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2012-05

ワインコラム 第99回 ブルゴーニュ地方 畑の話 ル・クロ・ブラン・ド・ヴージョ編

偉大な畑がひしめく、フランス、ブルゴーニュ地方。

 

名高いワインを生みだす高名な畑には、歴史と物語があります。

 

今回は、コート・ド・ニュイCôte de Nuitsにおける白ワインの畑、ル・クロ・ブラン・ド・ヴージョLe Clos Blanc de Vougeotをご紹介いたします。

 

シャンベルタンChambertin、ミュジニーMusigny、ロマネ・コンティRomanée-Contiなど、錚々たる赤ワインの産地として知られるコート・ド・ニュイ。ニュイ・サン・ジョルジュNuits-Saint-Georges村やモレイ・サン・ドゥニMorey-Saint-Denis村などで、僅かに白ワインも生産されていますが、あまり話題に上ることもありません。

 

そんな赤ワイン王国のコート・ド・ニュイにおいて、白ワイン専門の畑として名を馳せるのがヴージョVougeot村にあるル・クロ・ブラン・ド・ヴージョです。

Le Clos Blanc de Vougeot 

有名なグラン・クリュであるクロ・ド・ヴージョClos de Vougeotに隣接し、起源を同じくするこの畑は、シトー派の修道僧によって1098年に拓かれました。1110年が最初のヴィンテージとされ、9世紀に及ぶ歴史を誇ります。かつてはル・プティ・クロ・ブラン・ド・シトーLe Petit Clos Blanc de Cîteaux(シトーの小さな白いクロ)やラ・ヴィーニュ・ブランシュ・ド・ヴージョLa Vigne Blanche de Vougeot(ヴージョの白いぶどうの樹)などとも呼ばれていたようです。

Le Clos Blanc de Vougeot2 白ぶどうに適した白い土壌。 

今日に至るまで、フランス革命などの危機を乗り越え、常にモノポール(単独所有されている状態)を維持していることもこの畑の特徴のひとつです。

 

今日この畑を所有しているのはドメーヌ・ドゥ・ラ・ヴージュレDomaine de la Vougeraieです。ブルゴーニュ地方の巨人、ボワセBoisset社が1999年に立ちあげた、高品質ワインに特化した造り手です。

 

複数のグラン・クリュを所有するヴージュレから見ても、歴史あるこの畑は宝石のように大切で、ビオディナミ農法で管理され、馬による耕作が行われています。面積は2.28ha。生産量は年により異なりますが、2008年は10,502でした。

 

ワインの醸造面では、選別された健全なぶどうはゆっくりと優しく搾られ、樽でアルコール発酵が行われます。樽に使用される木材は上質なことで知られるアリエと、ブルゴーニュのシトーの森のものというこだわり。発酵後、20ヵ月という長い期間熟成されます。

 

電気や車の無かったはるか昔から脈々と引き継がれてきた伝説の畑。労働と学習を重んじたシトー派の修道僧たちは、日の出から日の入りまで働く日々を過ごしていたのでしょう。2012年で903回目の収穫を迎えるこの畑のワインを飲むことは、連綿と続くブルゴーニュの歴史の一部を体感することにつながっています。

 

Clos Yは、6月3日のレストラン講座のテーマを「ドメーヌ・ドゥ・ラ・ヴージュレ」とし、同ドメーヌのワインをそれに合わせた特別料理と共にお楽しみ頂きます。伝説のル・クロ・ブラン・ド・ヴージョも登場します。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

ワインコラム 第98回 オーストラリアの話 ピエロ編

いろいろなワイン産地を巡ると、特に印象に強く残る産地もあれば、その逆の産地もあります。

 

ワインも同様で、ふとした瞬間に思いだし、また飲みたいな、という衝動に駆られるワインがあります。

 

訪問したワイン産地の中で、オーストラリアAustraliaの各地はそれぞれ印象深く、同時に非常に魅力的なワインも少なからずありました。

 

今回は、そのような魅力的なワインを産する、西オーストラリア州、マーガレット・リヴァーMagaret River地区のワイナリー、ピエロPierroをご紹介いたします。

 

西オーストラリア州を回ったお話はこのワインコラム第24回に綴ってあります。西オーストラリア州の雰囲気などは第24回のコラムをご覧ください。ピエロについても少し触れております。

 

さて、ピエロですが、1980年に、知的なマイケル・ペターキン氏が創立した、マーガレット・リヴァーを代表するワイナリーのひとつです。覚えやすい名前、印象的なラベルは、ペターキン氏が銀行に融資を申し込みに行った時の行員の困った顔がモデルと言われています。医師であるペターキン氏から突然このような相談を受け、困る行員の気持ちもわかる気がします...(笑)

 

ワインは、複数のキュヴェを造っています。特にシャルドネの評価が高いことで知られています。

 

私が訪問したのは2008年の2月上旬。畑には収穫を迎えるぶどうが健全に実っていました。

 

海から3kmほどの場所に位置するこのワイナリーでは、シャルドネの他にセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラーズ、ピノ・ノワール等が栽培されています。

Pierro P.N. ピエロのピノ・ノワール 

海洋性の、ボルドーに近いと言われる気候のもと、ピノ・ノワールを栽培しているワイナリーは多くありません。この辺りで、ピノ・ノワールで有名なのは、やや南に下った産地、ペンバートンPembertonのピカーディPicardyくらいでしょうか。

 

ピカーディもピエロも、ブルゴーニュとは異なるスタイルですが、上質なピノ・ノワールを造っています。

 

ぶどう栽培はうねりのある丘陵地で行われ、灌漑をするにも考え抜かれた独自の技術を取り入れています。醸造は、例えばシャルドネの熟成にバトナージュを行うなど、ブルゴーニュ風の様式も取り入れています。

 Pierro3 醸造所内部の様子

このワイナリーは、ファイアー・ガリー・ヴィンヤードFire Gully Vineyardのぶどうから造るワインを、Fire Gullyとしてピエロとは別ブランドで販売しています。ラベルにはファイアー・ガリーを表す「火谷」と漢字で書かれています。これは、太極拳を行っているペターキン氏のアイデアだとか。

 

素晴らしいワインを生みだすオーストラリア。その最西端に位置するピエロのワイン、一度試す価値があると思います!

 

Clos Yは、5月16日のレストラン講座のテーマを「半年に一度の豪華版」とし、上質なワインと料理のマリアージュをお楽しみ頂きます。希少なピエロのピノ・ノワールも登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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