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ワインコラム 第29回 ジュラJura地方の話

ワイン王国フランスには、様々な個性を持つワインを生むワイン産地があります。スパークリング・ワインの代名詞にもなっているシャンパーニュChampagne地方、重厚な赤ワインで知られるボルドーBordeaux地方、歴史あるテロワールのワインを産するブルゴーニュBourgogne地方...

 

数あるワイン産地の中で、では最も知られていない産地はどこかと考えてみると、「ジュラ&サヴォワJura et Savoie地方」かもしれません。

 

そもそも、ジュラ地方とサヴォワ地方は全く異なるタイプのワインを生み出す別産地です。なのに、ワインに関する本などを見てみるとほとんどの場合ジュラ地方とサヴォワ地方がひとくくりに扱われています。この事実だけを見ても、いかに注目されていないかがわかるというものです。

 

しかしながら、私はジュラとサヴォワは素敵なワイン産地だと思います。

 

特に今回ご紹介するジュラ地方は実に個性的なワイン産地です。

 

まずは位置を確認しましょう。ジュラ地方はフランス東部、スイスとの国境近くに位置しています。ブルゴーニュ地方の町ボーヌから、ジュラ地方の町アルボワArboisまで約90kmほどと近く、ブルゴーニュ系の品種であるシャルドネやピノ・ノワールも盛んに栽培されています。

 

ジュラ地方のワインの魅力は、ブルゴーニュ系品種も良いのですが、やはりジュラならではの品種にあると思います。

 

ジュラ地方の地場品種は複数ありますが、ここでは白ぶどうサヴァニャンsavagninをご紹介いたします。サヴァニャンはこの地方のワインに広く使われますが、この品種による特に有名なワインが「黄ワイン=ヴァン・ジョーヌvin jaune」と呼ばれるワインです。

 

黄ワインは十分に糖度の上がったサヴァニャンから造られる白ワインの一種で、樽で6年以上もの長い期間熟成されてからでないと出荷されません。結果、じっくりと熟成=酸化が進み、ワインは黄色く見えるほどの濃い色調を呈します。シェリーのような独特の香りがあるワインです。フランスではカレーの香りがあると言われていますが、確かにカレーの香辛料の香りがすることがあります。

 

黄ワインはアルボワを始めジュラ地方全域で造られていますが、シャトー・シャロンChâteau Chalonのものが最良とされています。

 

ch-chalon2 シャトー・シャロンのぶどう畑

 

他にもジュラ地方には個性的なワインがあります。陰干ししたぶどうから造られる甘口ワインヴァン・ド・パイユvin de paille、ぶどう果汁とマールmarc(ぶどうの搾りかすを原料とするブランデー)のブレンドであるマックヴァン・デュ・ジュラMacvin du Juraなどです。

 

いずれもジュラならではの、「テロワールのワイン」だと思います!

 

生産者も家族単位の小規模な造り手が多く、私が訪問したジャック・ピュファネイJacques Puffeneyピエール・オヴェルノワPierre Overnoyベルテ・ボンデBerthet Bondetなどは生産量こそ少ないものの上質なワインを造っていました。

arbois-jqcques-puffeney ジャック・ピュファネイのカーヴ

p-overnoy2 ピエール・オヴェルノワのドメーヌ

berthet-bondet ベルテ・ボンデのドメーヌ

 

ジュラ地方のワインは個性的で、本当に面白いと思います。しかしあまり知られていないのは、やはりその生産量の少なさが原因のひとつかと思われます。もし幸運にも見つけることができましたら、試してみてくださいね!

 

 

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