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ワインコラム 第19回 フランスのミシュラン星付きレストラン その2 3つ星編

前回に引き続き、今回はミシュラン・ガイド星付きレストランのお話です。

 

最新のミシュラン2009では、最高評価の3つ星レストラン29軒あります。大都市であるパリに集中するのは当然として、パリ以外の3つ星レストランは意外な田舎にあることが多いようです。それも、電車やバスを乗り継いで...といったレベルでさえなく、タクシーや車でないと行けないようなところです。さすがに3つ星だけあって立派な美しいレストランなのですが、そのような施設がひっそりとした田舎にあると妙に違和感を感じるものです。

 

私が初めて訪れた三つ星レストランロジュ・ドゥ・ローベルガードLoges de l’Aubergade(舌を噛みそうな名前ですね!私が訪れた2005年はこの名前でしたが、現在ではミシェル・トラマMichel Tramaというシェフの名前に変更されています。)も、そのような場所にありました。

 

ピュイミロールPuymirolという小さな小さな村にあるのですが、よそ者が足を踏み入れるのをためらってしまうようなひっそりとした村です。近くに大きな町があるわけでもありません。本当に、「よくこんな所(ちょっと、失礼ですね)に!」と思ってしまうような場所に天下の三つ星レストランがあります。たどり着くまでに少し苦労しました。この辺りは起伏が多く、細い田舎道をくねくねと走り続けました。

duras3フランス南西部の風景です。

 

当時ボルドーBordeauxに住んでいた私はプロヴァンスProvence地方へ出かけた帰り道だったので寄ったのですが、そうでもなければなかなか来られない所だと思います。

 

村は数分で端から端へ歩けるほど小さく、村についてからレストランを探すのに苦労はしませんでした。特にこれといった商店も見当たらないこの村に、シンプルな外観のこのレストランはひっそりと佇んでいました。

 

緊張しながら、初の三つ星レストランに入ります。5月。気持ちの良い時期だったので、テラスに案内されました。もはや、小村ピュイミロールの面影は微塵もありません。どこか南国の高級リゾートにでも来たような雰囲気です。静かで格調高い空気がゆったりと流れています。

 

席に着くと、ソムリエが食前酒を伺いに来ます。日本では大体シャンパーニュになりますが、フランスには各地に地元で消費される食前酒があります。このお店で勧められたのは、シェフのトラマ氏が造っているワイン、ソーヴィニヨン・ブランsauvignon blancでした。このあたりで造られているワインに興味があり、頼んでみるとほのかに樽香のある上質なワインでした。食前酒がおいしいといいですよね!これから始まる食事への期待が高まります。

 

私がオーダーしたのは、市場のメニュー Le Menu du Marché (76ユーロ) でした。三つ星というとかなりの出費の覚悟が必要と思いますが(実際パリではそうですが)、田舎にある三つ星レストランでは意外と安いところもあるのですね。

 

まず、アミューズ・ブーシュamuse-boucheとしてキャラメリゼしたプチ・トマト、刻んだきゅうり入りの白いムース、アボガドのクリーム、小さなえびせん(?)などが出てきました。見た目にも楽しく、今後の食事への期待が高まります。

 

続いて、前菜の前にもう一品。竹串に刺したフォワ・グラのテリーヌに、アーモンドなどのナッツがまぶしてあるものです。竹串を使うところは意外性がありますが、料理自体はクラシックなおいしいものです。

 

力の入った前菜entréeは、輝くような美しい野菜です。トマトや、緑、黄色のズッキーニなど。酸味のあるキャラメル風味のジュレがソースとして使われています。白インゲン豆のように見えるものが入っていますが、実はこれ、フォワ・グラでした!このような遊び心は楽しいですね!この野菜のおいしさは特筆ものでした。

 

どきどきの主菜platは、リー・ダニョーris d’agneau(仔羊の胸腺)をからりと揚げたものです。これも竹串に刺された状態で出てきました。なんだか日本の焼き鳥みたいな様子です。これといって複雑なソースがかけられているわけでもなく、素材の味わいを素直に楽しめるシンプルなものでした。私としてはちょっと残念でした。味つけ、そして特に見た目が...

 

フランス人なら、竹串に刺さって出てくる料理に新鮮さを感じるのかもしれませんね。私の場合は出てきた時点で「焼き鳥か!」とひとりで突っ込んでしまう(今考えてみると、串揚げか!でもよかったです。)ような気分でした。料理は見た目も大事ですよね。

 

続いてデザートに移っていきます。まず柑橘類風味の爽やかな一口サイズの飲み物が出ます。このあたりに三つ星の洗練を感じます。そしていよいよメインのデザートです。アーモンド・ムースのカプチーノ仕立て、カカオとアーモンドのアイスクリームが添えられています。カカオのアイスクリームが濃厚でおいしかったです!

 

最後はコーヒーとプティ・フール(小さな焼き菓子などの盛り合わせ。この店の場合、ほおずきがついていました。)で終わりです。 

 

食事を通して供されたパンは、グリッシーニ(イタリアにある、細長いかりかりのスナック)のほかに3種類ほど用意してありました。特に優れていた印象はありませんでした。

 

ワインは、この地のものをと思っていたのですが、残念なことに「これぞ地元の宝だ!」というものを見つけられず、好奇心からルーマニアピノ・グリPinot Gris 1990をオーダーしました。熟成感が出ていて、ほのかに甘みのあるタイプで、フォワ・グラと特によく合いました。なんとここのソムリエ、私が当時働いていたボルドーのビストロ・デュ・ソムリエBistro du Sommelierで過去に働いていたらしく、急に親近感がわきました。食後に蒸留酒をサービスしてくれたり、意外な出会いでした。

 

全体を通してみると、正直、うーん、こんなものか...と言った感じです。料理は全体的に軽く、特に主菜が残念でした。竹串も2度使っているし、フォワ・グラも連続で出ています。インパクトの強いものを使うのは1度で良かったのでは?と思ってしまいました。

 

サービスについては、私が「三つ星はどんなサービスをしてくれるのだろう?」と期待しすぎていたところがありましたが、それを差し引いてもやはり最高!とは言えませんでした。しばしばサービス・スタッフがホールから消え、一度自分でワインを注いでしまいました。

 

なんだか良くないように書いてしまいましたが、素直にレストランとして見るとやはりレベルは高いと言えると思います。ビストロなどと比べるとその洗練は圧倒的です。あとは価格とのバランスですね。あと、たまたま日本人の私がこのコースを食べたわけですが、フランス人などから見ると竹串も高評価に転じるのかもしれません。

 

結果として、経験できてよかったです。このあと、いくつかの他の三つ星レストランに行ったのですが、それらは忘れ難いような素晴らしいものでした。いつか、またご紹介できればと思っています。

 

次回はブルゴーニュBourgogneのお話です。

 

 

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