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2012-06

ワインコラム 第101回 イタリアの話 チンクエ・テッレ編

ワインの生産量が少ないため、あまり目にする機会がありませんが、上質なワインを産するイタリア、リグーリアLiguria

美しい海沿いに細長く伸びるこの州では、ピガートPigatoロッセーゼRosseseなどの地場品種が栽培されており、おいしいワインになります。

 

中でも最高の知名度を誇るのはチンクエ・テッレCinque Terreでしょう。

 

チンクエ・テッレと言えば、一般的には世界遺産に登録されている、リグーリア州、ラ・スペツィア県にある5つの村々を指します。

 

ワインのチンクエ・テッレは、まさにその世界遺産のチンクエ・テッレのエリアにあるぶどう畑のぶどうから造られる白ワインです。ボスコBosco、アルバローラAlbarola、ヴェルメンティーノVermentinoなどのぶどう品種が使われます。

 

私は2010年に、5つの村々のうちのひとつ、リオマッジオーレRiomaggioleに行ってまいりました。

DSC00485 - コピー もうすぐリオマッジオーレ 

海からすぐに絶壁がそそり立っており、ぶどう畑はぽつん、ぽつんと小さな区画であちらこちらに点在しています。

DSC00489

エルミタージュやドイツの急斜面を見ると、あのような環境の畑で作業をするのは大変だろうと思いますが、まさにこの地もそうでした。畑に行くだけで疲れてしまいそうです。

 

町では、家々の壁はカラフルに塗られていて目を楽しませてくれます。険しい土地ですので、家を建てられるスペースも少ないためでしょう、波しぶきを浴びるような場所に建てられている家もあります。

DSC00490

窓からの眺めは素晴らしいでしょうね!

 

ワインに話を戻しますと、辛口白ワインのチンクエ・テッレはとても上質です。あまり多くの種類をテイスティングしておりませんが、傾向としてミネラル感が強く、シャブリを思わせるような部分があります。

 

希少なチンクエ・テッレですが、語る上で外すことができないのがさらに希少なシャケトラCinque Terre Sciacchetràです。原料となる白ぶどうの果皮を、太陽熱が赤くする年にのみ生産されると言われています。

 

シャケトラ用のぶどうは、収穫後2ヵ月ほど乾燥させられます。その結果水分が飛んで凝縮したぶどうを絞り、濃厚な果汁を得ます。この果汁を発酵させますが、果汁が含有している糖分を全てアルコールに変化させないため、甘口のワインになります。これがシャケトラです。ただでさえ量の少ない原料ぶどうを、乾燥させて凝縮させるので、まさに稀有なワインです。

 

辛口には辛口の、シャケトラにはシャケトラの良さがあります。もし幸運にも出会う機会がありましたら、是非試してみてください。その品質は期待を裏切らないと思います。

 

Clos Yの7月22日のレストラン講座のテーマは「オマール海老と地中海のワイン」です。高級食材オマール海老を使用したフル・コースの料理に、地中海の上質なワインを合わせます。デザート(デザートにはオマール海老は使用しません。)時にはチンクエ・テッレ・シャケトラが出ます!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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vinclosy@aol.com

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ワインコラム 第100回 ブルゴーニュ地方の話 アルマン・ルソー編

2009年にClos Yクロ・イグレックを立ち上げ、ワインに関するコラムを細々と書いてまいりましたが、今回で100を迎えました。

 

今回は、ブルゴーニュを代表する生産者のひとり、アルマン・ルソーArmand Rousseauについてご紹介したいと思います。

 

ジュヴレイ・シャンベルタン村Gevrey-Chambertinに居を構えるこの造り手は、多くのブルゴーニュ・ワイン愛好家が憧れる赤ワインの名手です。巨匠という言葉が相応しい造り手さんでしょう。

 

所有する畑の面積は約14ha。そのうち8haほどがグラン・クリュであり、その他にもプルミエ・クリュの筆頭格であるクロ・サン・ジャックClos Saint-Jacquesなど豪華なクリュを所有しています。そのため、見かけるワインはグラン・クリュが多く、ヴィラージュ・クラスのワインにはほとんどお目にかかることができません。

 

畑はほとんどGevrey-Chambertin村内にあり、唯一の例外がお隣のモレイ・サン・ドゥニ村Morey-Saint-Denisのクロ・ド・ラ・ロシュClos de la Roche(これもグラン・クリュ)です。

 

かねてから訪問してみたいと思っておりましたが、それが実現したのは2004年の11月でした。私はひとりで予約を取り、伺ったのですが、北欧からのワイン関係者のグループと一緒にドメーヌを案内して頂きました。

 

地下のセラーに降りて、当時まだ樽熟成中だった2003年を中心に試飲です。

 

大きめのグラスを受け取り、まずは自慢のモノポール、リュショット・シャンベルタン クロ・デ・リュショットRuchottes-Chambertin Clos des Ruchottesから。瓶詰め前のサンプルの状態ですが、甘く、華やかな香り、豊かに広がる果実味、長い余韻にいきなり圧倒されました。次いでクロ・ド・ラ・ロシュマジ・シャンベルタンMazis-Chambertinシャルム・シャンベルタンCharmes-Chambertinとグラン・クリュが続き、次いでプルミエ・クリュのラヴォー・サン・ジャックLavaux Saint-Jacquesクロ・サン・ジャック。そして真に偉大な2つのグラン・クリュ、クロ・ド・ベズClos de BèzeシャンベルタンChambertinで締めくくりです。

 

まだ樽熟成中の、しかも熱波に襲われた2003年でしたが、畑ごとの違いははっきりとワインに示されており、興味深い試飲となりました。上質なワインは若いうちから素晴らしいものです。例年よりもタンニンの強いヴィンテージで、しかもまだ瓶詰め前の若過ぎる状態なのに、口中がぎしぎしなどせずに、タンニンが溶け込んでいたことには驚かされました。

 

高い平均樹齢低収量によるぶどうの凝縮など、この造り手の高評価の理由はいくつでも挙げられますが、根底にあるのは丁寧なぶどう栽培と、それを実現させるワインへの情熱、ぶどうへの優しさ、ひいては人柄の優しさにあるのだなと、お話をうかがいながら思いました。

 

近年では若い世代による上質なワインも出てきているブルゴーニュですが、時にはルソーのような巨匠のワインを飲むことが必要なように思われます。少なくとも、ジュヴレイ・シャンベルタンという村、そしてそのワインを理解するうえでは欠くことのできない生産者です。

 

アルマン・ルソーを未体験の方は、まずはヴィラージュのジュヴレイ・シャンベルタンから試されることをお勧めいたします。入手困難ですが、その品質の高さに驚かされるでしょう。そしてジュヴレイの真髄に触れることになります。

 

Clos Yは、6月23日の単発レストラン講座で、アルマン・ルソーのジュヴレイ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ・レ・カズティエ2006を含む、2006年の上質ブルゴーニュ・ワインの水平比較を企画しております。名高いグラン・クリュも登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

ワインコラム100回記念!このコラムを読んでくださった方への特典として、3名の方を対象に、無料出張ソムリエを行います。友人が集まるワイン会などで、ソムリエによるプロのサービスをご提供いたします。(※企業によるご依頼は除かせて頂きます。)ご希望の方はワイン会が行われる場所、ワイン会の規模(参加する人数)、日時と代表者の氏名、ご連絡先をご連絡ください。

 

 

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