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ワインコラム 第15回 Bistro du Sommelier ビストロ・デュ・ソムリエでの日々編 その2

今回は、ボルドー中心部に位置するビストロ・デュ・ソムリエBistro du Sommelierでの仕事をご紹介いたします。

 

営業は12時から始まります。昼前に出勤し、掃除など準備をして、オープン前にみんなで簡単な食事をします。ひき肉のステーキSteak Hachéや鶏肉のトマト煮込みなどがよく登場しました。それに、日本では考えられないことですが、ワインもみんなで飲みました。もちろん、優雅に高級ワインを飲むわけではありません。ここにあったのは嗜好品としてのワインではなく、必需品としてのワインでした。フランスですね!

 

お客様も昼からワインを召し上がります。特に、夏になるとテラス席がオープンするのですが、実にたくさんのお客様がボトルでロゼを注文し、飲んでいたのが印象的でした。それまで私はロゼワインをどのように楽しんだらよいのかわからなかったのですが、このような状況では最高のワインだと思います。夏の、暑い、乾いたヨーロッパで、木陰で心地よい風を浴びながらロゼワインを傾ける... 情緒的です!

 

夜は昼営業と少し違う雰囲気です。ワインは赤ワインがよく出ていましたが、ソムリエとしての仕事はお客様に食前酒を伺うことから始まります。ほとんどのお客様が食前酒を召し上がっていました。多かったのはシャンパーニュですが、ソーテルヌSauternes リレLilletのような甘口ワイン(リレはボルドー地方のワインをベースに、スパイスやハーブなどで風味づけをした甘いお酒です。赤と白があります。どちらも良く冷やしてそのままいただきます。)もよくオーダーされました。食前に甘口ワインも素敵ですね!

 

料理は気軽な「ビストロ風」のものですが、地元の食材を大切にしていました。前菜で人気だったのが生牡蠣です。ボルドー地方ではアルカッションという港町で牡蠣の養殖が行われています。そこから届く新鮮な牡蠣に、あつあつのソーセージを添えて提供していましたが、生牡蠣と焼きソーセージ、合うのでしょうか??一度試してみてください。後悔はしないと思います!ソムリエとしても、リストには赤ワインのほうが圧倒的に多いため、生牡蠣にソーセージがつくと赤ワインも勧めやすくなります。

 

印象的だった料理は豚の内臓を使ったある種のソーセージのような冷前菜「グルニエ・メドカン Grenier Médocain」、たっぷりとボリュームのある生肉ステーキ「タルタル・ド・ブフ Tartare de Boeuf」、骨付きの分厚い巨大な肉塊「コート・ド・ブフ Côte de Boeuf」などです。肉料理には付け合わせとしてフライド・ポテトが出ます。それは冷凍のものではなく、毎日大量のじゃがいもを手作業で洗い、切り、揚げ、大きめの塩の結晶を振りかけて提供します。あつあつのものは口の中で溶けるような、クリーミーとでも言えそうな絶品でした!

 

あと、フランスのレストランで重要なものとして、パンが挙げられると思います。ビストロ・デュ・ソムリエには毎日パン屋さんがパンを届けてくれるのですが、これが本当に素晴らしかった!!このパン屋さん、昔ながらの作り方で、木を燃やす窯でパンを焼いています。厚みのある、硬いけれども味のある皮はコーヒーのような香ばしさがあり、たっぷり詰まった中身は感動的なほどもちもちでした...

 

さて、ここでひとつ問題です。ソムリエはこのパン屋さんにあるものを渡して、それをパン作りに役立ててもらうのですが、それは一体何でしょう?4択にします。

 

1、 ワイン (大量に飲んでもらって、テンションを上げていただく)

2、酵母 (ワイン造りに使う酵母をパン作りにも使ってもらう)

3、木 (高級ワインは木のケースに入っているため、納品後の空き木箱を薪として使っていただく)

4、愛情 (!)

 

迷いますね。恐らく1番か4番で迷うと思うのですが、正解は...

 

3番です!

当たった方、おめでとうございます!

 

さて、広いお店でしたので、営業中はばたばたとしていましたが、ソムリエの仕事はお客様にワインをサービスするだけではありません。営業前後の仕事も重要です。大変だったのが、ワインの搬入です。毎日大量のワインが出ますので、納品されるワインも大量です。お店の地下にカーヴがあるので、納品されたワインを下ろさないといけないのですが...

 

納品され、高く積まれたワインケースの「壁」を初めて見た時は「よし、帰ろう!」と思いました(笑)。

手作業で、階段を降りワインケースを地下に入れていきます。腕も足も腰も疲労困憊でした!筋肉痛になったものです。

 

しかしいい経験でした。お客様も個性的な方がいて、童話から出てきたようなかわいい双子のおじいちゃんや、土地柄有名シャトーのオーナーなども頻繁に来店されました。貴重なワインをテイスティングする機会もありました。私のフランス語も、ここで働いた間に急激に上達したと思います。時にはお客様に発音を直されながら(笑)。

 

私はフランスのレストランが好きです。理由はいろいろあると思いますが、レストランのサービススタッフとお客の距離(物理的なものではなく)が近いことが一番の理由かもしれません。あと、地元の食材と地元のワインを合わせるのは至福ですね...!!

 

さて、ここ数回フランスの話が続きましたので、次回はイタリアのお話を書きたいと思います。

 

 

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