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ワインコラム 第23回 オーストラリア横断の話 その1

私は昨年1月から3月にかけて、オーストラリアのワイン産地を巡る旅をしてきました。

 

南半球に位置するオーストラリアは北半球とは季節がほぼ逆になっているので、一年でも最も暑い時期だったわけです。

 

128日、真冬の日本を出た私は、真夏のオーストアリアに着きました。西オーストラリア州最大の都市、パースPerthです。空の青さ、日差しの強さが眩しかったです。最初はこの日差しが気持ち良かったものでしたが、後々この光に悩まされました...!驚くほど強い日差しで、とても「熱く」、車の運転も苦労したものです。

 

さて、私の計画は、パースで車を手に入れ、海岸沿いに点在するワイン産地を東へ東へと移動し、シドニーから帰国する、というものでした。ひたすら、ワイン修行の日々です!

 

初めてのパースには興味がありましたが、「車を買うこと」だけに専念しました。広大なオーストラリアは車社会ですから、車の売買が個人間でも一般的に行われているとの前情報を頼りに行動開始です。

 

まずは着いて数時間で、携帯電話を買いました。プリペイド式のもので、カードを買ってチャージして使うものです。慣れない英語に苦労しましたが、なんとかチャージして準備O.K.です。

 

...今考えると、ここで携帯を買っておいて本当に良かったです。その話はまた後ほどいたします...

 

車の売買がどのように行われているかと言うと、人が多く集まる場所(観光、情報センターなど)に貼り紙がしてあります。車のメーカー、車種、走行距離、値段などが書いてあり、連絡先の電話番号も書かれています。そこに電話して、アポを取って、車を見せてもらうわけです。

 

早く車を手にしてワイン産地巡りをしたかったものですから、2日ほどで数件の車を見て、早速購入しました。

beech 車の試運転で訪れたビーチ。

 

私はパース在住の日本人から個人的に購入しました。お金を払い、「オーナー交代書」にお互いサインします。それを持って役所に行くとオーナーの交代が公的に成立します。いろいろ大変でしたが、手続きを済ませて「これでこの車のオーナーはあなたです。」と言われたときはかなり嬉しかったものです!

 

さて、ここで大まかにオーストラリアのワイン産地のご紹介をいたします。オーストラリアは大きく7つの州に分かれていますが、その中でも特に重要なワイン産出州は西オーストラリア州Western Austraria南オーストラリア州South Australiaヴィクトリア州Victoriaタスマニア州Tasmaniaニュー・サウス・ウェールズ州New South Walesです。上記の順に、西から東へと効率よく旅をしようと思い、私はパースに入ったわけです。

 

まずは西オーストラリア州のワイン産地の訪問です。

 

パースのすぐ東に位置するスワン・ヴァレーSwan Valley。それほど重要な地区ではありませんが、今回初めて訪れる産地で期待が膨らみます。

 

びっくりしたのは、見慣れたヨーロッパのぶどうと仕立て方が全く異なる点です。

swan-valley3 幹が細く、樹齢が若そうな木に大粒の黄色いぶどうがなっています。

 

今回オーストラリアを訪問したのは、伝統的ワイン生産国であるフランスと異なる点の多いワイン産地に行ってみたかったからで、ぶどうの栽培法ひとつ見てもここに来てよかったと思えるものでした。

 

フランスで造り手巡りをするときは、必ず事前にアポを取ってから行くのですが、今回のオーストラリアの旅ではほとんどアポなしでワイナリーを巡りました。ありがたいことにこの国には「セラー・ドア」なるものがあります。一言でいうとワイナリーの「試飲販売所」のようなもので、アポなしで行ってもワインをテイスティングすることができます。

 

スワン・ヴァレーでは数件のワイナリーを訪問しました。私はいつも試飲のときワインを飲みこまずに吐き出すのですが、暑い中よく冷えた白ワインは思わず飲み込みたくなるほどおいしかったです!

 

さて、続いて西オーストラリア州のハイライト、マーガレット・リヴァーMagaret Riverへ移動します。パースから、地図を見るとすぐなのですが、200km以上離れています。オーストラリアの旅では、この「距離感」にやられた部分がありました。真夏の暑い中、長時間の運転は楽ではないですね。

 

マーガレット・リヴァーを目指し運転していた時に、「事件」は起こりました。車を購入した初日、初めての道を運転するので、いろいろ気を使いながら走っていました。車のメーターを見ると、エンジンの温度が上がっています。暑い国なのでこんなものなのかなと思っていたのですが(今考えると、そんなことはないのですが)、どんどん温度が上昇していくのでこれはまずいなと思い、どこか車を止められるところがあればそこで様子を見てみようと決めました。しかし行けども行けどもまっすぐな太い道が続いて、車を止められそうな場所がありません。

 

その時です。今でもあの感覚は忘れられませんが、急にアクセルが上がり、メーターのあらゆるランプが一斉に点灯しました。最初はパンクかと思いました。路肩に車を寄せ、止めたのですが、明らかに様子が変です。

 

...オーバーヒートでした。買った車に不備があったのでしょうね。どうにも身動きが取れなくなってしまったので、日本のJAFのような会社に電話をしました。本当に、携帯を買っておいて良かったです!私は英語が流暢に話せない上に、自分が今どこにいるのかも正確にわからない状況でいろいろ説明しました。1時間ほどでしょうか、来てくれた方が車を見てくれたのですが、どうやらエンジンが完全に壊れてしまったようで、レッカー車を呼ぶとのこと。今度は2時間近く寂しく待つことになりました。

 

このときの気持ち、暑さ...思い出したくありません(泣)。

 

結局レッカー車で車ごとパースに戻りました。今後どうしようかな、といろいろ考えましたが、もはや新たに車を探す気力もなく、とりあえず西オーストラリア州はレンタカーで回ろうと決めました。

 

いやー、実際パースでの数日は大変でした。豪ドルも高かったですし、今後も未知のワイン産地を旅しなければならないわけですから、気分的にも下がっていましたね。

 

でも、実際のところ今後の旅は順調に、楽しく進んで行くのでした。次回は、マーガレット・リヴァーのお話です。

 

 

 

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