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ワインコラム 第40回 ボルドー地方の話 ポイヤック編 その1

世界中の有名なワイン産地には、その地を代表する牽引車的な村(もしくは地域)があります。ブルゴーニュでいえばヴォーヌ・ロマネ村Vosne-Romanée、シャンパーニュでいえばコート・デ・ブランのメニル・シュール・オジェ村Le Mesnil sur Oger、カリフォルニアでいえばナパ・ヴァレーNapa Valley...
 
ボルドー地方でそれに当たるのがポイヤックPauillacです。ジロンド河のすぐそばに位置するこの町は、世界中で人気のある黒ぶどう品種カベルネ・ソーヴィニヨンの聖地と言うべきで、上質な赤ワインを産出するシャトーが集中しています。1855年のメドックの格付けで、メドック地区に4つしかない第1級シャトーのうち3つ(うち1つは1973年に1級に昇格)がこの町にあることからも、この町のワイン造りのポテンシャルがうかがえるというものです。
 
さて、まずは町を見てみましょう。ポイヤックは、大きな町がないメドック地区で最も重要な、比較的大きな町です。河沿いにはホテルやレストラン、土産物屋などが立ち並び、街中にはスーパーマーケットや銀行など、日常生活に不可欠な様々な施設があります。ミシュランガイドで2つ星の評価を得ている、ボルドー地方を代表するレストランであるシャトー・コルディアン・バージュChâteau Cordeillan Bagesもこの町にあります。
 
肝心のワインですが、ポイヤックの名で流通させることができるワインは赤ワインのみです。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フランなどのブレンドですが、メドックの他の村と比べてカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いのが特徴です。そのためワインはがっしりとした骨格を持ち、重厚で、長期熟成に耐えます。
Lynch Bages 砂利交じりの、水はけの良い土壌。
  
この町の、ワイン以外の特産品に、ポイヤックの仔羊Agneau de Pauillacがあります。ミルクの香りのする、ジューシーで柔らかなこの肉との相性は抜群です!
  
この町のワインがこれほど有名な理由として、前述の1855年の格付けが大きな要因として挙げられると思います。この格付けはパリ万博に際して、ナポレオン3世がボルドー商工会議所に命じて作らせたもので、メドック地区の60シャトー(とグラーヴ地区の1シャトー)が1級から5級に格付けされました。今日約10,000あると言われているボルドー地方のシャトーの中で、例え5級でもこの格付けに入るというのは大変栄誉なことです。その60のうち、ポイヤックは1級に3つ、2級に2つ、4級に1つ、5級に12つ、合計18のシャトーを有しています。5級の中には比較的軽いものもありますが、それでも世界水準からすれば重厚で、熟成させる価値のあるものです。
 
近年ではワイン造りの技術が向上し、長期熟成タイプのワインでも若い状態でおいしく飲めるようになっています。私は個人的にはボルドーの赤ワインは比較的若い状態で飲むのが好きなのですが、もちろん熟成によって現れる風味も素晴らしいものがあります。
  
「ワインの飲みごろ」は、造り手やソムリエではなく、消費者が自分の好みを把握したうえで決める時代になったのかもしれませんね。
 
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