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2012-02

ワインコラム 第93回 シャンパーニュの話 エグリ・ウーリエ編

偉大なワインとは何か、ということを考えてみると、この問いに対する答えは難しく、人それぞれになるかもしれません。

 

ある人は豊富ながらも溶け込んだなめらかなタンニンを持つ赤ワイン、と答えるかもしれませんし、ある人はとろりとするような濃厚な甘口ワイン、またある人は香り高くミネラル感が溢れる白ワインと答えるかもしれません。

 

偉大なワインと呼べるワインに共通しているものは、美しい色調、豊かで複雑な香り、果実味と酸味の高度なバランス、そして長い余韻でしょう。

 

今回は、シャンパーニュChampagne地方トップ・クラスの造り手のひとり、偉大なワインを生みだすエグリ・ウーリエEgly Ourietをご紹介いたします。

 

シャンパーニュ地方、モンターニュ・ド・ランスMontagne de Reims地区、グラン・クリュに指定されているアンボネイAmbonnay村に居を構えるこの造り手は、自らが栽培するぶどうからワインを造る、レコルタン・マニピュラン(R.M.)というカテゴリーに入ります。つまり、購入したぶどうからワインを造るネゴシアンではなく、ブルゴーニュ地方で言うドメーヌDomaineにあたります。

 

大手メゾンが豊富な資金やスケール・メリットを生かして、シャンパーニュ地方内の各地から原料ぶどうを調達し、膨大なリザーヴ・ワインを含む複雑なアッサンブラージュ(=ブレンド)により上質なシャンパーニュを造るのに対し、小規模なレコルタン・マニピュランは限られた原料(=自らが所有するぶどう畑のぶどうとリザーヴ・ワイン)からワインを造るしかありません。

 

完璧主義者」と評されるエグリ・ウーリエの当主、フランシス・エグリ氏は、醸造はもちろんですが、ワインにとって一番大切な上質なぶどうを得るために厳しい畑仕事を行います。

 

このドメーヌには複数のキュヴェがあります。スタンダードなブリュット・トラディションBrut Traditionから、ブリュット・ロゼBrut Rosé、ピノ・ムニエPinot Meunier100%のレ・ヴィーニュ・ド・ヴリニーLes Vignes de Vrignyなど...

 

アンボネイは上質なピノ・ノワールで知られておりますが、ピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワールBlanc de Noirsや赤ワインのコトー・シャンプノワCoteaux Champenoisは、ワインが好きな方なら一度は試すべき素晴らしいワインです。

 

スティル・ワインとシャンパーニュを別のものとして捉える方もいらっしゃいますが、エグリ・ウーリエの一連のワインを飲むと、まさに「シャンパーニュ地方の偉大なワイン」だなと実感することでしょう。

 

時にはじっくりと、エグリ・ウーリエクラスの上質なシャンパーニュとゆっくりと向き合ってみるのも有意義な時間の過ごし方ではないでしょうか。

Egly-Ouriet Ratafia - コピー ラタフィアも造っています。 

Clos Yは、3月4日のレストラン講座のテーマを「マイナー品種の実力」とし、世界の様々なぶどう品種の上質なワインを、それに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。エグリ・ウーリエのピノ・ムニエのシャンパーニュ、レ・ヴィーニュ・ド・ヴリニー(2009年8月デゴルジェ)も出します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

ワインコラム 第92回 スペインの話 リオハ編

ワイン産出国には、その国を代表する銘醸地があります。アメリカならカリフォルニアCalifornia、ニュージーランドならマルボロMarlborough、ハンガリーならトカイTokajiなど。

 

スペインでは、プリオラートPrioratやリベラ・デル・ドゥエロRibera del Dueroなどもありますが、やはりリオハRiojaが代表的な銘醸地と言えるでしょう。

 

リオハはスペイン北部、フランスの国境からそう遠くないところに位置しています。

 

ぶどう畑は約5万haあり、生産量も多いです。ワインショップに行くと、日本でもほとんどのお店に置いてありますね。

 

リオハでは白ワイン、ロゼワインも生産されていますが、有名なのは赤ワインです。一般的にはテンプラニーリョTempranilloという黒ぶどうを主体に造られます。

Tempranillo テンプラニーリョ 

リオハは有名ですから、今回はリオハのあまり知られていない面をご紹介したいと思います。

 

まずはワインに使われるぶどう品種です。リオハ=テンプラニーリョの赤ワイン、というのが一般的な認識だと思いますが、テンプラニーリョを使っていないリオハの赤ワインも僅かですが存在しています。この場合、グラシアーノGracianoやガルナッチャGarnacha、マスエロMazueloなど、通常ではテンプラニーリョの補助品種として使われるぶどうが主体になります。

Graciano グラシアーノ

Garnacha ガルナッチャ

Mazuelo マスエロ 

リオハの白ワインは、フレッシュな若飲みタイプのものから樽で熟成された長期保存タイプまでいろいろありますが、珍しいものとしては遅摘みぶどうによる甘口もあります。

 

今日のリオハでは、伝統的なワインと近代的なワインなど、造り手の方向性に違いが見られます。イタリアのバローロBaroloのような、有名で歴史のある産地によくある傾向かもしれません。

 

伝統的なリオハの赤ワインは、テンプラニーリョを主体とし、アメリカン・オークの大樽で熟成。ワインの特徴としては若いうちから色調はオレンジを帯び、香りにも酸化熟成の様子が取れます。近代的なリオハの赤ワインはテンプラニーリョなどの地場品種に、場合によってはカベルネをブレンド。アメリカン・オークの他に、フレンチ・オークのバリック(225リットルサイズの小樽)も用いて熟成させます。ワインの特徴としては若いうちは黒っぽいような濃い色調を呈し、豊かな果実味を持ち、タンニンは多くても丸く、なめらかです。

 

バローロにしてもそうですが、優良な生産者のワインは、伝統的、近代的を問わず、とても完成度が高いですね。

 

濃厚なワインから、エレガントなワインまで、幅広いワインを産するリオハ。改めて注目してみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yでは、2月15日のレストラン講座のテーマをスペインとし、カバ、シェリーなどスペインの代表的な産地のワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。1993のリオハの白、2種類のリオハの赤もあります。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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