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2011-06

ワインコラム 第78回 ボルドー地方の話 シャトー・パルメ編

「ワインの女王」と例えられる、フランス、ボルドーBordeaux地方の赤ワイン。中でも、最も洗練されてエレガントな印象を与えてくれるのはマルゴーMargauxのワインでしょう。

 

ワインを「マルゴー」の名で流通させることができる村は、シャトー・マルゴーを擁するマルゴー村の他に4つあります。カントナックCantenac村、アルザックArsac村、スーサンSoussans村、ラバルドLabarde村です。マルゴー村に次いで有名かつ重要なのが、カントナック村でしょう。今回は、この村を代表するシャトーのひとつ、シャトー・パルメChâteau Palmerをご紹介いたします。

 

シャトー・パルメは1855年のメドック地区の格付けにおいて第3級に選ばれました。当時の評価は3級でも、今日では1級に匹敵する評価を得ており、評価に応じた価格が付けられています。

 

私がこのシャトーを訪問させていただいたのは2004年の秋のことです。

 

有名シャトーが次々現れる、メドック地区の県道D2を走ると思わず美しいシャトーに見とれてしまいますが、シャトー・パルメのシャトーはまさに「城」と呼ぶのに相応しい美しさを備えています。美しいと言えば、このシャトーのワインのラベルも非常に美しいと思います。

 

さて、醸造所、熟成セラーなど見させて頂きました。熟成セラーの窓からは、お隣のシャトー・マルゴーが見えます。評価の高いシャトーが隣接しているのは、造り手の努力はもちろん、土地の力もあるのでしょう。

 

シャトー・パルメの特徴として、植えられているぶどう品種の割合に注目したいと思います。メドックやグラーヴがあるボルドー地方左岸では、赤ワインはカベルネが主体というのが一般的ですが、このシャトーではカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロが同等の割合で植えられており、残りをプティ・ヴェルドが占めています。つまり、シャトー・パルメはカベルネ主体とは言えないということです。ヴィンテージによってワインに用いられるぶどう品種の割合は異なりますが、2007、2008、2009と、近年ではメルロが主体のヴィンテージが続いています。

 

もうひとつ、シャトー・パルメでご紹介したいのが、アルテ・エゴ・ド・パルメAlter Ego de Palmerです。1998年に登場したこのキュヴェは、一般的にはシャトー・パルメのセカンド・ワインと言われていますが、実際にはそうではなく、シャトー・パルメの土地のもう一つの表現、という位置づけのようです(アルテ・エゴとは「もうひとつの自分、分身」などの意味があります。)。セカンド・ワインと言って差し支えないのでしょうが、私の解釈では、グラン・ヴァンであるシャトー・パルメが長期熟成を前提に造られているのに対して、アルテ・エゴは若いうちから楽しめるように造られたワインと言えると思います。

 

試飲させていただいたのは、当時まだ樽熟成中だった2003と、やや熟成の進んだ1997でした。猛暑の2003も、難しい年だった1997も、上質なワインに仕上げてくるのはさすがパルメ!といった感じでした。

 

同じヴィンテージのシャトー・パルメとアルテ・エゴ・ド・パルメの飲み比べは面白いと思います。2つを飲み比べながら、「もうひとりの自分」について考えてみるのも面白いのではないでしょうか?

 

 

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ワインコラム 第77回 ブルゴーニュ地方の話 モンタニー編

世界屈指の銘醸ワイン産地である、フランス、ブルゴーニュ地方。

 

ピノ・ノワールから造られる赤ワインも、シャルドネから造られる白ワインも大変な人気ですね。

 

今回は、ブルゴーニュにありながらあまり知名度の高くない、白ワインに特化したモンタニーMontagnyをご紹介いたします。

 

モンタニーというワインは、ブルゴーニュ地方のワイン産地のちょうど真ん中あたり、コート・シャロネーズCôte Chalonnaise地区に位置するモンタニー・レ・ビュクシーMontagny-Lès-Buxy村の周辺に広がるぶどう畑のシャルドネから造られる白ワインです。

 

アペラシオンとしては2つあります。ひとつは、単にモンタニー。もうひとつは、1級に格付けされた優れた畑のぶどうから造られるモンタニー・プルミエ・クリュMontagny Premier Cruです。

 

ブルゴーニュワイン専門の本にもなかなか詳細な地図が載っていないモンタニーですが、実際に行ってみますと、村の人が住んでいるあたりが谷になっていて、ぶどう畑は斜面に展開されています。

Montagny 1ers 斜面に広がるプルミエ・クリュの畑

Montagny 1er Les Coeres プルミエ・クリュの畑

モンタニー合計440haのうち255haはプルミエ・クリュという数字からも想像できる通り、優れたテロワールに恵まれている産地と言えます。

 

実際、モンタニーのワインは、とても有名なブルゴーニュの他の村の白ワインのような壮大なスケール感はないものの、ミネラルを備えた骨格を持ち、熟成によって品質の向上する力を備えた、紛れもないブルゴーニュの上質なシャルドネの個性を備えています。

 

それにもかかわらずモンタニーの知名度が低いのは、この地を牽引する有名な造り手に欠けていることが原因かと思われます。

 

もちろん、モンタニーには優れた造り手さんがいます。日本ではまだあまり知られていないかもしれませんが、フランスで注目されているのはステファン・アラダムStéphan Aladameさんです。

 

若いワインを複数テイスティングさせていただきましたが、エントリークラスのワインにも共通して心地よい果実味とミネラルを感じ取ることができました。上級キュヴェになるとワインの密度が高くなり、硬く、シリアスな面も持つ、偉大なワインの可能性を感じさせてくれます。是非、熟成したものを飲んでみたい!と思わせてくれるワインでした。

 

モンタニーの魅力は、その値付けにもあります。知名度が高くないためでしょう、私など、「この値段でいいの?!」と思ってしまうほど、コストパフォーマンスの高いワインがあります。

 

ブルゴーニュの白ワインが好きな方、モンタニーの善良な生産者を応援する気持ちも込めて、一度試してみてください。きっと後悔はしないはずです!

 

 

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