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2014-01

ワイン・コラム 第147回 ローヌ地方の話 ギガル編

フランス南部に位置するローヌRhône地方。ローヌ川沿いに南北に広がるワイン産地です。

ローヌ地方は北部南部に分けられますが、それぞれ全くと言って良いほど違うタイプのワインを生産しています。北部と南部を別の産地として捉えたほうが良いのではと思います。

簡単に説明しますと、北部では赤ワインも白ワインも主に単一品種で造られ、ワインは力強いながらもエレガントさを備えています。それに対し南部(シャトーヌフ・デュ・パプの生産者、ネルトの方は我々はプロヴァンス地方にいるとおっしゃっていました。)では赤ワインも白ワインも主に複数のぶどう品種のブレンドで造られ、ワインは南の太陽の恩恵を受けふくよかでボリューム感が強く表現されています。

今回は、そんなローヌ地方を代表する生産者のひとり、ギガルGuigalをご紹介いたします。

手掛けるワインは広く、シャトーヌフ・デュ・パプやジゴンダスなど南ローヌ、そしてエルミタージュやコンドリウなど北ローヌ、つまりローヌ全域のワインを生産しています。

本拠地を置くのはアンピュイAmpuisの町です。この町はローヌ地方を代表する高級銘柄であるコート・ローティCôte-Rôtieの産地です。
Cote-Rotie畑2
Cote-Rotie畑3
ギガルを語る上で欠くことのできない看板ワインであるラ・テュルクLa Turque、ラ・ムーリーヌLa Mouline、ラ・ランドンヌLa Landonneの畑はこのギガルの本社の近くに位置しています。

ギガルのワインに限ったことではないのですが、コート・ローティは、フランス語で「焼けた丘」という名前から、いかにも「熱い(=ボリューム感が強くて重い)」ワインを想像してしまうと思うのですが、実際はローヌ地方最北端、ブルゴーニュに近い場所のワインなので、その名に反してエレガント系です。

加えて、コート・ローティに使われるシラーSyrahも少し誤解を受けている品種であるように私は感じています。

北ローヌが原産地とされるこの品種は、北ローヌではある程度高価なワインになります。オーストラリアなど別の産地では廉価なシラー(もしくはシラーズ)がたくさんあり、そのようなワインのほうが身近なことでしょう。しかし北ローヌのシラーとオーストラリアのシラーズでは同じ品種とは思えないほどワインのスタイルが異なります。オーストラリアのシラーズは一般的に果実味が豊かでボリューム感が強いワインに仕上がります。それに対し北ローヌのシラーは冷涼な雰囲気を持ち、ボリューム感は強くなり過ぎず、エレガントにまとまります。世界レヴェルのソムリエも、ブルゴーニュのピノ・ノワールと間違えることがあるほどです。

ギガルの話からそれてしまいましたが、このように、ギガルの看板ワインであるコート・ローティは常にエレガントさを備えています。

ギガルのワイン全体を見て、すごいと思うのは、そのボトム・レンジであるいわゆる「コート・デュ・ローヌ」の質の高さです。赤は18ヵ月もの間樽熟成され、(年により異なりますが)シラー主体です。驚くべきコスト・パフォーマンスの高さを誇っていますが、生産量の多いこのクラスのワインをあのレヴェルに仕上げることに驚かされます。

北から南まで、ローヌの上質なワインを造るギガル。この地のワインを知る上で、欠かせない存在です。特に今、冬季はジビエのシーズンです。野趣味溢れるジビエを、濃厚なソースで頂くとき、ボルドーやブルゴーニュも良いですが、ローヌのワインは鉄板です!試してみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、2月2日のレストラン講座のテーマを「ジビエを食す!」とし、ジビエ料理をそれに合う素晴らしいワインとともにお楽しみ頂きます。ギガルのトップ・ワインのひとつ、コート・ローティ ラ・ムーリーヌ2006も登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第146回 ブルゴーニュ地方の話 ドメーヌ・ポンソ編

ワイン愛好家を魅了する、ブルゴーニュ地方のワイン。

素晴らしい造り手、歴史ある偉大な畑...

使われるぶどう品種は主にシャルドネとピノ・ノワール2種類だけですが、その魅力は深く、多岐に渡ります。

ブルゴーニュ地方を代表する偉大な畑には、それぞれ「この畑はこの生産者!」という組み合わせがあるように思われます。

例えばシャンベルタンChambertinはアルマン・ルソーArmand Rousseau、ミュジニーMusigyはヴォギュエVogüéなど。

今回ご紹介するドメーヌ・ポンソDomaine Ponsotは、モレイ・サン・ドゥニ村Morey-Saint-Denisに居を構え、同村のグラン・クリュ クロ・ド・ラ・ロシュClos de la Rocheを代表する生産者です。

現当主ローラン・ポンソ氏は、ぶどう栽培もワイン醸造もできる限り人の手を加えず、自然に任せるようにしています。栽培は独特で、殺虫剤などを用いず、天体の動きを考慮に入れますが、ビオロジックともビオディナミとも異なる独自の自然栽培法です。収穫量は常に低く、手摘みされたぶどうは畑で厳しく選果されます。

醸造所は4層構造になっていて、エレヴェーターが備わっています。グラヴィティ・フローで、ワインに負担をかけるとされるポンプは一切使いません。

醸造中の様々な選択は、各ヴィンテージのぶどうの状態により判断して行きます。そのため、特定の決まりがありません。

かつて訪問させて頂いた、極上ワインの造り手南ローヌのドメーヌ・デュ・ペゴーDomaine du Pégauでも、「醸造に関するレシピは無い」というお話を伺いましたが、優れた造り手が持つ勘というものがあるのでしょうか。

熟成に用いる樽に関しては、新樽は使わないという決まりがあり、そのような樽で熟成されたワインは新樽の香りを纏わず、テロワールをピュアに表現します。

亜硫酸も極力使いません。

生まれるワインは非常に個性的(アリゴテ100%のプルミエ・クリュがありますが、それ以外のキュヴェも)で、熟成と共に開いていくタイプのようです。

そのためか、玄人好みのワイン、というイメージがあります。しかし、ブルゴーニュ愛好家としては一度は試すべきですし、避けて通るべきではない造り手だと思います。

知的当主が生み出す「土地の声」が宿ったワイン、一度試してみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、2月9日の単発講座「偉大なワインを飲む!」のテーマを「ドメーヌ・ポンソ」とし、看板のクロ・ド・ラ・ロシュ・ヴィエイユ・ヴィーニュ、クロ・デ・モン・リュイザンを含むワインの試飲と講義を行います。ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第145回 美食の話 コルディアン・バージュ編

明けましておめでとうございます。

2014年もよろしくお願い申し上げます。

年末・年始にかけて、お酒を飲む機会が多く、合わせて美食を楽しまれることも多いと思います。

今回は美食のお話。ボルドー地方最高のレストランのひとつコルディアン・バージュCordeillan Bagesをご紹介いたします。

ボルドー市の北部、メドック地区のポイヤック村に位置するこのレストランは、素晴らしい評価を得ているワイナリーであるシャトー・ランシュ・バージュのオーナーが所有しています。

ボルドーの方からメドックを北上してくると、ポイヤックに入って間もないところに位置しています。主要な道の傍らにあるので、ポイヤックの中心部に入る前に通り過ぎることになります。

私がここを訪れたのはもう9年ほど前になります。当時と今とでは異なる点も多々あると思いますが、まずは落ち着いた雰囲気のサロンに通され、アペリティフを楽しみます。続いてメイン・ダイニングへ。

お昼のコースを取ったのですが、今でも印象に残っている料理はpousse de sojaのリゾットです。pousseとは「新芽」などの意味があります。sojaは「大豆」。つまり、「もやしのリゾット」が出てきました。もやしを米粒ほどの大きさに切ったものをリゾットのように調理したものです。まさかボルドーのミシュラン星付きレストランまで来てもやしを食べることになるとは!でも牡蠣とトリュフのソースで、口に含むと海と土の香りが広がり、なかなかの一皿でした。

せっかくなのでホーム・ページに載っている現在のメニューをご紹介しますと、一番カジュアルなお昼限定(日曜、祝日を除く)のものが
選べる前菜
選べるメイン・ディッシュ
選べるデザート
白ワイン1杯、赤ワイン1杯、ミネラル・ウォーター、コーヒー付き
これで60ユーロ(飲み物無しの場合45ユーロ)です。

具体的に料理を、ア・ラ・カルトの所から紹介しますと、
前菜
カリフラワーのヴァリエーション 牡蠣とキャヴィアと共に
(そう言えばボルドー地方の隠れた特産品のひとつにキャビアがあります!)

魚料理
オマール・ブルー 小さな野菜のリゾット コライユのカプチーノ

肉料理
野兎のア・ラ・ロワイヤル ブルゴーニュ地方のトリュフ添え
アニョー・ド・レ(乳飲み仔羊)のグリル
(ポイヤックでは仔羊も名産です。メニューにはポイヤックの仔羊とは明記されていませんが)

もちろんワインはボルドーの品揃えが豊富です。シャトー・ランシュ・バージュは多くの年代がありましたし、シャトー・コルディアン・バージュのワインもありました。

ボトルで注文した赤ワインはデキャンタージュしてくれましたが、印象に残っているのはミネラル・ウォーターまで別の容器に移してくれたことです。やる必要があるのかどうかはともかく、なかなか他のレストランには無いサービスでした。

ボルドーの町からは車で1時間ほどかかりますが、ホテルも併設されていますのでゆっくり滞在できます。ボルドーにいらした際には、町を離れカベルネ・ソーヴィニヨンの聖地で、ゆっくりとした滞在を楽しむのも良いかもしれませんね。

Clos Yは、1月15日のレストラン講座のテーマを「ボルドー」とし、良質なボルドーのワインと、それに合わせた特別料理をお楽しみ頂きます。コルディアン・バージュのグラス・ワインとして使われる白ワインも登場いたします。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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