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ワインコラム Archive

ワイン・コラム 第195回 ブルゴーニュ地方の話 フェヴレイ編

フランス北東部に位置するブルゴーニュBourgogne地方。

多くのワイン愛好家を惹きつける、魅力的なワインを生み出していますが、人気が高い割に限られた土地からのワイン生産量は決して多く無く、一部のワインには非現実的な価格が付けられています。

家族経営のワイン生産者が多いですが、この地方でトップ・クラスに規模が大きく、重要な造り手のひとり、フェヴレイFaiveleyを今回のコラムではご紹介いたします。

1825年創立のフェヴレイは、ニュイ・サン・ジョルジュNuits-Saint-Georgesの街中に居を構えています。フェヴレイの特徴は、何と言っても広大な自社畑を所有していることだと思います。買いぶどうからもワインを造りますのでネゴシアンのイメージを強く持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は生産量の8割ほどがドメーヌもの(自社畑のぶどうから造られるワイン)です。120ha以上の畑を所有しているのは、ブルゴーニュ地方ではもの凄いことです!

そのワインですが、2000年代前半までは特に赤ワインは若いうちは硬い印象がありました。まだ若い状態で飲んだ、フェヴレイが単独所有するコルトン クロ・デ・コルトン・フェヴレイCorton Clos des Cortons Faiveley 2002に硬い印象を受けたのを今でもよく覚えています。

今日では、若き当主エルワンErwan氏がワインのスタイルを変え、赤ワインもより若いうちから楽しめるようになっています。白ワインも、精力的にグラン・クリュの畑を購入するなど進化を続けています。

私が2005年にフェヴレイを訪問させて頂いた時に、エルワン氏がセラーの暗がりからひょっこり現れ、特に自己紹介せずに予定されていた試飲ワイン以外のワインもいろいろとテイスティングさせて頂いたことは楽しい思い出です。25歳でこの大ドメーヌを引き継いだというのですから凄い方です。今日では、ニュイ・サン・ジョルジュ村最高の畑とされるレ・サン・ジョルジュLes Saint-Georges(プルミエ・クリュ)をグラン・クリュに格上げする運動を行っています。恐らく、数年のうちにレ・サン・ジョルジュはグラン・クリュに昇格することでしょう。

(ブルゴーニュ地方では畑に格付けが行われています。変動するもので、1981年にはクロ・デ・ランブレイClos des Lambraysが、1992年にはラ・グランド・リュLa Grande Rueが、それぞれプルミエ・クリュからグラン・クリュに昇格しています。他にも、ヴィラージュからプルミエ・クリュへの昇格も珍しいことではありません。)

テイスティングさせて頂いたワインを少しご紹介します。
エシェゾー Échezeax 2002
色調は黒っぽく、果実香も赤い果実よりも黒い果実寄り。果実味が豊かで、それを上回る酸味を備える。エシュゾーと発音されていました。

シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ レ・フュエ Chambolle-Musigny 1er Cru Les Fuées 2003
エシェゾーの後に登場。凝縮感が強く黒っぽい。酸味はやや穏やか。

メルキュレイ クロ・ロシェット 白 Mercurey Clos Rochette 2000
ブルゴーニュの伝統で、赤ワインの試飲の後に白ワインを試飲。果実、ロースト香、毛皮など複雑な香り。滑らかで豊か。コート・ド・ボーヌの偉大なアペラシオンの白ワインの様。

さらに進化を続けるフェヴレイ。多くのアペラシオンを手掛け、ブルゴーニュのひとつの規範と言えると思います。

Clos Yは、10月6日のレストラン講座を銀座セットセッテで行います。料理に合わせて選んだ5種類のワインと、最後にフェヴレイのマールもお楽しみ頂けます。ご興味がございましたら是非ご参加ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第194回 ローヌ地方の話 アラン・ヴォージュ編

フランス南東部に、ワイン産地ローヌRhône地方があります。ローヌ地方は大きく北部と南部に分かれています。

ワイン産地区分で見ると北ローヌと南ローヌを合わせてひとつのローヌ地方になりますが、行政区分で見るとヴァランスValenceがあるドロームDrôme県(Tain-l’Hermitageを含む)はローヌ・アルプRhône-Alpes地方、アヴィニョンAvignonがあるヴォクリューズVaucluse県(Châteauneuf-du-Papeを含む)はプロヴァンスProvence地方に入ります。

世界中で広く栽培され、上質なワインになり得る黒ぶどう品種シラーLa Syrahはローヌ地方が原産とされ、コート・ローティCôte-RôtieやエルミタージュHermitage ( Ermitageとも綴られます。 )などの素晴らしいワインを生み出しています。

今回ご紹介するアラン・ヴォ―ジュAlain Vogeは、シラー100%でワインを造ることが義務付けられているアペラシオンコルナスCornasを産するコルナス村に居を構え、赤ワインだけでは無くマルサンヌLa Marsanneというこちらもローヌ地方が原産とされる白ぶどう品種から上質な白ワインも造っています。

私がアラン・ヴォ―ジュを訪問したのは2015年の9月後半、収穫真っ只中の大変忙しい時期でした。このタイミングで訪問を受け入れてくださいましたこと、感謝しております。
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アラン・ヴォ―ジュは約12haの畑を所有しています。
コルナスに約7ha
サン・ペレイSaint-Pérayに約4ha
サン・ジョセフSaint-Josephに約1ha

扱っている品種は2つ。黒ぶどうのシラーと白ぶどうのマルサンヌ。

2015年は9月初旬にスパークリング・ワイン(サン・ペレイ)用のぶどうの収穫を始め、9月22日に収穫が終了したようです。良い年と喜んでいらっしゃいましたが、2015は本当に素晴らしいヴィンテージですね!

アルコール発酵はステンレス・タンクで行い、複数のキュヴェは熟成を樽(大きさは様々ですが主に225lのバリック。新樽比率は20~50%)で行います。

以下のキュヴェをテイスティングさせて頂きました。
Saint-Péray Harmonie 2014
Saint-Péray Terres Boisées 2013
Saint-Péray Fleur de Crussol 2013
これら3つは全てマルサンヌ100%。後半に行くにつれ上級キュヴェとなっています。例年より2013年は収穫量が4割ほど少なかったようですが、その分凝縮された果汁が得られたのでしょう、ワインは複雑な香りを持ち、豊か(グラ)で余韻が長く続きました。特にサン・ペレイにあるお城の名前が付けられた、トップ・キュヴェであるフルール・ド・クリュソルは圧巻!世の中にあるマルサンヌのワインの中の頂点のひとつだと思います。

Saint-Joseph 赤 Les Vinsonnes 2013
Cornas Les Chailles 2013
Cornas Les Vieilles Vignes 2013
いかにも北ローヌのシラーらしい、黒胡椒の香り(ロタンドン)が立っています。サン・ジョセフは酸がしっかりとした味わいでタンニンが丸い。コルナスは力強く特にスパイシーで、上級キュヴェのレ・ヴィエイユ・ヴィーニュはスケールの大きなワインです。他に、試飲には供されませんでしたがトップ・キュヴェであるCornas Les Vieilles Fontainesがあります。

最後にスパークリング・ワイン
Saint-Péray Les Bulles d’Alain 2011
サン・ペレイは白だけのアペラシオンですが、スティルとスパークリングの生産が認められています。このキュヴェはドザージュ2g/lという極辛口。しかしぶどうの成熟度が高いためか甘やかな雰囲気がありました。
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大変お忙しい中の訪問でしたが実に親切に対応してくださり、北ローヌ南部の理解を深めるとても貴重な勉強をさせて頂きました。ワインはどれも素晴らしかったです!

サン・ジョセフやコルナス、サン・ペレイ。あまり口にする機会が多く無いワインかもしれませんが、心を打つワインがあります。是非試してみてはいかがでしょうか?

Clos Yは9月9日のレストラン講座でアラン・ヴォ―ジュのサン・ペレイのトップ・キュヴェ、フルール・ド・クリュソル2011を入れた構成をご用意しております。素晴らしいワインですので、味わいにいらしてはいかがでしょうか?

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第193回 イギリス・ワインの話 ナイティンバー編

イギリス産のワイン

今日ではその高い品質が評価され、少しずつワイン市場で認知されています。

白ワイン、ロゼ・ワイン、赤ワイン等ありますが、特に高い評価を得ているのがスパークリング・ワインです。

イギリス南部で造られるスパークリング・ワインが高品質であることは、原料となるぶどうが育つ環境を見れば納得がいきます。それというのも、世界に名だたるスパークリング・ワイン産地であるフランスのシャンパーニュ地方とイギリス南部は距離的に近く、土壌は共通した白亜質とのことです。

私は2015年9月にイングランドのWest Sussex州にあるナイティンバーNyetimberを訪問しました。
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イギリスのワインと言えば、私が2002年にイギリスを旅した際、お店で探してみましたが、見つけられたのは甘口の酒精強化ワインのみだったと記憶しております。

ナイティンバーの設立は1988年ですので、その頃には既に高品質なイギリス・ワインがあったのですね。

さて、ナイティンバーは、海(イギリス海峡)から20kmほどの丘陵地に位置しています。土壌はやはりシャンパーニュ地方のものととてもよく似ている白亜質。151haの所有地には、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエが栽培されています。
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私が訪問した2015年は、収穫は10月半ばになるだろうということでした。シャンパーニュ地方の収穫より1ヵ月近く遅いですから、ぶどうの成熟がゆっくり進むのでしょう。全て手摘みで行うようです。

趣のある庭園近くにある建物で、5種類のテイスティングをさせて頂きました。
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クラシック・キュヴェ Classic Cuvée 2010
ブラン・ド・ブラン Blanc de Blancs 2007
ブラン・ド・ブラン Blanc de Blancs 1996
ロゼ Rosé 2009
ドゥミ・セック Demi-Sec N.V. (2006年が主体、ドザージュ44g/l)

ワインの質はやはり素晴らしく、何も言わずに出されればシャンパーニュと答えてしまうと思います。マロ・ラクティック発酵は2009年までは行っていませんでしたが、2010年から行うようになりました。基本的に樽は使いませんが、2007年から造り始めたロゼにだけ使用するようです。ルミュアージュは機械で行います。コルクはDiamなのでほぼブショネの心配は無いでしょう。

ナイティンバーの他にも、上質なワインを造るワイナリーがイギリスには複数あります。

シャンパーニュの有名メゾンも、地球温暖化を見越してか、イギリスに進出しています。今後ますます注目を集めるワイン産地であることは間違いありません。

未経験の方は是非イギリスのスパークリング・ワインを試してみてください。安価ではありませんが、期待は裏切られないことと思います。

Clos Yは、2月4日のレストラン講座で貴重なナイティンバー クラシック・キュヴェ 2005をご用意いたします。ご興味がございましたら是非ご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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ワイン・コラム 第192回 2017年

2018年最初のコラムでは、2017年を振り返ります。

2017年はなんといってもソムリエ・コンクールが多い年でした。

4月には3年に一度の全日本最優秀ソムリエ・コンクール(以下全日本)本選が行われ、それに先立ち3月に予選が行われました。

7月にはWines of Portugal Japanese Sommelier of the Year 2017 (ポルトガルワイン杯。予選5月)

10月にはポメリー・ソムリエコンクール2017(予選9月)

11月には第11回JETCUP イタリアワイン・ベスト・ソムリエ・コンクール(予選9月)

そして12月には第1回ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール2017(予選11月)が行われました。

ひと口にソムリエ・コンクールと言っても、コンクールごとに課題が異なります。

ポルトガル杯はポルトガル・ワインについて、JETCUPはイタリア・ワインについて、ボルドー&ボルドー・シュペリュールソムリエコンクールはボルドーとボルドー・シュペリュールを中心に問題が出題されます。

私が参加したのは全日本、ポメリー・ソムリエコンクールそしてボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクールでした。

ポメリー・ソムリエコンクールは、シャンパーニュ・ポメリーが主催。9年前に無くなってしまいましたが、私世代には馴染みのある名コンクールの復活です。シャンパーニュのみならず、世界のスパークリング・ワイン、そして日本酒スパークリングも出題範囲に含まれていました。

なんといっても困難だったのが全日本です。

出題範囲は特にありません。フランス、イタリアなど有名なワイン産出国はもちろん、東欧や中東、北欧、中国など世界中のワインやぶどう栽培、醸造に関する問題が出題されます。さらにはワインだけでなく、リキュール、蒸留酒、日本酒、ビール、コーヒー、紅茶、ミネラル・ウォーター、世界のノン・アルコール飲料、3つ星レストランに関する問題など、対策に限りはありません...

今年3月の予選に向けて、昨年より準備を続けてきましたが、どれだけやっても全く十分ではありません。

そして予選当日、筆記試験に臨み、あまりの出来なさに、今までの努力は何だったのかという思いにかなり落ち込みました。ショックでした。日常でなかなか感じることのない衝撃です。幸い予選を通ったのでその点は良かったですが、勉強した割にあまりよくできなかった衝撃が残っていて、素直に喜ぶことができないほどでした。

全日本の順々決勝は、主催の日本ソムリエ協会が動画も公開していますので内容をご存知の方もいらっしゃると思いますが、「提案」する課題が多かったです。あるワインをテイスティングしてそれを購入するか否か、ワイン持ち込みのお客様に対してソムリエとしてできることの提案、日本ソムリエ協会のイヴェントの提案など。ただワインをサービスするだけではない、「世界的に求められるソムリエ像」が浮き彫りとなりました。

結果として、私は準々決勝を突破することができましたが、決勝には駒を進めることができませんでした。

続くポメリーでは決勝に進出し、3位。ボルドーでは2位という結果になりました。

2017年はコンクールの優勝に手は届きませんでしたが、今年もコンクールのみならず、日々ソムリエとしての研鑽を積み、成長できるよう努力して参ります。

では本年も、宜しくお願い申し上げます。

Clos Y代表
中西 祐介

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ワイン・コラム 第191回 ワインの提供温度に対する考察

美味しいワイン、とは。

近年ではスーパー・マーケットでも多彩なワインの選択が可能になり、1,000円前後でも日常的に楽しめる良質なワインがお手軽に手に入ります。

考えてみると、20年前はそうでもなかったと思います。日本では1998年にチリの赤ワイン、特にカベルネ・ソーヴィニヨンのワイン・ブームがありました。その頃からワインが徐々に日本の食文化に定着してきたかなと思います。当時は1,000円出しても、今の1,000円のワインのような品質のボトルが手に入らなかったと思います。

フランスにおいても、やはり近年になって、特に底辺クラスのワインの品質向上が顕著だと思います。私が2000年にフランスに居た時には、中級クラス以上のワイン(当時70フランくらい以上。1フランは約20円でした。)は良い品質ものが多かったですが、200円~300円で買えるようなワインの中には、A.O.C.を取得しているものでもあまり楽しめないワインが少なくなかったように記憶しています。

実際のところ、1980年代にボルドー大学のドゥニ・デュブルデューDenis Dubourdieu教授が推進した白ワイン革命に始まり、醸造や栽培の技術が向上し、それが世界に広まっていきました。結果として、2000年前後から世界的にワインの品質がより現代的に改革されていった実感があります。

ここで冒頭の問いに戻りますが、現代ではたとえ1,000円くらいのワインでも、ご自分のお好みに合うワインを探すことができれば美味しいワインにたどり着くことができると思います。何が美味しいワインなのか、はまた別のテーマになりますので以下、今回のコラムのテーマに移りたいと思います。

さて、今回のコラムのテーマに参りますが、ワインを美味しく楽しむための2大条件は、「グラス」と「温度」と言えると思います。

美しい色調を見るため、また素晴らしい香りを十分に楽しむためには、透明で口の部分がすぼまった形状のワイン・グラスを選ぶべきでしょう。

そしてワインの温度ですが、低すぎても高すぎてもいけません。厳密にいうと、ある程度の幅を持ちながらも、世界中のワインひとつひとつに適した温度があると思います。

白ワインは冷やして。赤ワインは常温で。この時代はもう終わっているのです。

スパークリング・ワイン、白ワイン、ロゼ・ワイン、赤ワイン、甘口ワイン...全てのワインに共通して、
「複雑さを有するワイン(高価なワインに多いです。)は冷やし過ぎず、比較的高い温度で。」
「軽快でシンプルな構成のワインは温度を下げ気味に。」

ここでワインの温度を高く/低くするとどうなるか
温度を高くすると
香りが豊かになる。温度が低いと感じ取れなかった香りが出てくる。香りの要素数と、そのボリュームが増す。
アルコール感が強くなる。
タンニンが柔らかく感じられる。
酸味が穏やかに感じられる。

温度を低くすると
香りがシンプルになる。温度が高い時に感じ取れた香りが取れなくなる。香りの数とボリュームが減る。
アルコール感が目立たなくなる。
タンニンがより強く感じられる。
酸味が比較的強く感じられる。

まだいくつかありますが、これはワインだけでは無くて、あらゆる食品に言えることかと思います。果物、チョコレート、生ハム、チーズ、アイスクリーム...温度によって香りや味わいが変わりますよね。

具体的に例を挙げますと、スパークリング・ワインの場合、比較的安価でシンプルなスパークリング・ワインは、それほど複雑性を備えていませんし、食前酒的な役割を負うものが多いですので、氷水を入れたワイン・クーラーの中に入れてよく冷やして、爽やかさを強調してあげると良いでしょう。
ヴィンテージ入りのシャンパーニュやフランチャコルタ、カバなど特に上質なスパークリング・ワインは、ワインとしての複雑性が高く、香りの要素も豊かです。これを強く冷やしてしまうとせっかくの複雑さがちぢこまってあまり感じ取れなくなってしまいます。上質なスパークリング・ワインは氷水などに絶対に入れずに、12℃前後で楽しむとより良い結果になると思います。食前酒としてだけではなく、お料理と合わせて楽しめるでしょう。

白ワインの提供温度も、スパークリング・ワインのような考え方で良いと思います。かなり複雑性の強いグラン・クリュなどは、15℃前後まで温度を上げても良いでしょう。

赤ワインの場合は、そのワインに含まれるタンニンの量が鍵になると思います。渋みの元であるタンニンは、冷やすと粗く、強く感じられますので、タンニンを多く含むワインは18℃以上にするなど、冷やしすぎない方が良いでしょう。しかし温度を上げ過ぎても、香りがぼやけてアルコール感が強くなり、洗練に欠けるようになるので、24℃以下にとどめると良いように思われます。
タンニンを多く含まない赤ワインは、銘柄によっては12℃など、なかなか冷たく冷やしてもフレッシュ感が強調されて美味しく飲めると思います。

ロゼ・ワインは、スパークリング・ワインや白ワインの考え方を基調に、含まれるタンニン量を加味して考えると良いでしょう。

具体的に温度を挙げましたが、ひとまずの参考にして頂ければと思います。世界には多くのワインがありますので、上述の枠外の温度でサービスすべきワインもありますし、状況もあると思います。

難しい部分もあると思いますが、良いグラスがあれば、あとは温度を制すれば快適なワイン・ライフを送れることでしょう。最初のうちはいろいろ温度を変えてワインの表情を見てみると、発見があって面白いと思います。

是非試してみてください!

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ワイン・コラム 第190回 ボルドー地方の話 シャトー・マルゴー編

シャトー・マルゴーChâteau Margaux
Marg
Margaux Chateau
ワイン愛好家でなくてもその名を知る、世界のあらゆるワインの中でも特に知名度が高いワインのひとつでしょう。

シャトー・マルゴーは、フランス南西部、ボルドー地方、メドック地区のマルゴー村に位置する、この地域のみならず世界的に見てもトップ・クラスの品質のワインを生み出す生産者の名前であり、また生産者としてのシャトー・マルゴーが造る複数のワインの中のひとつの名前です。

具体的にシャトー・マルゴーが造るワインを挙げてみますと
シャトー・マルゴー (グラン・ヴァン)
パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーPavillon Rouge du Château Margaux
マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーMargaux du Château Margaux
パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴーPavillon Blanc du Château Margaux
以上4つのワインが市場に流通しています(シャトー・マルゴーで生産されたものの、シャトー・マルゴーで瓶詰されずにネゴシアンに売却されるワインも存在しています。)。

括弧書きでグラン・ヴァンと書いたシャトー・マルゴーというワインが、シャトー・マルゴーが造るいわゆるファースト・ワイン。この生産者のトップ・キュヴェです。

(※グラン・ヴァンGrand Vinとは偉大なワインという意味で、ある生産者が造るトップ・キュヴェをそう呼んだり、世界的に見て群を抜いて素晴らしいワインのことを一般的にグラン・ヴァンと呼んだりします。)

パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーはセカンド・ワイン

マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーはサード・ワイン。2009ヴィンテージから造られ始めました。

パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴーは唯一の白ワインです。ソーヴィニヨン・ブラン100%。

ボルドー地方では1855年にメドック地区とソーテルヌ地区のワイン生産者の格付けが行われましたが、見事第1級に選ばれたシャトー・マルゴーだけあって、ワインはいずれも高い品質水準にあります。
Margaux樽
Margaux樽工場シャトー内に樽工場もあります。
原産地呼称としてのマルゴーは、4つのコミューン(南からアルサックArsac、ラバルドLabarde、カントナックCantenac、マルゴー)と定められています。

4つのコミューンの中でも、特にマルゴー村に特級格付けのシャトーが集中しています。このあたりの土地が、特に高品質なワインを生み出すのに向いているのでしょう。

魅力的なワインを生み出すシャトーが多いマルゴー地区ですが、やはりシャトー・マルゴーはこの地区のトップ生産者でしょう。赤ワインは凝縮感がありながら滑らかでエレガント。別格の存在感を放ちます。白ワインも上質で、ボルドー地方で造られる辛口白ワインの中で最上級のもののひとつと言えると思います。

未経験の方は、本当に試す価値がある素晴らしいワインです。昔に比べると入手困難な金額になってしまいましたが、特別な機会のある時にでも、ゆっくり楽しんでみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、6月4日のレストラン講座の際に、メインのフランス産仔羊に合わせてマルゴー・デュ・シャトー・マルゴー2012をご用意いたします。ご興味ございましたら是非ご参加ください。

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ワイン・コラム 第189回 ローヌ地方の話 シャトー・ラヤス編

シャトーヌフ・デュ・パプChâteauneuf du Pape

法王の新しい城」という意味のフランス語です。これは、フランス南部、プロヴァンス地方(行政上では。ワイン産地の区分上ではローヌ地方に属する。)に位置する小さな村の名前であり、同時にこの村の周辺の限定されたぶどう畑のぶどうから造られる、南仏きってのワインの名前でもあります。

シャトーヌフ・デュ・パプのワインは、高品質の白ワインもありますが少量しか造られていないため見かけることは稀で、生産量の9割以上を占める赤ワインが高い評価を得ています。

ワインのスタイルは、南フランスの太陽をたっぷりと浴びたぶどうがそのままワインになった、ボリュームがあり力強いものです。

今回ご紹介するシャトー・ラヤスChâteau Rayasは、上記のような典型的なワインではなく、グルナッシュ100%であるのにまるでピノ・ノワールのような雰囲気の見事な赤ワインで高い評価を得ています。
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私が訪問させて頂いたのは2013年2月。空には雲一つ無い快晴でしたが、この地特有のミストラルMistral(フランス南東部に吹く強い北風。特にローヌ渓谷では日中の平均速度50km/h、時には90km/hにもなるようです。)が吹きすさび、それは寒かった記憶があります。ミストラルは主に冬から春にかけて現れますが、一年中発生します。この風がこの地方特有の気候や植生、風景を形成する一因になっているのは間違いないでしょう。

さてこのシャトー・ラヤスは、南仏のみならずフランス、そして世界で最も素晴らしいワインのひとつを造る生産者と言って良いと思います。特別であることにはやはり理由があります。

現在はエマニュエル・レイノー氏が運営していますが、このシャトーを有名にしたのは先代のジャック・レイノー氏です。

南仏の偉大なアペラシオンであるシャトーヌフ・デュ・パプの特徴のひとつとして必ず挙げられる、畑に存在する大きな石ころ。日中の太陽の熱を蓄え、ぶどうの成熟を促進すると言われますが、ジャック・レイノー氏はなんと自分の畑のその石ころを取り除いてしまいました...何たる労働でしょう!
DSC01156 シャトー・ラヤスの畑。
DSC01154 少しは石ころがあります。
Chateauneuf畑 これが一般的なシャトーヌフ・デュ・パプの畑。石ころだらけです。

ピノ・ノワールを想わせるエレガントさは、このことも要因のひとつなのでしょう。

この生産者は、希少なシャトーヌフ・デュ・パプの白ワインも造っています。こちらの品種はグルナッシュ・ブランとクレレット。南の白ワインらしく、ボリュームがありますが決してアルコール感が目立つようなことは無く、なめらかでリッチ。マチエール(要素)が多いワインです。

芳醇で濃厚なワインが主流の産地でエレガントなワインを生み出すシャトー・ラヤス。白は希少、赤も高価ですが、真に試すべきワインです。エマニュエル・レイノー氏が、これからも偉大なワインを造り続けてくれることでしょう。
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Clos Yは、5月27日に「偉大なワインを飲む!」単発講座を人形町の肉ビストロ「ラ・ブーシュリー・グートン」で行います。なかなか体感できない、シャトーヌフ・デュ・パプ最高生産者のひとり、シャトー・ラヤスの白ワインもご試飲頂けます。郷シェフのフランス仕込みの骨太料理も圧巻です!ご興味がございましたらご連絡ください。

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ワイン・コラム 第188回 ハンガリーの話 カラカ・ワイナリー編

2016年10月にハンガリーのワイン産地を訪問してきました。

この国に行くこと自体が初めてでしたので、不安もありましたがかねてより世界三大貴腐ワインのひとつを生み出すトカイTokajに行ってみたい思いを強く持っていました。この度、ついに実現させることとなりました!

ブダペストを首都とするこの国は、四国のような横長の形をしていて、ハンガリー平原が広がり、ドナウ川が国の中心あたりを南北に流れています。気候は大陸性で、国の西部には大きなバラトン湖があり、その周囲にはワイン産地が複数点在しています。公用語はハンガリー語。E.U.に加盟していますが通貨はユーロではなくフォリントforint。日本の感覚からすると物価は安い状態です。

私は成田からブダペストのリスト・フェレンツ空港に入りました。直行便がありませんので、途中乗り換えをしたのですがその時にオーヴァー・ブッキングと言われ、予定と違う便になったのですが結果早く着くことができて良かったです。

空港からホテルまで車での移動でしたが、暗い郊外からブダペストの中心地に入ると町並みは他のヨーロッパの都市とあまり違いの無い、現代的な様子です。
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夕食はホテルの近くで見つけたビストロで、ハンガリーの生ハム類とワインを頂きました。
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翌日、いよいよトカイに向けて移動です。ハンガリーでワインを造る日本人、片木さんに紹介して頂いた、ハンガリーでワイナリーを営むハンガリー人のダニエルさんの車でトカイまで約3時間。ブダペストの西部のバラトン湖周辺のワイン産地とは反対の、この国で一番北東に位置しています。

トカイは、小さな山の東側にあるとても小さな町です(ホテルやレストランなどが並ぶメイン・ストリートは500mほど。)。この町の東側にティサTiszaとボドログBodrogという2つの川が流れていて、ちょうど合流します。トカイの町の周辺には、この地域のぶどう畑の5%ほどしか畑が無いのですが、この町に川を利用してワインが集まったため、その名は世界的に有名になりました。

トカイのワイナリーは4軒訪問させて頂きました。今回はそのうちのひとつ、カラカKalákaをご紹介いたします。

カラカは小さな村に位置する小さなワイナリーです。当主はブダペストでワイン屋さんを営んでいた知的な方で、トカイの格付け地図(ブルゴーニュのように畑を1級や特級などに格付けしたもの。)まで作ってしまいました。
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スパークリング・ワインを始め、複数のワインをテイスティングさせて頂きました。トカイでは白ワインの生産のみが認められていますので、試飲ワインは全て白。
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トカイと言えば貴腐ワイン、というイメージが強いと思うのですが、この造り手は「テロワールの神髄は辛口ワインに現れる」という哲学に則り、上級キュヴェは辛口白ワインに仕上げてあります。酸のしっかりとした非常にシリアスな味わい。このワインひとつ取っても世界のワインの多様性に改めて気づかされます。

ハンガリーのワインは全般的に、品質の割に安い値付けがされているように思われます。辛口白ワイン、甘口白ワイン、そして赤ワイン。この国独自の品種にも、見るべきものがあります。試してみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、3月12日のレストラン講座を恵比寿のフレンチ・レストラン Emuで行います。笹嶋シェフの、春の旬の素材を用いた素晴らしい料理にワインを合わせます。前菜のフォワ・グラのプレッセには、カラカのトカイを合わせます。ご興味がございましたらご連絡ください。

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ワイン・コラム 第187回 ブルゴーニュ地方の話 ジャック・プリウール編

ブルゴーニュ地方でも人気のワイン産出村、ムルソーMeursault。

この村に居を構えるドメーヌ・ジャック・プリウールDomaine Jacques Prieurは、ブルゴーニュ地方全体で見ても最も重要なドメーヌのひとつに挙げることができると思います。

モンラシェMontrachet
シュヴァリエ・モンラシェChevalier-Montrachet
コルトン・シャルルマーニュCorton-Charlemagne
シャンベルタンChambertin
Chambertin2
シャンベルタン・クロ・ド・ベズChambertin Clos de Bèze
ミュジニーMusigny
クロ・ド・ヴージョClos de Vougeot
エシェゾーEchézeaux
コルトン・ブレッサンドCorton Bressandes
Corton-Bressandes
といったグラン・クリュの中でも別格の畑を含む約21ha(ピノ・ノワール11ha、シャルドネ10ha)の畑を所有し、上質なワインを世に送り出しています。

1990年から醸造に携わるナディーヌ・ガブリン氏は、ベスト・ワイン・メーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたこともある、世界的に見ても重要な女性醸造家のひとりです。

私がこのドメーヌに惹かれるのは、錚々たるグラン・クリュの数々や全体のワインの品質はもちろんですが、他にボーヌ村の1級畑の面白さにあります。

クロ・ド・ラ・フェギーヌClos de la Féguineという畑を単独所有しており、白と赤を造っています。また、ボーヌのプルミエ・クリュの中で筆頭格のひとつ、グレーヴGrèves(ブシャール・ペール・エ・フィスのヴィーニュ・ド・ランファン・ジェジュが有名)から赤ワインと、そして白ワインも!造っています。興味深いことです。

アルコール発酵は天然酵母で行い、樽での熟成は白ワインでも12から18ヵ月と長い期間行います。いずれのキュヴェも心を打つ品質です。

チリの高品質ワイン生産者、コノ・スルCono Surはピノ・ノワールに力を入れておりますが、そのトップ・キュヴェであるオシオOsioはやはり素晴らしい品質です。このワインの生産に、ジャック・プリウールのマルタン・プリウール氏が関わっています。オシオの品質の向上にジャック・プリウールの伝統や経験が一役買っているわけです。

ジャック・プリウール。未経験の方は、是非試して頂きたいドメーヌです。

Clos Yは8月17日のレストラン講座で、ドメーヌ・ジャック・プリウールの白ワインを含む上質なワインを料理と合わせて提供いたします。ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

ワイン・コラム 第186回 ロワール地方の話 ギベルトー編

フランス北西部、ロワールLoire地方

フランス最長の川、ロワール川沿いに広がるワイン産地です。
Loire2
長い川ですので、ひとつのワイン産地が4つの地区に分かれています。以下、上流から下流に向かって

1、サントル・ニヴェルネCentre Nivernais

2、トゥーレーヌ Touraine この地区にはロワールLoire川の支流のロワールLoir川が流れています。

3、アンジュ・ソーミュール Anjou Saumur

4、ペイ・ナンテ Pay Nantais

地区によって主に栽培されているぶどう品種が異なります。そのためワインのスタイルも地区によって異なりますが、共通するのは冷涼な気候によってもたらされる軽やかさと上品さです。重厚なワインは稀で、食事と合わせて楽しめるフード・フレンドリーなワインが多く、パリのビストロなどで重宝されています。

今回ご紹介するドメーヌ・ギベルトーDomaine Guiberteauは3、アンジュ・ソーミュール地区に属する、ソーミュールのアペラシオンのワインを産する素晴らしい生産者です。

ソーミュールではカベルネ・フランを主体にした赤ワインとシュナン・ブランによる白ワインの生産が行われています。

ギベルトーでは現在、赤ワイン3種類(4ha)と白ワイン5種類(5.5ha)を造っています。

赤ワインの醸造はコンクリート・タンクで行い、白ワインの醸造はステンレス・タンクで行います。

訪問時(2012年)に試飲させて頂いたのは
赤ワイン 2011
レ・モテルLes Motelles 2009
レ・ザルボワーズLes Arboises 2009

白ワイン 2011
クロ・ド・ギショーClos de Guichaux 2010
ブレゼBrézé 2009

赤ワインは緯度の高い土地であるにもかかわらず果実感がしっかりしていて、キュヴェが上がるごとにタンニンの充実度が増し、複雑さと余韻の長さが伸びて行きます。

白ワインは、このドメーヌではマロ・ラクティック発酵を行いません。そのため全てのキュヴェで心地良い、締まりのある酸味が感じられます。
印象に残っているのはクロ・ド・ギショーの充実した果実味、そしてブレゼのエレガントな的まとまりのボリューム、そして新樽香も含む余韻の長さです。

ピュリニー・モンラシェのようなワインがお好みの方には是非試して頂きたい、シュナン・ブランの傑作のひとつです。
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これからの湿度が高く暑い季節、さらに魅力的に感じられることでしょう。

Clos Yは7月3日の極上ワインと料理のマリアージュ講座で、ドメーヌ・ギベルトーの白ワイン、クロ・ド・ギショー2013を含む上質なワインを料理と合わせて提供いたします。ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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