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2011-04

ワインコラム 第74回 ワイナリーの話 ベガ・シシリア編

東北地方太平洋沖地震の被害についての情報は、世界中に知れ渡っているようです。

 

世界各国から様々な形で支援がありますが、海外のワイナリーの中にも、日本での売り上げを義援金として寄付するなどして支援活動を行うところも出てきました。大変ありがたいことですね。

 

スペインを代表するワイナリーのひとつ、ベガ・シシリアVega Siciliaも義援金活動を行ってくださっています。日本市場で販売する同社のワインの4月以降の売り上げ全てを、日本赤十字社に寄付することを決めたようです。

 

ベガ・シシリアと言えば、スペインでトップクラスの赤ワイン、ウニコUnicoで知られています。ウニコとはユニークという意味ですが、その名の通り、他に類を見ない個性的なワインです。

 

まず、産地ですが、スペインの首都マドリッドの北部、リベラ・デル・ドゥエロRibera del Duero地区に位置しています。ティント・フィノTinto Fino(リベラ・デル・ドゥエロ地区におけるテンプラニーリョTempranilloの別名)を用いた長期熟成型のワイン産地として知られており、ベガ・シシリア社のほかにも上質なワインを造る造り手が集まる注目の土地です。

 

ウニコの特筆すべき点は、その熟成にあります。アルコール発酵後、ワインは大きな樽に入れられ、1年ほど過ごします。その後小さな新しい樽に移し2年、次は古い樽に移し替えて4年。なんと7もの年月を樽で過ごすのです!

 

これはワインとしては考えられない長さです。例えば、長期熟成型のボルドーの格付けシャトーでも平均18ヵ月。熟成を長く取るシャトーでも24ヵ月ほどですから、7年という年月がいかに長いかわかるでしょう。これほど長い間、密閉容器ではない木の樽に入れておくと、普通はワインが酸化してしまうのですが、そうならないのは原料となるぶどうがしっかりしている証拠でしょう。

 

さらに、ワインは瓶に移されて2年の熟成を経て、初めて出荷準備が整います。まさに驚異的なワインですね!

 

ウニコのさらに面白い点は、ヴィンテージ入りのキュヴェとヴィンテージ無しのキュヴェがあることです。ヴィンテージ入りのものはそのヴィンテージのぶどうを原料としていますが、ヴィンテージ無しのものは複数年のウニコをブレンドして造られています。ヴィンテージ無しのほうが上級キュヴェとして位置づけられていることがまた面白いですね。

 

気軽に楽しめるワインではありませんが、ワイン愛好家としては一生に一度は試してみたいワインだと思います。売り上げが義援金として寄付される今、試してみるのも良いのではないでしょうか?

 

 

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vinclosy@aol.com

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ワインコラム 第73回 日本のワインの話 山形編

日本のワイン、と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?

 

フランスやイタリアのワインに比べて品質がいまひとつで、値段も高い、と思われている方が多いかもしれません。

 

現在、南は九州から、北は北海道まで、ワイナリーが存在し、高品質なワインが造られています。価格は、1万円を超えるものもありますし、「この品質でこの価格でいいの!?」と思ってしまうようなリーズナブルなものもあります。

 

そう、優良な生産者が手掛ける良質な日本のワインは、世界水準にあるのです!

 

2010年10月、私は山形県に行き、数軒のワイナリーを訪問して参りました。

 

山形県にも素晴らしいワイナリーがあります。今回は、タケダワイナリーについてご紹介したいと思います。

 

タケダワイナリーは、東北地方を代表する高品質ワインの造り手のひとつです。スパークリング・ワインのCuvée Yoshikoキュヴェ・ヨシコ国内最高のスパークリング・ワインのひとつと言えるでしょう。

 

ワイナリーは、新幹線も止まるかみのやま温泉駅から車で10分ほどのところにあります。醸造所の周りには自社畑が広がっていますが、農家さんから購入したぶどうも使ってワイン造りを行っています。

 

私は自社畑と熟成庫を見せて頂きました。低農薬で、化学肥料を使用しない自然農法で管理されている自社畑は既に収穫が終わっておりましたが、畝間には草が生えていました。

DSC00578

醸造所周辺の畑は比較的平坦な土地ですが、その先に斜面の畑があります。斜面の畑では全て手作業で仕事をしなくてはいけないそうです。

 

ワインの熟成庫は地下にあり、気温、湿度共に安定しているようです。理想的な熟成条件ですね。

 

醸造設備は見せていただけませんでした。海外ではワイナリーを訪問するとほぼ必ず醸造設備など見せていただけるのですが、日本のワイナリーの場合は醸造所まで見学者を案内しないことは珍しくないようです。

 

ワインは4種類試飲させていただきました。特に印象に残っているのがドメーヌ・タケダ アッサンブラージュ・スペシャルです。これは白ワインですが、白ぶどうのシャルドネと黒ぶどうのマスカット・ベリーAという2つのぶどう品種のブレンドでできています。非常に珍しいブレンドだと思います。そして、とても上質なワインでした!

 

この素晴らしいワイナリーが、実は今、存続の危機に直面しています。ワイナリーのすぐ近くに清掃工場の建設予定があるためです。有志の方々による署名運動が行われておりますので、ご興味のある方は是非ご覧になってください。

http://www.hat.hi-ho.ne.jp/haut-pont/t/takedawinery_03.pdf

 

Clos Yでは、4月20日のレストラン講座のテーマを「アジア」とし、アジアの素晴らしいワインを食事とともにお楽しみいただきます。タケダワイナリーのアッサンブラージュ・スペシャルも含まれております!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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