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2014-03

ワイン・コラム 第151回 イタリアの話 マルケ州 イエージ編

イタリアのワイン。

真っ先に思い浮かぶ銘柄は、キアンティChiantiやバローロBaroloなど赤ワインが多いと思います。

白ワインでは、イタリア北部のヴェネトVeneto州やそのお隣のフリウーリ・ヴェネツィア・ジュリアFriuli-Venezia Giulia州などで上質なものが見られます。

比較的低価格で楽しめる銘柄は、ピエモンテ州のガヴィGaviやヴェネト州のソアヴェSoave、そしてマルケMarche州のヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージVerdicchio dei Castelli di Jesiなどがあります。

今回は、マルケ州のお話です。

アンコーナAnconaを州都とするこの州は、イタリア中部の東側に位置しています。北はエミリア・ロマーニャ州、西はウンブリア州、南はアブルッツォ州と接し、東側には美しいアドリア海が広がっています。
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この州を代表するワインは、上述したヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージです。日本では、銘柄によりますが1,000円ほどで入手できる、名前の長さに反して(?)カジュアルなワインです。

海に面したマルケ州では新鮮な魚介を使った料理がありますが、そのような料理と気軽に楽しむことができるワインです。

さて、この長い名前のワイン、解読するとカステッリ・ディ・イエージ(地名)のヴェルディッキオ(ぶどう品種の名前)、となります。

イタリア語で緑のことをヴェルデverdeといいますが、ヴェルディッキオという白ぶどう品種は緑がかった色をしていますので、そのように名づけられました。

重要な産地であるイエージの町は、アンコーナから内陸に20kmほどの所に位置しています。この州では比較的大きめの町で、私は車で街中を通っただけでしたが、大きめの通りが長く続いており、落ち着いた雰囲気を感じました。
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もうひとつ、挙げるべき産地としてマテリカMatelicaがあります。
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マテリカは海から50km以上離れた内陸にあり、イエージと同じヴェルディッキオでできる白ワインながらこちらの産地のものは「山のワイン」というイメージがあります。ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージよりヴェルディッキオ・ディ・マテリカのほうが、一般的にはよりしっかりした構成をしています。そうなると、合わせる料理はイエージの方には魚介類を、マテリカには魚介も良いですが白身の肉類と合わせても良いと思います。

どちらも軽めのタイプが主流ですが、中には熟成に耐えるワインもあります。そのようなワインはほとんどの場合ClassicoやSuperiore(もしくはその両方)が名前の後に付いています。前者は歴史的に古い、言い換えると長いぶどう栽培の歴史を持つ、特に上質なぶどうが収穫できる限定された地区のワイン、後者は一定の基準よりも良く熟し、糖度が上がったぶどうから造られるワインが名乗ることができる単語です。

優れた生産者のこのようなワインを飲むと、ヴェルディッキオのイメージが変わると思います。

しっかりめのヴェルディッキオのワインは、春の訪れを告げる山菜などと合わせてみても良いと思います。試してみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、4月6日のレストラン講座のテーマを「イタリア」とし、イタリア全土から選りすぐった素晴らしいワインをそれに合わせた特別料理と共にお楽しみ頂きます。樽熟成を施した、別格のヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ クラッシコ スペリオーレも登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第150回 オーストラリアの話 タンバランバ編

オーストラリアのワイン。

そう聞くと、アルコールのヴォリュームが強く、果実味が主体で酸味が控えめのワインが想像されるかもしれません。

それは正しくもありますが、もちろんそうではないワインも多く存在しています。

今回は、オーストラリアの南東部、ニュー・サウス・ウェールズ州New South Walesの中でも冷涼な南部に位置するタンバランバTumbarumbaをご紹介いたします。

ワイン造りの歴史の長いヨーロッパなどでは、シャブリChablisやポイヤックPauillacなどワイン産地とその土地で造られるワインの特徴が認識されています。例えば、シャブリと言えばブルゴーニュ地方北部のシャルドネで造られる軽やかな白ワイン、というように。

ではオーストラリアはどうでしょうか。ハンター・ヴァレーHunter Valleyやマーガレット・リヴァーMagaret River、ヤラ・ヴァレーYarra Valleyなどある程度広く認知されつつある産地が出てきておりますが、それぞれの土地で複数のぶどう品種が栽培されていますし、まだ産地自体とその産地を代表するワインのスタイルが確立されていない部分があるように思われます。

それは問題なのかもしれませんが、逆に考えるとそれぞれの土地に多様性があり、知られざる部分が多いとも言えると思います。

特に、注目したいのが、知名度は低いもののしっかりとした特徴を持つ、冷涼な気候に属するワイン産地です。

タンバランバはまさにそのようなワイン産地のひとつです。

James Halliday氏のWine Atlas of Australiaによると、標高は300~800m。ぶどう栽培上の主な懸念事項としては「霜」が挙げられる、冷涼な産地です。栽培されている主要な品種はピノ・ノワールとシャルドネです。

Tambalunba
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上質なぶどうが収穫できるのに、タンバランバの名前はあまり知られておりません。なぜかというと、大手生産者が、上質なスパークリング・ワインの原料の一部としてこの土地のぶどうを購入し、ブレンドして用いるためです。必要不可欠なのですが、最終的な商品の一部を成すに過ぎませんのでタンバランバの名前がラベルに表記されることはありません。このような事情のため、この土地の名前を聞いたことが無くても、この土地で栽培されるぶどうから造られたワインを口にしている方もいらっしゃると思います。

稀に、タンバランバの名を記したラベルのワインに出会うことがあります。そのワインは、冒頭で書いたようなヴォリュームのあるタイプではなく、シャブリのようとまでは言いませんが、線が細めながらも充実した果実味を備えた素晴らしいものが多いです。まさに「テロワール」が良く表現されています。当然のことなのですが、オーストラリアにもテロワールの妙があるのです!

このようなワインは、ワインが好きながらもあまり新世界のワインを飲まないような方に是非試して頂きたいと思います。

人生にまたひとつ楽しみを増やしてみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、3月19日のレストラン講座のテーマを「オーストラリア」とし、オーストラリア全土から選りすぐった素晴らしいワインをそれに合わせた特別料理と共にお楽しみ頂きます。ハンギング・ロックのマセドンやデ・ボルトリのノーブル・ワン、そしてペンフォールドのタンバランバ シャルドネも登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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