rouge」はブルゴーニュの上質ワインに劣らない、驚くほどの品質です。

 

さて、今度はコート・デ・ブランの造り手さんです。グラン・クリュのメニル・シュール・オジェMesnil sur Oger村にあるメゾン、サロンSalonを見てみましょう。

salon1

 

サロンは特別な生産者です。通常シャンパーニュのボトルにはヴィンテージの記載がありません。複数の収穫年のワインをブレンドして造られているからです。しかしサロンのボトルには必ずヴィンテージが記載されています。サロンは、良年に、その年のぶどう100%でしかワインを造りません。逆に言うと、良いヴィンテージとならなかった年にはワインを生産しないのです。ワインを造らないワインメーカーなんて、絵を描かない画家みたいなものですよね。本当に特殊な生産者です。

 

その分、品質に対するこだわりは並大抵のものではありません。良年の偉大なぶどうを丁寧に発酵させ、シャンパーニュを造ります。それを10年ほど熟成させてから、ようやく出荷します。10年!果物を収穫して10年後に発売するなんて、通常考えられませんよね!今が旬のすいかも、10年経ってから販売しようと思ったら、影も形もなくなっているのではないでしょうか。

 

しかし、サロンのシャンパーニュは、10年の熟成を経てもぴちぴちしています。まだまだ飲むには若い状態です。すごいですね。これが極上ワインの姿なのですね。

 

エグリ・ウーリエやサロンはなかなか気軽に飲めるものではありませんが、暑い夏に飲む冷たいシャンパーニュは格別ですよね!シャンパーニュとともに素敵な夏をお過ごしください。

 

 

 

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