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ワインコラム 第57回 オーストリアの話 ヴァッハウ編

8月も後半になりましたが、まだ暑い日が続きますね。

 

このように暑いときには、冷涼産地の、酸味がしっかりしたワインが欲しくなるものです。フランス北部のロワールLoire地方やシャンパーニュChampagne地方、アルザスAlsace地方、ドイツなど...

 

今回ご紹介するオーストリアも、そんな冷涼ワイン産地の括りに入るでしょう。しかし、近年では良質な赤ワインやボリュームのある辛口白ワインなど、多様性に富む高品質ワインが生産されています。

 

そんなオーストリアの中で、一番の銘醸地として扱われることが多いのがヴァッハウWachauです。

 

位置を確認しますと、オーストリア自体はスイス、ドイツ、イタリアなどと国境を接する、横に長い形をしています。ワイン産地は国の東部に集中していて、チェコ、スロバキア、ハンガリーなどと接しています。

 

そのワイン産地の中でも、ヴァッハウは一番北西にある小さな産地です。ドナウ川Donau沿いに、急な斜面畑が展開されている風景は、ドイツの高名な畑やローヌ北部などを思い起こさせます。

 

私は2010年の1月に、この地を代表する生産者のひとりであるニコライホーフNikolaihofを訪問してきました。

Nikolaihof3 - コピー 看板越しに畑が見えます。 

今日オーストリアでは有機栽培を実践するワインの造り手が増えてきておりますが、ニコライホーフは1970年代前半という早い時期にビオディナミBiodynamie(有機農法の一種で、天体の影響までも取り入れた哲学を伴う農法)を取り入れた、同国のこの分野でのパイオニアです。

 

歴史のある地下カーヴを案内していただいた時、薄暗い中ふいに現れた黒猫、そして蝙蝠に驚かされました。これらも含めてビオディナミ、とは言っておりませんでしたが(笑)、歴史あるビオディナミの造り手らしい雰囲気でした。

 

主なワインをテイスティングさせていただきましたが、ミネラル感に富んだピュアな味わいはまさにぶどうが生まれ育った土地を表現しているのだなと思わせる、美しいものでした。

 

ニコライホーフが造るワインは白のみなのですが、中でも特筆すべきはリースリング・シュタイナー・フントRiesling Steiner Hundです。ドイツが原産のリースリングですが、このワインは世界最高のリースリングのひとつと言えるのではないでしょうか(この畑はヴァッハウ地区のお隣の、クレムスタールKremstal地区に位置しています。)。

 

もちろん、ヴァッハウのワインも素晴らしいです。同国を代表するぶどう品種のひとつグリューナー・ヴェルトリナーGrüner Veltlinerは是非お試しいただきたいワインです。

 

まだ暑い日が続きますが、ぶどうが生まれ育った土地をそのまま表現した、美しく、かつ力のあるこのようなワインも時にはいかがでしょうか?地球から、少しエネルギーをもらえるかもしれません!

 

Clos Yでは、9月5日に「オーストリアのワイン」をテーマにレストラン講座を行います。今回ご紹介したニコライホーフのグリューナー・フェルトリナー2002もお楽しみいただけます。また、現地で入手してきた同国における伝説の赤ワイン、エルンスト・トリーバウマーErnst TriebaumerのマリーエンタールMariental 2007もご用意しております。参加ご希望の方はご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

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