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ワイン・コラム 第141回 ブルゴーニュ地方の話 シルヴァン・ロワシェ編

フランス、ブルゴーニュ地方。
 

前回は南部のマコン地区をご紹介いたしました。要注目の産地で、この地区では高いワインでも1本15,000円程度で購入することができます。

 

しかし、ブルゴーニュと言えば世界でもトップ・クラスの高級ワイン産地です。有名なロマネ・コンティRomanée-Contiは軽く100万円を超える金額が付けられます。

 

今回は、ロマネ・コンティを含む高級ワインが生まれるブルゴーニュ地方の中心地、コート・ドールCôte d’Or地区で注目すべき若手生産者、シルヴァン・ロワシェSylvain Loichetをご紹介いたします。

 

この造り手は、約9haの自社畑を所有していて、ドメーヌ(自分が所有するぶどう畑のぶどうからワインを造る造り手)と言えますが、同時に購入したぶどうからもワインを造るので、ネゴシアン(他者から購入したぶどうもしくはぶどう果汁からワインを造る、もしくはワインを購入して自社で熟成させる造り手)としての顔も持っています。

 

本拠地はボーヌBeauneのすぐ北隣りのショレイ・レ・ボーヌChorey-Les-Beaune村にあります。ぶどう栽培は有機(ビオロジック)農法を採用し、アルコール発酵も天然酵母で行うなど、ナチュラル志向のようです。

DSC00935 まだ新しいセラー

DSC00936 

当主のシルヴァン・ロワシェ氏は、2005年に21歳の時にドメーヌを立ち上げたという人物です。まさに若手。

DSC00937

肝心のワインはどうかと言いますと、現時点で特に白ワインに良い評価が与えられているようですが、私は赤も含めて素晴らしいワインを造っていると思います。

 

白に関しては、アペラシオンごとの特徴がなかなか典型的に表現されていて、各ワインに共通して言えるのは「きれいな酸味」です。十分に果実味もあり、バランスが良いのですが、シルヴァン・ロワシェの白ワインに透明感を与えているのはこの酸味(そしてミネラル)にあると思います。

 

赤は充実した果実味があり、タンニンがしなやかです。軽めのヴィンテージでも、ヴィラージュ・クラスのアペラシオンでさえ充実した凝縮感があります。2009年に関しては、暑い年でしたので濃厚なワインが生まれています。コート・ド・ボーヌのワインを飲んでも、コート・ド・ニュイのアペラシオンの様な印象を私は受けました。

 

白も赤も樽が程良く効いています。

 

私がこの造り手を訪問させて頂いたのは2012年の7月のことです。この時点では赤は100%除梗して造っているとのことでした。しかし、満月の日はアルコール発酵が早く進むとおっしゃっていたので、ビオディナミに興味があるのかもしれませんし、醸造も変わっていくかもしれません。何しろまだ若いですから!

 

嬉しいことに、日本でもこの造り手のワインを手に入れることができます。少し前に比べ、入手可能なキュヴェも増えてきました。一度試してみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yは、10月30日に単発講座を行います。テーマは「ワインの保管状態とそれによるワインの品質について」です。ひとつの銘柄のワインを、それぞれ異なる保管状態に置いて、その違いがワインの品質にどのような影響を与えるのか検証します。対象となるワインは、シルヴァン・ロワシェのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュです。もはや入手困難な2007を試飲頂けますので、それだけでも価値があると思います。ご興味がございましたらご連絡ください。

 

vinclosy@aol.com

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