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ワインコラム Archive
ワインコラム 第72回 ロゼワインの話 ウイユ・ド・ペルドリ編
- 2011-03-27 (日)
- ワインコラム
スイス西部に位置するヌーシャテルNeuchâtel特産の、ピノ・ノワールによるロゼ・ワインです。ウイユとはフランス語で「目」、同じくペルドリは「ヤマウズラ」のことです。直訳するとヤマウズラの目、という意味になります。
ヤマウズラは、全長30cm弱の鳥類の1種です。ワインになぜこのような名前がついたかというと、理由はその色にあります。ヤマウズラの目は、オレンジ色がかったピンクのような色調をしています。このヌーシャテル特産のロゼワインの色がヤマウズラの目の色に似ていたため、その名が付けられたようです。
実際、「ロゼワイン」というカテゴリーの中に、様々な色のワインがありますね。無色透明にほんのりベージュのような色調の入った淡いものから、薄めの赤ワインより濃いような鮮やかな色調のものまで。ロゼワインの魅力の一つは、その美しい色合いにあると言えるでしょう。
ウイユ・ド・ペルドリは、どちらかというと淡い色調ですが、原料となるピノ・ノワールに由来するエレガントさがあり、個性的な、奥ゆかしいワインです。フランスのブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方を始め、アメリカなどの新世界でも、ピノ・ノワールのロゼが造られ、人気を集めています。ですが、ウイユ・ド・ペルドリは、スイスのヌーシャテルのテロワールを反映し、特有の特徴を備えています。ロゼ・ワインが好きな方、ピノ・ノワールが好きな方には一度試していただきたいワインのひとつです。
そもそも、「スイスのワイン」自体珍しいですよね。標高が高く、ぶどう栽培が可能な土地が限られており、もともと生産量が少ないです。その少量のワインは、主に生産地で地元の人や観光客などによって消費されてしまいますので、輸出に割り当てられるのは極僅かです。そのため、スイスのワインを口にする機会に恵まれることは日本では稀でしょう。スイスワインに関する情報もあまり入ってきません。ですが、高品質なワインが密かに造られていることは知っておくとよいかもしれません。
スイスのワイン、ウイユ・ド・ペルドリに限らず、見つけましたら是非試してみてください。軽やかで、エレガントで、これからの季節を華やかに彩ってくれるはずです!
Clos Yでは、4月3日のレストラン講座のテーマを「ピノ・ノワール」とし、世界の様々なピノ・ノワールを料理とともにお楽しみいただきます。ウイユ・ド・ペルドリも登場いたします!ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第71回 ローヌ地方の話 シャトー・グリエ編
- 2011-03-18 (金)
- ワインコラム
このように、ある生産者がある畑を単独所有している状態をモノポールと呼びます。モノポールの畑は少なからずあるのですが、ロマネ・コンティのように畑の名前と生産者の名前が同じ例は極僅かです。
今回ご紹介するシャトー・グリエChâteau Grilletは、その数少ない例のひとつです。
まず、場所を確認しましょう。フランス南東部、ローヌRhône川沿いに広がるワイン産地であるローヌ地方北部にシャトー・グリエは位置しています。大きな都市で言いますと、リヨンLyonがシャトー・グリエの北にあります。
シャトー・グリエというワインは、シャトー・グリエという生産者がシャトー・グリエA.O.C.範囲内の畑で栽培しているヴィオニエViognierという白ぶどうから造る白ワインです。
ローヌ地方でヴィオニエと言えばコンドリウCondrieuが有名ですが、シャトー・グリエは回りをコンドリウA.O.C.で囲まれています。コンドリウの中の一区画がシャトー・グリエとして独立しているような形です。
最近人気の出てきたぶどう品種、ヴィオニエは、今日では南フランスやアメリカ、オーストラリアなどでも栽培されています。それらのワインの中には比較的安価なものもありますが、以前はヴィオニエといえばコンドリウであり、コンドリウは今も昔も高値で取引される高級ワインです。
シャトー・グリエはそのコンドリウの別格もの、と言うことができるでしょうか。フランス4大白ワインのひとつ(あと3つはモンラシェMontrachet、シャトー・シャロンChâteau Chalon、クロ・ド・ラ・クーレ・ド・セランClos de la Coulée de Serrant)に数えられ、僅か3.2haの畑から、年間12,000本ほどのワインを生みだしています。
生産量が少ないので見かけることすら少なく、例えあったとしても高価なのでソムリエでも口にしたことがある人は少ないかもしれません。
以前のオーナー(ネイレ・ガシェ)があまり情報を提供していなかったので、謎に包まれた部分がある、ミステリアスなワイン、というイメージを私は持っています。つい最近、ボルドーのシャトー・ラトゥールのオーナーであるフランソワ・ピノー氏がシャトー・グリエを買収したと聞きました。今後、シャトー・グリエは変わっていく可能性があります。
畑は北ローヌの他の畑同様、急斜面にテラス状に拓かれています。

シャトーに行く場合、丘の斜面の細い道を登って行くのですが、その細さは車同士がすれ違うことができないほどです。私が車で登っていると、ちょうど上のほうから車が降りてくるところでした。苦労しながら斜面をバックで下って行った記憶があります...


機械による作業は不可能です。ひとつひとつの畑仕事を人の手で行わなくてはなりません。規模も小さいので、まさに手作りのワインと言えるでしょう。
ヴィオニエによるワインは、コンドリウひとつ取っても生産者により様々なスタイルがあります。共通して言えるのは、しっかりした果実味があること、アルコール度が高く、ボリューム感があること、でしょう。魚や甲殻類はもちろん、肉料理と合わせるのも良いと思います。
シャトー・グリエは、樽熟成を経ておりますのでより複雑みのあるワインに仕上がっています。希少性だけでなく、充実したワインの内容により今後ますます名声を高めていくことが予想されます。
ピノー氏がシャトー・グリエの価格をこれ以上上げないことを願っています...
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ワインコラム 第70回 ブルゴーニュ地方 畑の話 ロマネ・コンティ編
- 2011-03-13 (日)
- ワインコラム
隣り合った畑でも、格付けが異なるなどの理由で、ワインの値段が数倍違ってしまうというのも良く知られたお話ですね。
そんなブルゴーニュの畑についてご紹介いたします。
今回は、恐らく世界一高価な赤ワインが生まれるロマネ・コンティRomanée-Contiのお話です。
まずは場所を確認しましょう。ブルゴーニュ地方の中心都市、ディジョンDijonから車で南下していくと、市街地を抜け、ぶどう畑の中を走るような格好になります。ジュヴレイ・シャンベルタンGevrey-Chambertin村を超えて、ヴージョVougeot村を超えるとヴォーヌ・ロマネVosne-Romanée村に至ります。ロマネ・コンティは、この村にあります。
ロマネ・コンティとは畑の名前であり、その畑のぶどうから造られたワインの名前でもありますが、もうひとつ、ロマネ・コンティという名のつくものがあります。それは、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティDomaine de la Romanée-Conti (以下D.R.C.)というワインの造り手の名前です。ロマネ・コンティという畑はD.R.C.が単独所有しております。そのために、D.R.C.という造り手は、「ロマネ・コンティのドメーヌ」という名前を名乗っているわけです。
さて、そのロマネ・コンティですが、その歴史をローマ時代にまで遡ることができます。「ローマ」にちなんで「ロマネ」という名が付けられたようです。
ブルゴーニュの銘醸畑は、修道院と密接な関係にありますが、ロマネ・コンティも然り。10世紀の初頭から、サン・ヴィヴィアン修道院の管理が続きました。その後、ルイ15世の統治時代、名声あるロマネ・コンティの所有をめぐってポンパドール夫人とコンティ公爵の間で争奪戦が起こりました。最終的に1760年代にコンティ公爵が勝利し、以降、「ロマネ」と呼ばれていた畑は「ロマネ・コンティ」と呼ばれるようになります。コンティ公爵はその後もワインの評判を落とさず、むしろ、収穫量を減らし、品質を高めることによってますますロマネ・コンティの価値を高めていきました。その意志は今日でもD.R.C.に引き継がれています。
「飲み物であるワイン」としては、ロマネ・コンティには非現実的な価格がつけられています。それを巡り、ワインのプロフェッショナルの間でもその価格と質のバランスに関して論議されることがあります。
ここから先は私の私論ですが、ロマネ・コンティの価格は、純粋にワインの品質を表した価格ではないと思います。ロマネ・コンティは確かに素晴らしいワインです。それは間違いありません。しかし、3万円のワインに比べてその20倍も優れた味わいかと言うと、そんなことは無いと思います。
あの価格は、需要と供給のバランスから来ているものです。平均年産量が6,000本と少ないにもかかわらず、世界中から需要があります。そのためにあの価格が付けられているのです。実際、あの価格で売れてしまうのです。歴史のある、上質なロマネ・コンティを口にするための代価として。もしくは、勢力の誇示として...
その歴史と名声は、今後も続いていくことでしょう。

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ワインコラム 第69回 南西地方の話 ガイヤック編
- 2011-02-20 (日)
- ワインコラム
フランス南西地方、トゥールーズToulouseの北東に位置しています。産するワインは白、ロゼ、赤、スパークリングと多様で、さらに白ワインは辛口も甘口も認められています。これほど多くのタイプのワインが認められているアペラシオンは、ワイン王国フランスの中でも珍しいものです。
土地は、緩やかな丘が続いており、2005年に訪問した時は、自然が残る「何もない田舎」という印象でした。
しかし、この土地でも偉大なワインが生まれています!
訪問させていただいたのは、ドメーヌ・ラ・クロワ・デ・マルシャンDomaine La Croix des Marchands。

発酵温度を管理できる現代的なステンレス・タンクを導入し、果実味のある上質なワインを造っています。
ガイヤックの畑。
特筆すべきなのは、オーナーが共同で所有するシャトー・パルヴィエChâteau Palviéの、レ・スクレ・デュ・シャトー・パルヴィエLes Secrets du Château Palviéです。ガイヤックでは、黒ぶどうのデュラDuras、白ぶどうのモーザックMauzacなど地場品種が活躍しておりますが、この赤ワインはシラーSyrah100%で造られています。ブラック・ベリーなど黒系果実、カンゾウ、丁子、シガー、スー・ボワなど複雑な香りがあり、果実味、酸味ともにしっかりしていてボリュームがあります。私はローヌ地方北部の上質ワインであるコルナスCornasを連想させられました。
また、同じレ・スクレ・デュ・シャトー・パルヴィエの甘口白ワインも素晴らしかったです。非常に滑らかな口当たりで、濃縮感があり、世界的に見ても高い水準にある甘口ワインでした。
シャトー・パルヴィエのレ・スクレ・デュ・シャトー・パルヴィエは同シャトーのトップ・キュヴェで、濃縮感があり、素晴らしく上質で価格も一番高いのですが、その品質を考えると非常にコスト・パフォーマンスが高いと言えます。これも知名度がそれほど高くない産地のワインだからなのでしょう。
一般的なガイヤックは、赤も白も早飲み用のものが多く、シンプルな構成をしています。しかし、近年パルヴィエのような高品質ワインを目指す造り手が増えてきており、注目に値する産地になりつつあります。
ガイヤックの上質なワインの造り手は小規模のため生産量が多くなく、日本に入ってくる量はごくわずかなのですが、見つけられたら是非試してみてください。ちょっと冒険をする価値はあると思います!
Clos Yでは、3月6日のレストラン講座で、ガイヤックの素晴らしい甘口ワインをご紹介いたします。ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第68回 極上甘口ワインの話 アヴィニョネージ編
- 2011-01-31 (月)
- ワインコラム
きっかけとして、甘口ワインからワインを好きになったからもいらっしゃると思います。しかし、甘口ワインと言っても、世界には様々な甘口ワインがありますね。
今回は、イタリア、トスカーナToscana地方の甘口ワインをご紹介いたします。
フィレンツェを擁する美しいトスカーナ地方は、世界的に見ても重要なワイン産地です。

主にサンジョヴェーゼSangioveseから造られる赤ワイン(キアンティChiantiが有名ですね。)で知られていますが、白ワイン、甘口ワインも生産されています。
その甘口ワインですが、ヴィン・サントVin Santoというワインです。これが、実にユニークなワインなのです。
まず、原料となるぶどうですが、白ぶどうもしくは黒ぶどうが用いられます。収穫されたぶどうは、数ヵ月の間通気性の良い特別な部屋でじっくりと陰干しされます。

この間に水分が飛んで、干しぶどう状態になっていきます。そうして凝縮されたぶどうを絞り、濃厚な果汁を得ます。
伝統的な造り方としては、得られた果汁はマードレMadreと一緒に50リットルの小さな樽でじっくり発酵、そして熟成されます。マードレというのは、ヴィン・サントが完成した時に樽の底に残った澱のことです。これを加えてあげることにより、澱に含まれる酵母が働き、より安定してヴィン・サントを造ることができるようです。
2008年に私が訪問したアヴィニョネージAvignonesi社は最も高く評価されるヴィン・サントの造り手です。同社は10年もの間ヴィン・サントを樽で熟成させるのですが、なんと一度樽に詰めてからは瓶詰めの時まで一度も樽を開けない、つまり自然に任せるのみとのことでした。樽に入れて10年後、そこに極上のヴィン・サントがあるのか、うまくいかず酢のようになってしまった液体があるのか...開けるまでわからないというのです。

恐らく長い歴史の中で、失敗してしまった樽もあったことでしょう。しかしアヴィニョネージのヴィン・サントは極上です。2種類のヴィン・サントを同社は造っていますが、黒ぶどうのサンジョヴェーゼで造られるオッキオ・ディ・ペルニーチェOcchio di Perniceというキュヴェは世界中の甘口ワインのひとつの頂点に立つワインでしょう。私は1995ヴィンテージを飲みましたが、ハーフボトルで1,447本しか造られなかった希少品です。
ドライフルーツやスパイス、穏やかな酸化熟成から来る複雑な香りがあります。味わいも複雑で、しっかりした甘味があり、それを支える酸味とのバランスが良く、尋常でない長い余韻を楽しむことができます。
料理と合わせず、単体でじっくり向き合いたいようなワインです。
このようなワインを造り出すアヴィニョネージ社はすごいですし、陰干しによりぶどうを凝縮させる方法もすごいと思います...!
Clos Yでは、素晴らしい陰干しワインの魅力をたっぷり楽しんでいただくレストラン講座(3月6日)を企画しております。ぶどうの力、そのぶどうが生まれ育った土地の風味がぎゅっと濃縮されたワインとそれに合う料理をお楽しみいただきます。ご興味のある方はご連絡ください。
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ワインコラム 第67回 ローヌ地方の話 ドメーヌ・デュ・ペゴー編
- 2011-01-14 (金)
- ワインコラム
2011年、第1回目のワインコラムでございます。
ワイン愛好家の方は、お気に入りのワインがあると思います。例えばある造り手さんが好き、ですとか、ある産地のワインが好き、など。
私の場合、世界中のワインに興味があり、造り手さんも多く訪れているので、お気に入りのワインを挙げるのは大変難しいのですが、どうしても1つ挙げるとするならば、フランス、ローヌRhône地方のシャトーヌフ・デュ・パプChâteauneuf-du-Papeでしょうか。
このワインは、シャトーヌフ・デュ・パプ村の周辺に位置するぶどう畑から収穫されたぶどうを原料に造られる赤ワイン、もしくは白ワインです。
「シャトー」は「城」、「ヌフ」は「新しい」、「パプ」は「法王」という意味ですので、直訳すると「法王の新しい城」という意味になります。アヴィニヨンAvignonに法王庁があった時代、当時の法王がアヴィニヨンから10kmほど離れた場所に新しい城を建てました。その場所こそ、このシャトーヌフ・デュ・パプだったわけです。
今日、城は廃墟と化してしまっていますが、立ち続ける壁は往時を偲ばせてくれます。
さて、このワインは南フランスを代表する銘柄として有名ですが、実は私が初めて飲んだフランスの赤ワインです。力強い赤ワインはしっかりとした肉料理と良く合います。個人的にはブルー・チーズと合わせるのも好きです。
この有名なワイン産地には、優れた造り手も多く、さらにその知名度を高めています。私は数軒の造り手さんを訪問し、それぞれ面白かったのですが、深く印象に残っている訪問はドメーヌ・デュ・ペゴーDomaine du Pégauです。家族経営の小さな造り手さんですが、ワインは高い評価を得ています。
訪問した際、醸造を担当しているローランスさんに案内して頂きました。このアペラシオンでは13ものぶどう品種が使用を認められていますが、ペゴーでは13種全てを使用しています。
品種などどのようにブレンドするのか尋ねたところ、「ワイン造りに決まりはありません。毎年毎年、ぶどうの状態を観察して決めます。」と答えて頂いたのが印象に残っています。
さて、訪問を終え帰ろうとしたところ、車のエンジンがかかりません。困っているとおじさんが現れて、車を見てくれました。いろいろやっていただいたのですがそれでもエンジンはかかりません。おじさんは、ほんとうに、手を真っ黒にしてしばらくの間奮闘してくださったのですが、やはりエンジンはかかりません。おじさんに感謝しつつ、車が壊れたことに動揺していた私におじさんは「この先に修理をしてくれるところがあるから、いってみなさい」と教えてくれました。
幸いドメーヌは坂の上のほうにありましたので、エンジンをかけずに修理場まで行くことができました。手をべとべとにして、初対面の私のためにがんばってくださったことは、今思い出しても感動します。今でも感謝しています。そのおじさんこそ、当主のポール氏でした。
さて、修理場に着いたはいいものの、営業時間が終わる寸前で、「修理は明日ね。」と断言されました。そこはフランスですから、すぐに直してほしいと思いつつ、車を置いて町へホテルを探しに出かけました。
シャトーヌフ・デュ・パプ村は、小さな村です。夏には観光客も来るようですが、このときは12月で、数軒あるホテルは営業していなかったり、営業していても既に満室となっていました。修理場にもどり、泊まる場所がないことを告げると、「そうか。では車で寝れば?」とのこと。考えましたが、それ以外に選択肢もありませんし、そうすることに...
夜は城跡近くにあるレストランで食事をしたのですが、戻ると既に修理場は閉まっています。入口の門も閉まっています。
...
仕方ないので、3メートルくらいの鉄の柵を登り、超えて、自分の車にたどり着きました。なんだかとても悪いことをしているような気分でした...
その夜、良く眠れませんでした。長い夜でした。いろいろ考えました。
そのときにふと思ったのが、「世の中にはペゴーさんのような素晴らしい造り手さんがいて、人を感動させるワインがたくさんある。私は、このような素晴らしいワインをひとりでも多くの人に伝えていきたいな。」というものでした。
今、Clos Yクロ・イグレックを立ち上げて、実際にワインの魅力を広める仕事をしていますが、まだまだ活動範囲が狭い状態です。なんとか、より多くの人々にワインの魅力を伝えていきたいです。こうすることで、ペゴーの方々を始め、素晴らしい造り手さんたちへの恩返しになるかもしれません。何より、素晴らしいワインは人に感動を与えますから...
ドメーヌ・デュ・ペゴーに関しては、私などがどうこうしなくても、既に世界的に有名ですね。良い年にしか造らない、キュヴェ・ダ・カーポCuvée Da Capoは、ワイン評論家から満点の評価を得ていますし、日本のあるワイン漫画でも取り上げられ、偉大なワインとして紹介されています。
最近、キュヴェ・ダ・カーポの最新ヴィンテージ、2007年を取り寄せました。

いつか、このワインを含めたワイン講座を企画しようと思っております。...熱が入りそうです...
では今年も素晴らしいワインとともに、素晴らしい年にしましょう!
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ワインコラム 第66回 2010年 感動したワインの話
- 2010-12-26 (日)
- ワインコラム
今年1年、どのような年でしたでしょうか?
ワイン好きな方は、年末になると今年どのようなワインを飲んできたか振り返ることもあるでしょう。
今回のコラムでは、私が今年飲んできたワインの中で、強く印象に残っているワインについて書きたいと思います。
まずは、最近ソムリエの友人に飲ませて頂いた、蒼龍葡萄酒さんの甲斐ブラン2004です。甲斐ブランとはぶどう品種の名前で、甲州Koshuとピノ・ブランPinot Blancの交配種です。ブラインドで飲ませていただいたのですが、印象は樽熟成を施した甲州、もしくはロワールのやや熟成したシュナン・ブランChenin Blanc、といったものでした。非常にミネラル感が強く、熟成から来る複雑味があり、素晴らしいワインでした!
続きまして、未体験の品種に興味を持って購入し試飲した、ドメーヌ・ジャッキー・プレイ・エ・フィスDomaine Jacky Preys et Filsのキュヴェ・ドゥ・フィエ・グリ・ヴィエイユ・ヴィーニュCuvée de Fié Gris Vieille Vigne2006です。アペラシオンはトゥーレーヌTouraineです。フィエ・グリという、栽培面積が非常に少ない、稀なぶどう品種のワインです。熟したあんず、黄桃、マンゴーなどの甘い果実の香りとフレッシュなハーブの香りが同居しています。グラスを回すと石灰のようなミネラル感も出てきます。十分な果実味があり、ややしっかりした酸味、ボリュームがある、個性的なワインでした!
続いて、1月に訪問した、オーストリーのヴィーニンガーWieningerのピノ・ノワール・グランド・セレクトPinot Noir Grand Selectです。ヴィーニンガーはウィーンでワイン造りを行っている造り手さんです。ウィーンは世界的に有名な素敵な町ですから、ワインとは関係なく訪れる価値があると思うのですが、地球上の首都で唯一、商業ベースでワイン造りを行っています。ヴィーニンガーはウィーンでトップの造り手であると断言できると思います。今回はピノ・ノワールを推しますが、白、甘口も世界的に見て非常に上質なものでした。さて、そのピノ・ノワールは、極上のブルゴーニュに勝るとも劣らない出来。ウィーンのワイン産地としての可能性と、ヴィーニンガー氏の人柄、そして努力と才能に大変感銘を受けました。
ヴィーニンガーのオフィスの土壌サンプル。
次に、ポルトガルから、信じがたいコストパフォーマンスを持つワインをご紹介いたします。世界で広く親しまれているマテウスMateusのロゼ。息の長い、良く売れているワインですから、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。ですが、私がご紹介したいのは、マテウスのワインですが、ロゼではなく、白なのです。マテウスのロゼは微かに発泡性があり、甘味もあり、誰にでも好かれるスタイルで、世界中で売れているのがわかるなあ、というスタイルのワインなのですが、白は異なります。やはり僅かに発泡性を帯びていますが、香りは柑橘類のゼスト、ゴム、石油など、リースリングRieslingを連想させます。味わいでは、果実味はそれほど強くないのですがやや甘味が感じられます。酸味はややしっかりしていて、全体的にさっぱりしていて、非常にバランスの良いワインです。万人受けするロゼと違い、白はミネラリーでシリアスなワインだと思いました。この品質のワインが1000円以下という事実が信じがたいです!
他にもたくさん素晴らしいワインと出会った2010年でしたが、最後にチンクエ・テッレCinque Terreをご紹介させていただきます。チンクエ・テッレはイタリア、リグーリアLiguria州にあり、世界遺産に登録されている土地で造られるワインです。海に面した絶壁に、張り付くようにぶどう畑が拓かれている光景には驚かされます。
Riomaggioreの風景
ボスコBoscoなど複数の地場品種をブレンドして造られます。土地が限られていますので、数えるほどの生産者しかいません。今回ご紹介したいのは、リオマッジョーレRiomaggiore協同組合のワインです。今年飲んだ2007年ものは、熟成したシャンパーニュから感じられるようなロースト香がややしっかりと立ち上ってきます。レモンのゼスト、完熟していない梨、ミネラルの香り。回すとリースリングのような香りが出てきます。十分な果実味、ややしっかりした酸味があります。ボリュームは中程度で、微かにタンニンが感じられます。余韻は、しっかりしたミネラルがロースト香を伴ってやや長く続いていきます。特徴として、樽熟成をしていないにもかかわらず、樽熟成に由来するような最初のロースト香に驚かされます。全体の印象としては樽熟成をした温暖な年のシャブリや、やはり樽熟成をしたロワールのシュナン・ブランという印象です。
今年も素晴らしいワインに出会えることができました。来年も、みなさまが素晴らしいワインに出会えますように。
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ワインコラム 第65回 アペラシオンの話 ブルゴーニュ・グラン・オーディネール
- 2010-12-12 (日)
- ワインコラム
今回ご紹介する、ブルゴーニュ・グラン・オーディネールBourgogne Grand Ordinaireというアペラシオンは、あまりその実態を知られていないもののひとつでしょう。
名前から想像できるように、ブルゴーニュ地方のアペラシオンです。
ブルゴーニュ地方には、ブルゴーニュ地方全体をカバーするブルゴーニュBourgogneというA.O.C.があります。ブルゴーニュ・グラン・オーディネールはブルゴーニュA.O.C.と同じく、ブルゴーニュ地方全体をカバーしています。
では、ブルゴーニュA.O.C.とブルゴーニュ・グラン・オーディネールの違いはどこにあるのでしょうか?
詳細を見てみましょう。
ブルゴーニュA.O.C.については、赤ワインとロゼワインについて、ピノPinot、ガメイGamay、セザールCésar、トレソToressotが使用品種として認められています。白ワインに関してはシャルドネChardonnayが認められています。
ブルゴーニュ・グラン・オーディネールには、それに加えて白ぶどうのアリゴテAligoté、ムロン・ド・ブルゴーニュMelon de Bourgogne、サシイSacyの使用が認められています。これがまず1つ目の違いです。
もうひとつの違いは、アルコール度数の定義です。
ブルゴーニュA.O.C.については、最低アルコール度数が赤とロゼは10度、白は10.5度、最高アルコール度数は赤とロゼは13度、白は13.5度と規定されていますが、ブルゴーニュ・グラン・オーディネールはそれぞれ1度ずつ低く設定されています。
つまり、ブルゴーニュ・グラン・オーディネールは、ブルゴーニュA.O.C.より規定が緩いわけですね。実際、ブルゴーニュA.O.C.を格下げしてブルゴーニュ・グラン・オーディネールを名乗ることができます。
日本で見かけることはあまりないと思いますが、ブルゴーニュ地方ではスーパーマーケットなどでブルゴーニュ地方のワインとしては一番低い値付けがされていることがあります。
このアペラシオンの面白いところとしては、他のアペラシオンで認められていないぶどう品種(ムロン・ド・ブルゴーニュなど)が使用できることがあります。さらに、優れた造り手さんがこのアペラシオンを用いる場合、価格の割に優れた内容のワインであることが多い、ということも特徴として挙げられるでしょう。
ブルゴーニュ・グラン・オーディネール。見かけたら一度試してみる価値はあると思います!
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ワインコラム 第64回 知られざる名産地の話 ソーシニャック編
- 2010-11-24 (水)
- ワインコラム
今回ご紹介するのは、フランス南西部に位置するソーシニャックSaussignacというワイン産地です。
ソーシニャックはフランス南西部のベルジュラックBergerac地区にあります。ベルジュラック地区は、ベルジュラックの町の周辺を指しますが、ボルドーBordeauxの東に位置し、栽培されているぶどう品種やワインのスタイルなど、ボルドーの延長と言うことができます。
ソーシニャックは甘口ワイン専門のアペラシオンです。セミヨンSémillonを主体にソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blancなどをブレンドして造られます。熟したぶどうを樹についたまま干しぶどう状にした遅摘みで造られるタイプと、貴腐ぶどうによる、有名なソーテルヌSauternesのようなタイプがあります。
ソーシニャックの近くにはモンバジヤックMonbazillacなど、同様のワインを産する産地がありますので、この辺りは甘口ワイン造りに適した環境があるのでしょう。
私は2004年9月にラザック・ドゥ・ソーシニャックRazac de Saussignac村にあるシャトー・ラ・モーリーニュChâteau La Maurigneを訪問しました。緩やかに起伏する丘が連なる牧歌的な土地で、車を走らせていると心が穏やかになります。
このシャトーでは、ソーシニャックのほかにコート・ド・ベルジュラックCôtes de Bergeracの赤ワインなども造っています。
ソーシニャックに関しては、3つのキュヴェを造っています。まずはシャトーChâteauというキュヴェ、次にキュヴェCuvéeというキュヴェ、そして最上品としてフロリレージュFlorilègeというキュヴェです。ぶどうの状態により造り分けるのですが、上級キュヴェに向かうほど濃縮されたぶどうを用い、熟成期間を長く取ります。フロリレージュに関しては3年から4年という長い樽熟成期間を取っています。
シャトーというキュヴェはそれほど強い濃縮感はなく、フルーティーさが際立つ心地よい甘口のワインです。キュヴェというキュヴェはシャトーに比べ濃縮感があり、樽熟成のニュアンスも強くなります。最上級のフロリジェーヌは上質なソーテルヌに匹敵する濃縮感、凝縮された甘味、複雑なアロマを持つまさにグラン・ヴァンです!それでも知名度の低さゆえか、価格は低めに設定されています。このような、尊敬すべき生産者の上質なワインがもっと広く知られ、入手し易くなればワイン・ライフがより豊かになることでしょう。
Clos Yでは近いうちにソーシニャックを含めたレストラン講座を企画いたしますので、ご興味のある方は楽しみにしていてください!
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ワインコラム 第63回 珍しいワインの話
- 2010-11-14 (日)
- ワインコラム
フランスのボルドーを例に見ても、たくさんのシャトーがあり、過去何十年ものヴィンテージがあります。さらに、毎年新しいヴィンテージのワインが生まれていきます。
人ひとりが、一生をかけても世界中のすべてのワインを飲むことは不可能だと私は思います。
それほどたくさんのワインがあるわけですから、中には「こんなのあり?!」というようなワインも存在するわけです。
今回は、そのような面白い、不思議なワインをご紹介いたします。
まずは、そろそろ新酒が出る頃ですから、地元でしか飲めないボルドーの新酒、ブーリュBourruです。
発酵中の状態で、甘さと炭酸ガスがある、一年でもほんのわずかな時期にしか手に入らない珍しいものです。
続いて、ボルドー、グラーヴGraves地区のワインです。グラーヴというアペラシオンでは、赤ワイン、白ワインの生産が認められていますが、甘口のワインは認められていません。ところが、甘口のグラーヴを見つけてしまいました!
Gravesという表記の下に、赤字でMoilleuxと記されておりますが、フランス語で「柔らかい」という意味です。ワイン用語としては、甘口を意味します。甘口が認められていないのになぜ甘口があるのか...謎です。
さらにボルドーから、シャトーで直接買う以外に入手できないワインをご紹介いたします。シャトー・コス・デストゥルネルChâteau Cos d’EstournelのVin de Réserveです。
偉大なヴィンテージ、1995年のワインの澱の部分を瓶詰めしたものです。ろ過をしたのか、澱は見られませんでした。
続いて南フランスから、ぶどう品種名をラベルに表記したワインです。
Viognierとはぶどう品種の名前ですが、何故かその文字がAppellation Contrôléeの文字で挟まれています。つまり、A.O.C. Viognierとなってしまっているわけですが、そのようなアペラシオンは存在しません。実際ラベル上部にはヴァン・ド・ペイ・ドックVin de Pays d’Ocと明記されています。...不思議です。
最後に、今月の第3木曜日に解禁されるボージョレ・ヌーヴォーBeaujolais Nouveauにちなんで、原料であるガメイGamayの珍しいものをご紹介いたします。
これはオーストラリアのソーレンベルグSorrenbergという造り手さんが手掛けるガメイです。フランス以外でガメイを手掛ける造り手さんはほとんどいないので、珍しいと言えると思います。上質なワインでした!
世の中にはさらに珍しい、面白いワインがたくさん隠れていると思います。そのようなワインを探してみるのもワインの楽しみのひとつかもしれませんね。
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