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2015-03

ワイン・コラム 第173回 ぶどう品種の話 アルバンヌ編

カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、メルロ...

国際品種と呼ばれる、世界各地で栽培されている品種によるワインは、やはり人気のある品種から造られますので多くの人に好まれ易い特徴を持っていますし、ひとつの品種が表現するそれぞれの土地の個性が感じられて楽しいと思います。

その一方で、ある狭い範囲の土地でしか栽培されていないいわゆる地場品種によるワインは、その品種が育まれた土地と深いつながりを持っていて、飲み手にその土地を思わせたり、個性的な香味を持っていたりして興味深いと思います。

ぶどう栽培の歴史が長い旧世界では各地で地場品種が栽培され続けておりますが、今回ご紹介するのはフランス北部シャンパーニュChampagne地方の白ぶどう品種です。

シャンパーニュ地方のワインと言えば瓶内二次発酵方式で造られるスパークリング・ワインで、使用されるぶどう品種はシャルドネ、ピノ・ノワール、そしてムニエ(ピノ・ムニエ)と認識されていらっしゃる方が多いと思います。

実際のところ、シャンパーニュ地方には非発泡性の赤ワイン、ロゼワイン、白ワインの生産も行われております。そしてワイン醸造に用いられるぶどう品種は、上記3種の他にアルバンヌArbane、プティ・メリエPetit Meslier、ピノ・ブランPinot Blancそしてピノ・グリPinot Grisがあります。もっとも、アルバンヌ以下4種類が占めるシャンパーニュ地方の栽培面積は全体の0.3%にも満たない状況です。

今回は特にアルバンヌについてご紹介いたします。

この白ぶどう品種はシャンパーニュ地方南部オーブ県の古い地場品種です。
Les Riceys オーブ県Les Riceys村
小さく濃い色の葉を持ち、ぶどうの房は小さく、果粒も小さくとても糖度が高くなります。かつてはロゼ色そして黒い色の果皮を持つアルバンヌも存在していたようです。ベト病やうどんこ病に侵され易く、オーブ県以外ではあまり良く熟さないと言われています。1988年には僅か2haの栽培面積しかなかったようです。しかし収量の低いこの品種からは、暖かい年には特に良い品質のワインができていました。

最近では主要3品種の他に、残り4品種を使ったシャンパーニュも探せば見つかるようになってきています。とは言えやはり希少であることは変わりなく、複数品種のブレンドものがほとんどですのでアルバンヌ100%のシャンパーニュは探してもあまり見つけることはできない状況です。

私は一度、ランスでアルバンヌ100%のシャンパーニュを見つけ、買って飲んでみたことがあります。明るめの色調で、良い意味では無い植物的な香りが支配的でびっくりしたことを覚えています。後に生産者と話す機会があり、アルバンヌについて質問してみたのですが「そのように青っぽい香りが強く香ることがあります。」とのこと。少なくとも複数回経験しないとワインについて語るには不十分なので今はあまり詳しいことは言えませんが、今後も機会を設けて希少品種のシャンパーニュを試してみたいと思っております。

見かけることすらままならない、高価でその割に品質がいまひとつ?!のアルバンヌ。なかなか試す機会が無いと思いますが、Clos Yの3月25日のシャンパーニュ地方のワイン講座でアルバンヌ100%のシャンパーニュをご試飲頂けます!この回のテーマは「シャンパーニュ地方のぶどう品種」で、他にシャルドネ100%のシャンパーニュ、ピノ・ノワール100%のシャンパーニュ、ムニエ100%のシャンパーニュの比較試飲を行います。ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第172回 イタリアの話 ニーノ・ネグリ編

イタリア北部に位置するロンバルディアLombardia州。

イタリア第二の都市であるミラノを州都とするこの州では、素晴らしいワインの生産も行われています。

まずはイタリアを代表するスパークリング・ワインのひとつ、フランチャコルタFranciacortaが挙げられます。それから、ピエモンテ州のバローロやバルバレスコに用いられる品種として有名なネッビオーロがお隣のこの州でも栽培されていて、上質な赤ワインが造られています。

今回は、その赤ワイン、ヴァルテッリーナ・スペリオーレValtellina Superioreとその代表的生産者ニーノ・ネグリNino Negriをご紹介いたします。

ニーノ・ネグリが居を構えるのはロンバルディア州北部、東西に開かれているヴァルテッリーナ渓谷のキウロChiuroという小さな町です。
DSC00823 ワイナリー入口
DSC00828
DSC00830
DSC00820 町の北側には小川が流れる。
近くのソンドリオSondrioという比較的大きな町は、ミラノから直線で95kmほどの距離があります。

ヴァルテッリーナ、そしてその上級ワインであるヴァルテッリーナ・スペリオーレは、このヴァルテッリーナ渓谷の北側、南向き斜面に開かれたぶどう畑のぶどうで造られます。西端から東端まで約50kmほど。中でも特に条件の良い斜面がD.O.C.G.であるヴァルテッリーナ・スペリオーレ用の畑として指定されています。
DSC00821 急斜面にテラス状に畑が拓かれています。
用いられるぶどう品種はネッビオーロと上述しましたが、この土地ではキアヴェンナスカChiavennascaと呼ばれています。キアヴェンナスカ90%以上で、10%以下他の黒ぶどうを用いることが認められています。

ヴァルテッリーナ・スペリオーレのワインはバローロやバルバレスコに比べると軽やかでフルーティですが、上質なぶどうを用い熟成を長く取ったリゼルヴァRiservaや、下述5つの特定地域が表示されているものはより凝縮度の高さや複雑さがあり上質です。

ヴァルテッリーナ・スペリオーレの特定地域、西から
Maroggia マロッジャ 補助品種としてメルリーナMerlinaが用いられます。
Sassella サッセーラ 岩がちな土壌で、日照量が多い。良い年のものは非常に長い熟成に耐えます。
Grumello グルメッロ 城の名前が付けられています。若うちから飲み易いですが良い年のものは長期熟成に向きます。
Inferno インフェルノ 地獄の意味。アクセスし辛い非常に日あたりの良い約50haほどの地域です。ワインは強い個性があり、長期熟成に適し、複雑な香りを放ちます。飲めば天国。
Valgella ヴァルジェッラ 5つの中で最大の地域です。ワインは厳格かつエレガント。ネッビオーロの特徴を良く表します。

そしてこの土地の偉大なワイン、スフォルツァートSforzato di Valtellina(またはスフルサット Sfursat di Valtellina)は凝縮度の高い、堂々たる赤ワインです。収穫したぶどうを陰干しして造られます。ぶどう果汁のエキス分が凝縮しますので、あらゆる要素が濃いワインが生まれます。このようなワインもロンバルディア州で造られていることを忘れてはいけません。

ニーノ・ネグリはそれぞれのテロワールの特徴が良く出たキュヴェを造っています。中でもやはりぶどうを干すことによって約40%の重量を失った凝縮されたぶどうから造られるスフォルツァートは素晴らしい赤ワインです。できればある程度の熟成を経たものを、上質な料理と合わせて楽しみたいところです。

未経験でしたら、是非お試しください。ピエモンテ州のネッビオーロとはまた違った趣があります。

Clos Yは、3月22日のイタリア・ワイン基礎講座のテーマをロンバルディア州とし、この州の風土、ワイン、郷土料理などをご紹介いたします。3種類の試飲ワインの中にはニーノ・ネグリのヴァルテッリーナ・スペリオーレ・リゼルヴァも含まれております。ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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