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2012-07

ワインコラム 第103回 カリフォルニアの話 フリーマン編

アメリカ合衆国を代表する上質ワイン産地、カリフォルニア。一般的には濃厚で、力強く、ボリュームのあるワインが造られています。
 

旧世界のワインに慣れ親しんだ人の中には、銘柄によっては15%を超えるアルコール度数を持つようなカリフォルニアのワインを敬遠する人もいるでしょう。

 

しかし、一言でカリフォルニアと言っても広いです。中には冷涼な気候の場所もあります。そのようなところではボリュームが強すぎることが無く、エレガントなスタイルのワインが造られています。

 

今回ご紹介するフリーマンFreemanは、まさにエレガント系ワインの造り手です。

 

ソノマSonoma地区、ラシアン・リヴァー・ヴァレーRussian River Valleyの中でも特に冷涼なグリーン・ヴァレーGreen Valleyに位置するこの小さなワイナリーは、ひと組の夫婦が経営しています。奥様は日本人のあきこさんで、彼女の祖父が学者であり、フランスの上質ワインを好んでいたために、あきこさんも自然にエレガントなワインが好きになったとのことです。

 DSC00340 フリーマンのセラー入口

偉大なワインに長らく親しんできた人は、ワインを造るならおいしいワインしか造りたくないと思いますよね。

 

手掛ける品種はブルゴーニュ系。ピノ・ノワールとシャルドネです。

 

ブルゴーニュのスタイルを目指していて、白はリッチですが過度な重さは無く、赤はヴィンテージにもよりますが概ねブルゴーニュ風に仕上がっています。

 

キュヴェにより使用するぶどうの産地は異なりますが、ソノマ・コーストSonoma Coastやラシアン・リヴァー・ヴァレーなど、冷涼な気候の土地のぶどうを使用します。しっかりと土地の様子をワインに投影した、テロワールのワインと言えるでしょう。

 

私は2010年にこのワイナリーを訪問させて頂きました。その時に伺ったお話によると、2007年は過去10年で最高の年で、ワインに濃縮感があり、2008年は長期熟成タイプにはならないかもしれませんが例年よりエレガントさが際立っているとのことでした。

 

日本人が手掛けているので、あるキュヴェには「涼風Ryo-fu」という名が付けられています。日本人には分かり易いですが、その名の通り、涼しい風が吹く冷涼な土地のぶどうから造られるワインです。

 

カリフォルニアにおけるエレガントなワイン、未経験の方は是非試してみてください。緑に溢れた美しいソノマの土地を感じられるかもしれません。

 

Clos Yは、8月5日のレストラン講座のテーマを「半年に一度の豪華版」とし、フリーマンのRyo-fu Chardonnay 2008を含めた素晴らしいワインを、それに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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vinclosy@aol.com

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ワインコラム 第102回 フランスの話 コルシカ島編

7月4日現在、東京はまだ梅雨ですが、これから先1週間の天気予報を見ると、傘マークが見られません。

 

梅雨明けが近いのでしょうか?梅雨が明けるといよいよ真夏の到来ですね。

 

夏の空を想像すると、コルシカ島Corseの情景が浮かんできます。私はいろいろなワイン産地を訪れましたが、コルシカ島、特に北西部の海沿いの道からの景色は、強く心に残る美しさでした...

 

私がコルシカ島を訪れたのは、2004年5月のことでした。当時私はボルドーに住んでおりましたが、ボルドーから東へひた走り、サヴォワSavoie、ピエモンテPiemonteなどのワイン産地を訪問し、トスカーナToscanaのリヴォルノLivornoという町からコルシカ島の北東に位置するバスティアBastiaという町まで、車ごと船で移動しました。

 

バスティアから海沿いに南下し、島の西に位置するアジャクシオAjaccioに行き、そこから島の中央の道を通り北東方面に行き、それから海沿いを西へ。ちょうど「&」の字を書くように島を回りました。

 

鮮明に覚えているのは、海から山が突き出しているような島の様子、それから海の美しさです。

 

海は透明度が高く、ハーバーではとげの長いウニが生息している様子が見られます。島の北西部は、一部舗装されていない、土煙がもうもうと立ち上る道をうねうねと長時間走り閉口しましたが、その後の岩、海、夕陽の風景には感動させられました。

 

この島は海と同時に、「山」らしい要素が多い土地です。食文化で言えば羊乳の新鮮なチーズ、ブロッチュBrocciuや土地の生ハム、サラミ類は、コルスを訪れる際には是非試してみたい逸品です。

 

さて、ワインですが、全般的に見ると、正直あまりぱっとしない印象を私は持っています。それなりにおいしいのですが、心を打つほどの品質のものは少ないようです。

 

しかし、もちろんこの島でも極上のワインが造られています。特に注目すべき土地は、島の北東部に位置するパトリモニオPatrimonioというアペラシオンです。「あの」、もしくは「伝説の」と形容したいアントワーヌ・アレナAntoine Arenaはこの土地の畑から素晴らしいワインを造っていますし、他にも注目すべき生産者がいます。

 

私が訪問したのはドメーヌ・レッチアDomaine Lecciaです。島北部の港町、サン・フローランSt-Florentから細い道を内陸に入って行きます。サン・フローランの東には、小さな山がありますが、その山を西から南へ回り込むように移動します。山の南側の斜面は一部地盤がむき出しになっていて、その麓に畑が拓かれています。

Leccia 

土壌は粘土・石灰質とのことですが、表面はやや黄色っぽい砂状のように感じられます。

 Leccia2 Lecciaの畑 

レッチアのワインは品質が高く、フランスでは高く評価されているのですが、生産量が少なく、日本ではほとんどお目にかかることができません...しかし、幸いにも大御所アントワーヌ・アレナのワインはレッチアより比較的容易に入手可能です。

 

美しい島、コルスが育んだワインで、夏の訪れに乾杯してみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yは、7月22日のレストラン講座のテーマを「オマール海老と地中海のワイン」とし、高級食材オマール海老を使用したフル・コースの料理と、地中海の上質なワインを合わせてお楽しみ頂きます。アントワーヌ・アレナのパトリモニオ白も登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

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