Home > Archives > 2011-10

2011-10

ワインコラム 第84回 美食の話 2011年秋 フランス編

今回は、2011年の9月に出会ったフランスの料理のお話です。

 

まずは、パリのプティ・ヴェルドPetit Verdotで食べた前菜、鯖のマリネです。

 

鯖はフランスでは頻繁に見かける食材ではありませんが、手に入れにくいかと言うとそうでもなく、スーパーなどでも普通に売られています。私がフランスに住んでいた頃は真空パックに入った鯖の燻製を買っていました。なかなかワインとも楽しめるものでした。

 

さて、プティ・ヴェルドの鯖は、半身をマリネにして、表面を炙り香ばしく仕上げたものでした。中身は半生の状態ですが全く臭みはなく、洗練された非常においしい料理でした。

 

次はランスReimsのカフェで食べた、タルタルステーキSteak Tartareです。タルタルステーキ自体はフランスのどこにでもある、特にこの場でご紹介するような料理ではないのですが、驚いたことに、このお店は焼きタルタルステーキを出していました。

 

もともとタルタルステーキは、ひき肉状にした生の牛肉に玉ねぎ、ピクルス、ケッパーなどを入れ、塩、胡椒、マスタード、辛い調味料、卵黄などを入れて良く混ぜたものです。ユッケのようなもの、と言えるでしょうか。最近日本では生の肉を食べるのが難しくなっていますので、今回の旅ではタルタルステーキをたくさん食べてきました。もう、1年分食べました。

 

その焼きタルタルですが...

 

タルタルステーキを想像してください。おいしそうですね。これを、フライパンで両面をさっと焼いたものを想像してください。

 

...そのままです!

DSC00661 - コピー 

焼いたので、見た目はハンバーグのようになっていますが、中は生、いわゆるタルタルステーキのままです。焼いた部分も、特に香ばしくておいしいというわけでもなく...まあ、経験できて良かったです(笑)。

 

続いて、デザートをひとつご紹介します。

 

クランブル・オ・ポムCrumble aux pommesです。フランスでは良く出会う、温かいデザートなのですが、日本のフランス料理屋さんでなかなかお目にかかれないですね。器にりんごを入れて、その上に小麦粉、バター、砂糖で作ったもろもろとした生地を載せてオーヴンで焼いたデザートです。フランスではちょっと甘すぎることがありますが、甘さを控えれば日本人受けすると思います。

DSC00706タルト仕立て 

 

さて、秋です。おいしい料理とワインを楽しみましょう!

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

ワインコラム 第83回 2011年秋 フランスで出会った素晴らしいワインの話

2011年9月にフランス、スイス、イタリアのワイン産地を回ってまいりました。
 

今回は、パリで出会った素晴らしいワインについてご紹介させて頂きたいと思います。

 

日ごろ私は、日本には世界中のワインが集まっており、世界的に見てもかなり広いワインの選択肢が与えられていると思っております。実際、フランスでも入手困難なフランスワインが比較的容易に入手できることがありますし、その点で恵まれていると思います。

 

しかし世界にはそれこそ数えきれないほどのワインがあります。地元で消費されてしまい、他に出回らないワインも少なくありません。

 

さて、フランスの首都、パリ。パリは「ワイン産地」と言える場所ではないと思うのですが、世界中の素晴らしいワインが集まる場所と言えるでしょう。

 

まずはパリのレストラン、プティ・ヴェルドPetit Verdotでのお話です。このお店のオーナーは、ボルドー地方を代表するレストラン、コルディアン・バージュCordeillan-Bagesで日本人ながらシェフ・ソムリエを務めていらした石塚氏です。レストランというより気軽なビストロ風のお店ですが、流石に素晴らしいワインが揃っています!

 

食事と合わせて、グラスで10種類(!)ほど飲ませて頂いたのですが、特に印象的だったのは、

 

Mâcon-Villages Terroir de Clessé 2006 Domaine Michel

DSC00655 - コピー

Vouvray Clos du Bourg Moelleux 1959 Huet

DSC00654 - コピー 

前者はブルゴーニュ地方南部、マコネ地区のシャルドネによる甘口白ワインです。この地区ではプイィ・フュイッセPouilly-Fuisséなど素晴らしい白ワインが産出されていますが、通常は辛口です。例外的に甘口を造る生産者がいますが、片手で数えられるほどでしょう。この造り手さんのワインは初めてだったのですが、やはり、世界にはいろいろなワインがあるものですね。

 

後者はロワールを代表する生産者の熟成甘口ワインです。1959はロワールでは伝説的な超優良年です。その味わいは...ブショネ(主にコルク中に発生してしまったT.C.A.という物質が原因で起こる、ワインの劣化の1種。ワインが濡れた段ボールのようなひどい香りを放つようになってしまいます。)でした!出していただく前から、「ブショネだけど試してみる?」と聞かれて試したのですが、なかなか派手なブショネでした。半世紀以上経った極上ワインを開けて、ブショネって辛いですよね...

 

さて、気を取り直して、ワインショップで発見した珍品をご紹介いたします。

 

Vin de Table de France Le Vin des Amis 2009 August Clape

DSC00657 

ワインの格でいうと、何ということはないテーブル・ワインなのですが、これがとんでもないワインでした。造り手のオーギュスト・クラープはローヌ北部、コルナスCornasを代表する生産者です。ローヌ北部にはコート・ローティCôte-Rîtie、エルミタージュHermitageなど錚々たるクリュがひしめいており、中でも高級ワインはバリック(225ℓ容量の樽)で長期間熟成させることがあります。そんな中、オーギュスト・クラープは昔ながらの大樽熟成で、しかも新樽は一切使いません。原料となるぶどうが生まれ育った環境をそのままワインとして表現しています。誰もが、ひと口目から「素晴らしい!」と言ってしまうようなワインではないのですが、特にある程度の熟成を経ると他のワインでは得難い感動を与えてくれる極上ワインとなります。

 

そう、オーギュスト・クラープのワインは素晴らしいのですが、真価を発揮するまで時間がかかるな、というのが私の個人的な正直な感想です。恐らく、その点は造り手さんも自覚しているのでしょう。そのため今回このコラムでご紹介するワインを造ったのかな、と思いました。このワインが...素晴らしかったです!2009年、まだまだ若いですが、素晴らしくおいしかった!いかにも北ローヌのシラーという感じで、極上のシラー飲みが持ち得る芯の通ったスパイスのアロマを持ち、果実味、酸味ともに豊かで、何より明らかにオーギュスト・クラープのワイン、コルナスを思わせるニュアンスに富んでいるのです。このワインの名前を訳すと「友人たちのワイン」。クラープの偉大なワインを、若いうちから、手ごろな価格で飲んでもらいたいと、正に友達用に少量生産したのでしょう。私はこの造り手さんを2004年に訪問しましたが、このようなワインがあるとは知りませんでした...この品質で12ユーロほどでしたので、毎日でも飲みたいほどです!

 

改めて、世界は素晴らしいワインで溢れています。

 

あなたは今晩、何のワインを飲みますか?

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

Home > Archives > 2011-10

サイト内検索
Feeds
Meta

Return to page top