- 2009-10-18 (日) 16:14
- ワインコラム
美しい瓶に入った高級嗜好品であるワイン。
醸造工程で糖などを加える場合がありますが、ワインはぶどうそのものと言っていいと思います。
今回は、そのぶどうのお話です。
現在、ワイン用に栽培されているぶどう品種は世界中で約1000品種あると言われています。そのうち、主要品種は100品種ほどのようです。
人気があり、世界中で栽培されているスター品種はシャルドネChardonnay、カベルネ・ソーヴィニヨンCabernet Sauvignonなどごく一部に限られています。
というのも、ピノ・ノワールPinot NoirやネッビオーロNebbioloなどのように、類稀な素晴らしいワインになり得るぶどう品種の中には、限られた条件のもとでしかうまく栽培できないものもあるからです。
このコラムではあまり有名ではないものの、注目に値するぶどう品種を紹介していきたいと思います。
今回ご紹介するのはアリゴテAligotéです。
白ぶどうであるこの品種の故郷はフランス、ブルゴーニュBourgogne地方です。この土地には前述のスター品種、シャルドネの聖地であり、アリゴテはどうしても霞んでしまうのですが、私はこの品種は注目に値するものだと思います。
この品種の特徴として、ワインにすると酸味が際立つ点が挙げられます。一般的にはブルゴーニュ・アリゴテBourgogne Aligotéというアペラシオンで低価格で販売される、若飲みタイプのワインです。
キールKirというカクテルをご存知でしょうか?カシスのリキュールと白ワインで作られますが、あのカクテルはブルゴーニュ生まれです。そしてその白ワインこそ、アリゴテのワインなのです。酸味が強いワインですので、カシスリキュールの甘味が加わるとバランスの良い味わいになるのですね。
今回は、カクテルにされてしまうようなアリゴテではなく、ゆっくり味わうに値するアリゴテをご紹介いたします。
まずご紹介しなければならないのは、ブズロンBouzeronでしょう。ブルゴーニュ地方のコート・シャロネーズCôte Chalonnaise地区にあるブズロン村のワインで、必ずアリゴテ100%で造られます。アリゴテならではのしっかりした酸味がありながら、ある程度果実味の厚みがあります。優れた造り手(A et P de Villaineなど)のワインは数年の熟成によりさらに品質が向上する、良質なワインです。
ブズロン村のぶどう畑
もう一つ、隠れたアリゴテ栽培村がブルゴーニュ地方にあります。モレ・サン・ドゥニMorey-Saint-Denis村です。クロ・ド・ラ・ロシュClos de la Rocheやクロ・ド・タールClos de Tartなどのグラン・クリュを擁し、赤ワインのイメージが強いかもしれませんが、上質な白ワインも産出しています。その白ワインの一部が、アリゴテから造られています。ドメーヌ・ポンソDomaine Ponsotのモレ・サン・ドゥニ・プルミエ・クリュ・クロ・デ・モンリュイザンMorey-Saint-Denis 1er Cru Clos des Monts Luisantsです。1級畑に植えられているアリゴテはとても珍しいものです。高価なワインですが、良い意味で一般的なアリゴテらしくない上質なワインです。
モン・リュイザン畑
高価なアリゴテと言えば、ドメーヌ・ドーヴネDomaine d’Auvenay、コシュ・デュリーCoche Duryがトップクラスです。並のグラン・クリュを上回る価格ですが、一般的なアリゴテと全く異なるワインになっています。特に張りつめたミネラル感が凄く、アリゴテの持つ可能性を教えてくれます。一度は飲んでおきたいワインだと思います。
(Clos Yが行う11月1日のレストラン講座で、ドーヴネのアリゴテが登場いたします!ご興味のある方は是非ご参加ください。)
その他、注目に値するアリゴテの生産者をご紹介いたします。
シュヴロChevrot(特にTilleul)、アラン・コシュ・ビズアールAlain Coche-Bizouard、フランソワ・ミクルスキFrançois Mikulski、ドミニク・ドゥランDominique Derain、ルロワLeroyなど...
機会がありましたら試してみてください。きっとアリゴテが好きになると思いますよ!
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