- 2009-08-16 (日) 11:42
- ワインコラム
前回のコラムでは、オーストラリアのワイン産地を旅するために真夏のパースPerthに着き、車を購入したその日にその車が廃車になったお話をしました。
嘆いていても始まりません。早速レンタカー屋さんを巡り、車を借りました。新しい車にテンションが上がり、意気揚々とマーガレット・リヴァーMagaret Riverを目指して出発です!
マーガレット・リヴァーは西オーストラリア州を代表するワイン産地です。海に近く、海洋性気候でフランスのボルドーBordeauxに似ていると言われています。しかし、実際両者を比較してみると日差しの強さが違います。マーガレット・リヴァーの太陽は、何と言いますか、フィルターを通していないというか、ぎらぎらと大地を焼きつけるような直接的な日差しを放っています。例えば、日陰にいて、手の甲などに少しだけ光が当たると、その部分に何かものが当たったようで反応してしまうほどです。
実際ぶどうの熟度は高く、ワインの平均アルコール度数もボルドーよりマーガレット・リヴァーのほうが高いようです。
マーガレト・リヴァーには、特にシャルドネChardonnayが高く評価されているワイナリー、ピエロPierroで働いている友人がいます。彼と合流してワイナリーを案内してもらいました。
このあたりは海に近く木が多く、比較的平坦な土地が続いています。
Pierroの畑。上質なワインができる畑には起伏があるようです。
ヨーロッパに比べ、「土地が広いな」と感じました。訪れたワイナリーはビオディナミ農法を取り入れているカレンCullen、シラーズShirazが印象深かったヴァス・フェリックスVasse Felix、
Vasse Felix
ソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blancが秀逸なケープ・マンテルCape Mentelle、大規模で美しいヴォエジャー・エステイトVoyager Estate、「アート・シリーズ」が素晴らしいルーウィン・エステイトLeeuwin Estateなどです。どのワイナリーも予約なしで行ったのですが、セラー・ドアCellar Doorというワイン試飲&販売所を設けてあり、いろいろテイスティングさせていただきました。ワイナリーごとの個性はありましたが、どのワインもぶどうの熟度が高いことを思わせる、しっかりした味わいでした。オーストラリアを代表するシャルドネのひとつ、ルーウィン・エステイトのアート・シリーズ・シャルドネのスケールの大きさ、充実した味わいはさすがでした!
夜は友人が働いているピエロの醸造責任者のお宅に泊めていただきました。食事は豪快なバーベキューです!途中ピエロのオーナーがワインを持って加わり、みんなで食べて、飲みました。毎日移動、移動の一人旅では寂しい食事が多いので、久し振りの大人数での食事は楽しかったです!
Pierroワイナリー入口
町から離れた、ぶどう畑に囲まれた場所で迎えた夜、星がびっくりするほど美しかったです。空が近くて、飲み込まれそうでした...
翌日は、友人と、マーガレット・リヴァーの南東に位置するワイン産地を回りました。まず向かったのはグレイト・サザンGreat Southernです。地図を見る限りそれほど遠くない感じでしたが、ノン・ストップのドライヴで4時間かかりました!車をほとんど見かけない、まっすぐな道を走り、時に森を超え、グレイト・サザンの中の小地区であるマウント・バーカーMount BakerのプランタジェネットPlantagenet社を訪れました。なかなか評価の高いワイナリーですが、私は特に甘口ワインが気に入りました。ポート・ワインタイプのものと、ヨーロッパでは珍しい樽熟成をさせたミュスカMuscatは上質でした!
次いで、ペンバートンPemberton地区にあるラスト・レイクLast Lakeを訪れました。
Last LakeのChardonnay
ここのセラー・ドアの方はとても陽気で、楽しかったです!オーストラリアの人々は心が開放的で、親切でした。一人旅をしていて、その優しさに救われたことが何度もあったものです。ラスト・レイクのすぐ隣に、ピカルディPicardyというワイナリーがあります。閉まっていて訪問できませんでしたが、比較的暑い西オーストラリア州では珍しく、上質なピノ・ノワールPinot Noirが成功しています。トップ・キュヴェであるテット・ド・キュヴェTête de Cuvéeは一度試してみる価値のあるワインだと思います。
朝出発して、マーガレット・リヴァーに戻ったのは夜でした。往復700km!思った以上に走り、疲れました!
お世話になった友人との最後の夜、またバーベキューをして、ピエロのワインを飲んだのでした。
次回は、大きく移動をして、南オーストラリア州のお話です。
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