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ワインコラム Archive
ワインコラム 第82回 ぶどう品種の話 プルサール編
フランス東部、ジュラJura地方のプルサールPoulsard(Ploussardとも書かれます。)です。
ジュラ地方はワインの生産量が少ないうえに、地元で消費されてされてしまうので、そのワインが市場に出回る量は極僅かで、あまりお目にかかれることがありません。
しかし、ワインはとても個性的で面白いものです。有名なものは、サヴァニャンSavagninから造られるヴァン・ジョーヌVin Jauneや、陰干ししたぶどうから造られる甘口ワインであるヴァン・ド・パイユVin de Pailleが挙げられます。
今回ご紹介するプルサールは、ジュラ地方のワイン文化の中心となる町、アルボワArboisを起源とする黒ぶどうです。
ワイン用のぶどうは、実に数えきれないほど無数に存在しています。濃い、しっかりしたタイプの赤ワインを生む品種として有名なものは、カベルネ・ソーヴィニヨンCabernet SauvignonやメルロMerlot、サンジョヴェーゼSangiovese等があります。
逆に、比較的明るい色調で、エレガントな赤ワインを生みだす品種として有名なものは、ピノ・ノワールPinot NoirやガメイGamay等があります。
プルサールは、後者に入ります。ぶどうの粒が大きく、果皮が薄く、色素が淡いので、赤ワインとして造ってもとても淡い色調のワインになります。その性質から、ロゼワインに仕立てられる場合も多いようです。
上記のようにアルボワが起源のようですが、アルボワ周辺の地域で細々と栽培されているのみです。他の地方では、ジュラ地方の南、サヴォワSavoie地方でビュジェイBugeyのワインにブレンドされることがある程度です。
このように希少な品種から造られるワインは、力強さとは無縁、優しく、土っぽく、独特の個性に溢れています。実際、黒ぶどうとしてこれほどの色素の淡さは世界トップクラスではないでしょうか。時には白ワインに仕立てられるほどですから。
では、アルボワの造り手さんを一軒ご紹介しましょう。ドメーヌ・ドゥ・ラ・トゥルネルDomaine de la Tournelleです。小さく美しいアルボワの町のほぼ中心地にひっそりと佇むこの造り手は、1991年創業の、まだ新しい造り手です。ぶどう栽培にはビオディナミを取り入れ、良いワイン造りに積極的に活動しています。実際、はっとさせられるような品質のワインを生みだしています。要注目の造り手さんです。
ドメーヌ・ドゥ・ラ・トゥルネルのカーヴ
世界中で栽培されている有名ぶどう品種も良いですが、このような地場品種から造られるワインは飲んでみて実に楽しいものです。もし見かけたら、是非試して頂きたいワインです。
Clos Yでは、9月12日のレストラン講座のテーマをジュラ地方とサヴォワ地方とし、地場品種を用いた上質なワインをご紹介いたします。ワインに合わせた特別料理も毎回ご好評を頂いております。ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第81回 ぶどうと害虫の話 フィロキセラ編
- 2011-08-24 (水)
- ワインコラム
素晴らしいワイン造りとは、素晴らしいぶどう作りであるとも言えるでしょう。上質なワイン造りを目指す人たちは、いかに素晴らしいぶどうを収穫するかに心血を注いでいます。
農業であるぶどう栽培には、多くの困難が伴います。大雨や雹などの天候的要因もあれば、害虫も襲ってきます。今回は、害虫たちの中から、フィロキセラPhylloxeraについてご紹介いたします。
フィロキセラは「ブドウネアブラムシ」とも呼ばれる、体長1mmほどの小さな虫です。ぶどうの根に寄生し、樹液を吸い、ぶどう樹を死に至らしめる恐ろしい害虫です。
根に寄生するという特性上、この虫を直接攻撃することは難しく、19世紀の後半にはヨーロッパに蔓延し、多くのぶどう畑を死に至らしめました。21世紀になった今日でも、この虫を撃退する方法は見つかっておりません。
そう、今日でも、ぶどう栽培の専門家たちはこの虫と共存せざるを得ない状況なのです。
人はこの虫を攻撃できませんが、防御する術を身につけました。おかげで、フィロキセラが存在するぶどう畑でもぶどう栽培家はフィロキセラにやられることなくぶどう栽培を続けています。
その方法とは、「接ぎ木」です。
もともとフィロキセラはアメリカ大陸にいたようです。アメリカ大陸にもぶどうの樹はありましたが、フィロキセラにやられている様子がありません。そこで、アメリカ系ぶどうの台木(根の部分)にヨーロッパ系ぶどうを接ぎ木してみると、フィロキセラにやられることなく、ヨーロッパ系ぶどうの果実を得ることができたのです。
今日では、一部地域を除いて、ほぼ世界中全てのぶどう畑においてこの措置が取られています。
接ぎ木をしていないぶどう樹のことを「自根」の樹と言いますが、自根でぶどうを栽培できるのは砂の土壌の畑です。フィロキセラは砂地には生息できないためです。アメリカのワシントン州などがこれに該当するワイン産地です。
他に自根でぶどうを栽培できるのは、チリ、一部オーストラリアなどです。このような土地ではフィロキセラを外部から持ち込まれないよう、厳重に警戒していますが、徐々にフィロキセラが広がってきているようです。
オーストラリアのフィロキセラ・フリー・ゾーン
しかし世の中にはリスクを覚悟して、普通にフィロキセラがいる土地で自根でぶどうを栽培する強者がいます。
フランス、ロワール地方のアンリ・マリオネ氏や、ブルゴーニュ地方のフィリップ・シャルロパン・パリゾ氏など。正直、大切なぶどうの樹がいつフィロキセラにやられてもおかしくない状況で、愛情を込めてぶどうを育てています。やはり自根のぶどうには、ロマンがありますよね...
見つけるのは難しいと思いますが、自根のぶどうからできたワインを飲む機会がありましたら、ぶどう栽培者の想い、苦労をかみしめながら飲んでみてください。またひとつ、奥深いワインの魅力に惹き寄せられることでしょう。
Clos Yでは、9月4日のレストラン講座のテーマを「自根のワイン」とし、自根で栽培されたぶどうからできたワインを料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味がございましたらご連絡ください。
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ワインコラム 第80回 ロワール地方の話 ミュスカデとグロ・プラン、そして石の話
- 2011-07-31 (日)
- ワインコラム
ミュスカデはフランスで一番長い川であるロワール川の河口に近い(海に近い)場所で栽培される、ミュスカデ(=Melon de Bourgogne)という白ぶどうから造られます。海に近いところで造られているためか、潮っぽい香りがして、海産物と良い相性を示してくれます。
私は、ミュスカデと、もう一つのあるワインをセットのように感じています。そのワインは、グロ・プラン・デュ・ペイ・ナンテGros Plant du Pays Nantais(以下グロ・プランと表記させて頂きます。)です。
グロ・プランという白ワインは、ミュスカデとは違いフォル・ブランシュFolle Blancheという白ぶどうから造られるのですが、産地はミュスカデに隣接しており、軽快な味わいから、詰められるボトルの形まで似ております。価格はミュスカデより安いくらいで、ミュスカデの弟分と表現しても良いのではないかと思います。
このグロ・プラン、フランスのワイン法としては、ミュスカデが属する最上のA.O.C.ではなく、その一つ下のカテゴリーに属しておりました。しかし、2011年にA.O.C.に昇格したのです!このことにより、今後さらに品質が向上していくかもしれません。
さて、ミュスカデもグロ・プランも、ナントNanteという大きな町の近くにあるワイン産地ですが、そのナントの町の北西120kmほどのところ、地方はブルターニュBretagneになりますが、カルナックCarnacという小さな町があります。フランスのどこにでもありそうなこの小さな町を有名にしているものがあります。それは、謎の巨石群です。
世界には、どうしてこのようなものがこんなところにあるのだろう?と首をひねってしまうものがありますね。石としては、イースター島のモアイやイギリスのストーン・ヘンジなどが有名ですね。カルナックの巨石群は、ストーン・ヘンジのように特別な形に組まれているわけではなく、モアイのように造形が施されているわけでもないのですが、普通に人々が暮らす田舎の小さな町の原っぱに謎の巨石が点在している様は不思議な感動をもたらしてくれます。
今年の夏の自由研究は、ワインを飲みながら石について調べることで決まりですね!
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ワインコラム 第79回 アルザス地方の話 ルネ・ミュレ編
- 2011-07-15 (金)
- ワインコラム
暑い時期には、冷涼地で造られた酸味の際立った爽やかな白ワインを良く冷やして楽しみたいですね。
今回は香り高い上質なワインを産する、フランス、アルザスAlsace地方のお話です。
アルザス地方は、フランス北東部に位置しています。主要都市はストラスブールStrasbourg。また、コルマールColmarは小さいながらも人気の観光地として知られています。
この地に行かれたことのある方は、この地方特有の風景に魅せられ、土地の人々の温かさに感激されたことでしょう。
ワイン産地としてみると、フランスでシャンパーニュChampagne地方に次いで北に位置する冷涼な産地です。西側にヴォージュVosge山脈があり、西から来る湿った空気を遮ってくれるため、フランスで最も降水量の少ないワイン産地になっています。
栽培されているぶどう品種は、唯一の黒ぶどうであるピノ・ノワールPinot Noirが9.6%で、残りは白ぶどうです。そう、ここは白ワイン王国なのです。
エレガントなリースリングRiesling、バラやライチの香りが華やかなゲヴュルツトラミネールGewurztraminerなどが有名ですね。
今回ご紹介する造り手さんは、アルザスのワイン産地でも南部のルーファックRouffachに居を構えるルネ・ミュレRené Muréです。
私がこの造り手さんを訪問したのは2008年の9月のことでした。
収穫時期にもかかわらず訪問を受け付けてくれました。収穫時期はワイナリーにとって一年で一番忙しい時期です。朝から晩まで、優れた造り手さんは妥協することなく働き続けます。
作業が立て込んでいるため、醸造所内の見学はできませんでしたが、テイスティング・ルームで各種ワインを試飲させていただきました。
土壌のサンプル。
優れたクレマンCrémant(スパークリング・ワイン)、土地の力を感じる、上質な辛口白ワイン、遅摘みによる甘口白ワイン...
中でも面白かったのは、ヴァン・ド・ターブルVin de Table格付けのシャルドネです。アルザスでA.O.C.を名乗るためには、許可されたぶどう品種を用いなければなりませんが、シャルドネは許可品種に含まれていないため、ヴァン・ド・ターブル規格になってしまったワインです。向上心のある造り手さんは、いろいろ新しいことに挑戦したくなるのでしょう。
印象的だったのは、一連のピノ・ノワールです。アルザス地方のA.O.C.で唯一許可されている黒ぶどうであるピノ・ノワールを用いて、ルネ・ミュレでは数種類の赤ワインを造っています。その違いはぶどうの出所、つまり畑です。
カジュアルラインの出来にも感心させられましたが、何といっても圧巻はルネ・ミュレご自慢のモノポール畑、クロ・サン・ランドランClos Saint Landelinのピノ・ノワールです。
アルザス地方のように北部の冷涼な土地で育つ黒ぶどうはどうしても完熟が難しく、ワインにしても色素が薄く、軽いものになります。ところが、南向き斜面の畑で収量を抑えて栽培されたルネ・ミュレのピノ・ノワールのワインは、色も濃く、香り豊かで全体的に密度が高く、凝縮されています。とても北部のワインとは思えません。ブラインドで出されたなら、疑うことなくブルゴーニュを考えるでしょう。...しかもグラン・クリュを!
近年は温暖化の影響もあるのでしょうか、アルザス産の素晴らしいピノ・ノワールが増えてきている気がします。中でも、このクロ・サン・ランドランのピノ・ノワールは、ヴィンテージによるぶれも少なく、極上のピノ・ノワールだと断言できます。
この週末にでもアルザス・ワインを楽しんでみてはいかがでしょうか?暑さを忘れさせて、爽やかな気分になると思いますよ!
Clos Yでは、8月7日のレストラン講座を「半年に一度の豪華版」とし、ルネ・ミュレのクロ・サン・ランドラン・ピノ・ノワールを含む豪華なコースを予定しております。ゴッセ・ブラバンのキュヴェ・プレスティージュに始まり、ベルナール・デュガ・ピィのムルソー、シャトー・フィジャック1960など、一期一会の会になると思います。ご興味がありましたらご連絡ください。
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ワインコラム 第78回 ボルドー地方の話 シャトー・パルメ編
- 2011-06-26 (日)
- ワインコラム
ワインを「マルゴー」の名で流通させることができる村は、シャトー・マルゴーを擁するマルゴー村の他に4つあります。カントナックCantenac村、アルザックArsac村、スーサンSoussans村、ラバルドLabarde村です。マルゴー村に次いで有名かつ重要なのが、カントナック村でしょう。今回は、この村を代表するシャトーのひとつ、シャトー・パルメChâteau Palmerをご紹介いたします。
シャトー・パルメは1855年のメドック地区の格付けにおいて第3級に選ばれました。当時の評価は3級でも、今日では1級に匹敵する評価を得ており、評価に応じた価格が付けられています。
私がこのシャトーを訪問させていただいたのは2004年の秋のことです。
有名シャトーが次々現れる、メドック地区の県道D2を走ると思わず美しいシャトーに見とれてしまいますが、シャトー・パルメのシャトーはまさに「城」と呼ぶのに相応しい美しさを備えています。美しいと言えば、このシャトーのワインのラベルも非常に美しいと思います。
さて、醸造所、熟成セラーなど見させて頂きました。熟成セラーの窓からは、お隣のシャトー・マルゴーが見えます。評価の高いシャトーが隣接しているのは、造り手の努力はもちろん、土地の力もあるのでしょう。
シャトー・パルメの特徴として、植えられているぶどう品種の割合に注目したいと思います。メドックやグラーヴがあるボルドー地方左岸では、赤ワインはカベルネが主体というのが一般的ですが、このシャトーではカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロが同等の割合で植えられており、残りをプティ・ヴェルドが占めています。つまり、シャトー・パルメはカベルネ主体とは言えないということです。ヴィンテージによってワインに用いられるぶどう品種の割合は異なりますが、2007、2008、2009と、近年ではメルロが主体のヴィンテージが続いています。
もうひとつ、シャトー・パルメでご紹介したいのが、アルテ・エゴ・ド・パルメAlter Ego de Palmerです。1998年に登場したこのキュヴェは、一般的にはシャトー・パルメのセカンド・ワインと言われていますが、実際にはそうではなく、シャトー・パルメの土地のもう一つの表現、という位置づけのようです(アルテ・エゴとは「もうひとつの自分、分身」などの意味があります。)。セカンド・ワインと言って差し支えないのでしょうが、私の解釈では、グラン・ヴァンであるシャトー・パルメが長期熟成を前提に造られているのに対して、アルテ・エゴは若いうちから楽しめるように造られたワインと言えると思います。
試飲させていただいたのは、当時まだ樽熟成中だった2003と、やや熟成の進んだ1997でした。猛暑の2003も、難しい年だった1997も、上質なワインに仕上げてくるのはさすがパルメ!といった感じでした。
同じヴィンテージのシャトー・パルメとアルテ・エゴ・ド・パルメの飲み比べは面白いと思います。2つを飲み比べながら、「もうひとりの自分」について考えてみるのも面白いのではないでしょうか?
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ワインコラム 第77回 ブルゴーニュ地方の話 モンタニー編
- 2011-06-01 (水)
- ワインコラム
ピノ・ノワールから造られる赤ワインも、シャルドネから造られる白ワインも大変な人気ですね。
今回は、ブルゴーニュにありながらあまり知名度の高くない、白ワインに特化したモンタニーMontagnyをご紹介いたします。
モンタニーというワインは、ブルゴーニュ地方のワイン産地のちょうど真ん中あたり、コート・シャロネーズCôte Chalonnaise地区に位置するモンタニー・レ・ビュクシーMontagny-Lès-Buxy村の周辺に広がるぶどう畑のシャルドネから造られる白ワインです。
アペラシオンとしては2つあります。ひとつは、単にモンタニー。もうひとつは、1級に格付けされた優れた畑のぶどうから造られるモンタニー・プルミエ・クリュMontagny Premier Cruです。
ブルゴーニュワイン専門の本にもなかなか詳細な地図が載っていないモンタニーですが、実際に行ってみますと、村の人が住んでいるあたりが谷になっていて、ぶどう畑は斜面に展開されています。
斜面に広がるプルミエ・クリュの畑
プルミエ・クリュの畑
モンタニー合計440haのうち255haはプルミエ・クリュという数字からも想像できる通り、優れたテロワールに恵まれている産地と言えます。
実際、モンタニーのワインは、とても有名なブルゴーニュの他の村の白ワインのような壮大なスケール感はないものの、ミネラルを備えた骨格を持ち、熟成によって品質の向上する力を備えた、紛れもないブルゴーニュの上質なシャルドネの個性を備えています。
それにもかかわらずモンタニーの知名度が低いのは、この地を牽引する有名な造り手に欠けていることが原因かと思われます。
もちろん、モンタニーには優れた造り手さんがいます。日本ではまだあまり知られていないかもしれませんが、フランスで注目されているのはステファン・アラダムStéphan Aladameさんです。
若いワインを複数テイスティングさせていただきましたが、エントリークラスのワインにも共通して心地よい果実味とミネラルを感じ取ることができました。上級キュヴェになるとワインの密度が高くなり、硬く、シリアスな面も持つ、偉大なワインの可能性を感じさせてくれます。是非、熟成したものを飲んでみたい!と思わせてくれるワインでした。
モンタニーの魅力は、その値付けにもあります。知名度が高くないためでしょう、私など、「この値段でいいの?!」と思ってしまうほど、コストパフォーマンスの高いワインがあります。
ブルゴーニュの白ワインが好きな方、モンタニーの善良な生産者を応援する気持ちも込めて、一度試してみてください。きっと後悔はしないはずです!
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ワインコラム 第76回 スパークリング・ワインの話 プロセッコ編
- 2011-05-22 (日)
- ワインコラム
フランスではシャンパーニュ地方で造られるシャンパーニュChampagneが人気で、レストランでのアペリティフや、お祝いの席に欠かすことができない存在として定着しています。
シャンパーニュはフランス以外でも、世界中で人気です。日本にもシャンパーニュ愛好家は多いようですね。
フランスと並ぶワイン大国であるイタリアでもスパークリング・ワインは人気があります。シャンパーニュも飲まれていますが、やはりイタリアではイタリア産のスパークリング・ワインがよく飲まれています。
イタリア産の代表的なスパークリング・ワインを挙げますと、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵方式で造られるフランチャコルタFranciacorta、マスカットの香りが華やかな、甘口のアスティAstiが重要です。
そして、近年流行っているのが、ヴェネト州で造られるプロセッコProseccoです。プロセッコ(=グレラGlera)という白ぶどうから造られます。フレッシュで華やかな香りを持ち、フルーティな果実味のある軽やかなスパークリング・ワインです。このワインの良さは、もし一言で表現するならば、その「軽やかさ」にあると思います。
現在、世界的に飲食が軽くなる傾向にあると思います。例えばアルコールで言うとスピリッツよりもワイン、ワインよりもビールなど、より軽いアルコール飲料に消費者は移りつつあるようです。料理もバターなど油脂をたっぷり使う料理から、素材を活かしてシンプルに調理する料理が人気を集めつつあるようです。
そうした時代の流れにプロセッコの特徴がちょうど合っているようです。
プロセッコの楽しみ方を考えてみますと、アペリティフはもちろん、ランチにも、夜のくつろぎの時間にも、広い場面に対応できます。ワイン単体でも、食事と合わせても楽しめることは大きな強みですね。また、重要な点として、生産量が多く、かつ品質が安定していて、コストパフォーマンスが高いことも見逃せません。
しかし、ただ安くて軽やかなだけがプロセッコの全てではありません。コネリアーノConeglianoやヴァルドッビアーデネValdobbiadeneなど、特にぶどう栽培に適した丘陵地からは、アロマのしっかりとした、称賛に値するワインが生まれています。コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネ・プロセッコConegliano Valdobbiadene-Proseccoとアゾーロ・プロセッコAsolo-Proseccoの2つの銘柄のプロセッコが、2009年にイタリアワイン最高格付けのD.O.C.G.に昇格しました。
今後、ますます注目のワインですね。日常にプロセッコを飲み、少しいいことがあった時にD.O.C.G.銘柄の上級プロセッコを飲み...
これからの季節にぴったりだと思いますので、興味のある方は是非試してみてください!
Clos Yでは、5月28日のワインを楽しむランチ会を、D.O.C.G.のプロセッコで幕開けます。ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第75回 イタリアの話 マルケ州編
- 2011-05-04 (水)
- ワインコラム
今回は、マルケMarche州について紹介いたします。
マルケ州はフィレンツェFirenzeを擁するトスカーナToscana州の東隣に位置しています。アドリア海に面した美しい海岸線を持ち、州都はアンコーナAnconaです。
あまりワインのイメージが無いかもしれませんが、赤ワインのコーネロConero、また、生産量が少なく希少な赤のスパークリング・ワインであるヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナVernaccia di Serrapetronaの2つのD.O.C.G.があります。
小さなSerrapetrona村
Serrapetronaの畑
しかし、この州で一番知名度が高いワインはヴェルディッキオVerdicchioから造られる白ワインの、ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージVerdicchio dei Castelli di Jesiでしょう。
Jesiの町
少し変わった形のボトルに入れられることがあり、視覚的なインパクトもあると思いますが、生産量も多く、非常にコストパフォーマンスに優れたワインです。2010年にリゼルヴァRiservaタイプがD.O.C.G.に昇格したことにより、改めて注目を集めています。
マルケ州にはもうひとつ、ヴェルディッキオのD.O.C.G.があります。ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ・リゼルヴァVerdicchio di Matelica Riservaです。
Matelicaの町
これも2010年にD.O.C.G.に昇格したばかりです。マルケ州の内陸にあるマテリカの町の周辺で造られるワインで、同じヴェルディッキオながらカステッリ・ディ・イエージとは異なる個性を備えています。
山あり、海ありのマルケ州は、食材にも恵まれ、シンプルながらもおいしい料理が溢れています。大型のグリーン・オリーヴの肉詰め、内臓肉を使いトリュフも入る豪華なヴィンチスグラッシ(ラザーニャの一種)、新鮮な魚介類のパスタ、シンプルなローストなど...どれもこの州のワインと良く合います!
あまり観光地として知られていないこの州は穏やかで美しく、そこに住む人々も優しく気さくです。お時間があれば、このような土地への旅もお勧めいたします。マルケ州で過ごす癒しの時間は、人生の快い思い出になると思います!
Clos Yでは、5月18日のレストラン講座のテーマを「マルケ州」とし、2010年に現地で出会ったワインを始め、希少なヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナなどおいしいワインをそれに合わせた料理とともにお楽しみいただきます。ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第74回 ワイナリーの話 ベガ・シシリア編
- 2011-04-24 (日)
- ワインコラム
世界各国から様々な形で支援がありますが、海外のワイナリーの中にも、日本での売り上げを義援金として寄付するなどして支援活動を行うところも出てきました。大変ありがたいことですね。
スペインを代表するワイナリーのひとつ、ベガ・シシリアVega Siciliaも義援金活動を行ってくださっています。日本市場で販売する同社のワインの4月以降の売り上げ全てを、日本赤十字社に寄付することを決めたようです。
ベガ・シシリアと言えば、スペインでトップクラスの赤ワイン、ウニコUnicoで知られています。ウニコとはユニークという意味ですが、その名の通り、他に類を見ない個性的なワインです。
まず、産地ですが、スペインの首都マドリッドの北部、リベラ・デル・ドゥエロRibera del Duero地区に位置しています。ティント・フィノTinto Fino(リベラ・デル・ドゥエロ地区におけるテンプラニーリョTempranilloの別名)を用いた長期熟成型のワイン産地として知られており、ベガ・シシリア社のほかにも上質なワインを造る造り手が集まる注目の土地です。
ウニコの特筆すべき点は、その熟成にあります。アルコール発酵後、ワインは大きな樽に入れられ、1年ほど過ごします。その後小さな新しい樽に移し2年、次は古い樽に移し替えて4年。なんと7年もの年月を樽で過ごすのです!
これはワインとしては考えられない長さです。例えば、長期熟成型のボルドーの格付けシャトーでも平均18ヵ月。熟成を長く取るシャトーでも24ヵ月ほどですから、7年という年月がいかに長いかわかるでしょう。これほど長い間、密閉容器ではない木の樽に入れておくと、普通はワインが酸化してしまうのですが、そうならないのは原料となるぶどうがしっかりしている証拠でしょう。
さらに、ワインは瓶に移されて2年の熟成を経て、初めて出荷準備が整います。まさに驚異的なワインですね!
ウニコのさらに面白い点は、ヴィンテージ入りのキュヴェとヴィンテージ無しのキュヴェがあることです。ヴィンテージ入りのものはそのヴィンテージのぶどうを原料としていますが、ヴィンテージ無しのものは複数年のウニコをブレンドして造られています。ヴィンテージ無しのほうが上級キュヴェとして位置づけられていることがまた面白いですね。
気軽に楽しめるワインではありませんが、ワイン愛好家としては一生に一度は試してみたいワインだと思います。売り上げが義援金として寄付される今、試してみるのも良いのではないでしょうか?
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ワインコラム 第73回 日本のワインの話 山形編
- 2011-04-06 (水)
- ワインコラム
フランスやイタリアのワインに比べて品質がいまひとつで、値段も高い、と思われている方が多いかもしれません。
現在、南は九州から、北は北海道まで、ワイナリーが存在し、高品質なワインが造られています。価格は、1万円を超えるものもありますし、「この品質でこの価格でいいの!?」と思ってしまうようなリーズナブルなものもあります。
そう、優良な生産者が手掛ける良質な日本のワインは、世界水準にあるのです!
2010年10月、私は山形県に行き、数軒のワイナリーを訪問して参りました。
山形県にも素晴らしいワイナリーがあります。今回は、タケダワイナリーについてご紹介したいと思います。
タケダワイナリーは、東北地方を代表する高品質ワインの造り手のひとつです。スパークリング・ワインのCuvée Yoshikoキュヴェ・ヨシコは国内最高のスパークリング・ワインのひとつと言えるでしょう。
ワイナリーは、新幹線も止まるかみのやま温泉駅から車で10分ほどのところにあります。醸造所の周りには自社畑が広がっていますが、農家さんから購入したぶどうも使ってワイン造りを行っています。
私は自社畑と熟成庫を見せて頂きました。低農薬で、化学肥料を使用しない自然農法で管理されている自社畑は既に収穫が終わっておりましたが、畝間には草が生えていました。

醸造所周辺の畑は比較的平坦な土地ですが、その先に斜面の畑があります。斜面の畑では全て手作業で仕事をしなくてはいけないそうです。
ワインの熟成庫は地下にあり、気温、湿度共に安定しているようです。理想的な熟成条件ですね。
醸造設備は見せていただけませんでした。海外ではワイナリーを訪問するとほぼ必ず醸造設備など見せていただけるのですが、日本のワイナリーの場合は醸造所まで見学者を案内しないことは珍しくないようです。
ワインは4種類試飲させていただきました。特に印象に残っているのがドメーヌ・タケダ アッサンブラージュ・スペシャルです。これは白ワインですが、白ぶどうのシャルドネと黒ぶどうのマスカット・ベリーAという2つのぶどう品種のブレンドでできています。非常に珍しいブレンドだと思います。そして、とても上質なワインでした!
この素晴らしいワイナリーが、実は今、存続の危機に直面しています。ワイナリーのすぐ近くに清掃工場の建設予定があるためです。有志の方々による署名運動が行われておりますので、ご興味のある方は是非ご覧になってください。
http://www.hat.hi-ho.ne.jp/haut-pont/t/takedawinery_03.pdf
Clos Yでは、4月20日のレストラン講座のテーマを「アジア」とし、アジアの素晴らしいワインを食事とともにお楽しみいただきます。タケダワイナリーのアッサンブラージュ・スペシャルも含まれております!ご興味のある方はご連絡ください。
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