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ワイン・コラム 第121回 ボルドー地方の話 シャトー・ラグランジュ編

フランス、ボルドー地方のグラン・クリュGrand Cru世界で最も高貴なワインの一群と言うことができると思います。

 

ボルドー地方には100を超えるグラン・クリュのシャトーが存在しておりますが、メドックMédoc地区、サンテミリオンSaint-Emilion地区など、地区により格付けの形態が異なっています。

 

ボルドー地方の格付けの中で最も有名なのは、1855にナポレオン3世がボルドーの商工会議所に命じて作らせたメドック地区の格付けでしょう。ボルドー地方には1万を超えるシャトー(ワインの造り手)がいると言われておりますが、この格付けではその中で僅か61のシャトーがグラン・クリュに選ばれました。まさにトップの一群と言えると思います。

 

今回ご紹介するシャトー・ラグランジュChâteau Lagrangeは、栄えあるメドック地区の格付けにおいて第3級に選ばれたグラン・クリュです。

 

このシャトーの特徴として、所有者が日本の企業サントリーであるということが挙げられます。私は2004年にこのシャトーを訪問させて頂きましたが、案内してくださったのは椎名敬一氏、もちろん日本人でした。やはり日本語での会話は楽です!

 

1855年の格付けは、当時のワインの流通価格を参考に定められたようです。2013年となっては158年前のことですから、その間に格付けにそぐわなくなった(良い意味でも、悪い意味でも)シャトーももちろんあります。

 

シャトー・ラグランジュは、良い意味で3級という格付けに合っていないのではないかと思います。サントリーがシャトー・ラグランジュを購入したのが1983年。当時は輝かしい評価が失われていたようですが、再生のための投資を続け、今日では3級、もしくは2級並みの安定した評価を受けるようになっています。

 

実際ワインの品質は素晴らしいと思います。グラン・ヴァンであるシャトー・ラグランジュ、例えば最近の2007は偉大なヴィンテージではなかったにもかかわらず色が濃く、凝縮感があり、サン・ジュリアンの典型的なスタイルと言えるようなカシス等黒系果実の香りに良質な樽熟成から来る香ばしいロースト香が調和しています。このグラン・ヴァンの品質を支えているのがセカンド・ワインレ・フィエフ・ド・ラグランジュLes Fiefs de Lagrangeの存在です。1985年に導入されたこのセカンド・ワインは、若い樹のぶどう(=グラン・ヴァンであるシャトー・ラグランジュの品質に見合わないと判断されたぶどう)が使われています。このように、やや品質が劣るぶどうを他のワインに回すことによって、シャトー・ラグランジュの品質を向上させることができるわけです。さらには、ラグランジュの名を名乗ることのない第3キュヴェも存在しているようです。そのため、セカンド・ワインと言えどもレ・フィエフ・ド・ラグランジュも良質なワインに仕上がっています。

 

最後に、ソーヴィニヨン・ブランを主体に造られる白ワインレ・ザルム・ド・ラグランジュLes Arums de Lagrangeも素晴らしい品質であることを付け加えておきます。

 

Clos Yは、3月10日のレストラン講座のテーマを「ボルドー」とし、希少なシャトー・ラグランジュの1962等をお楽しみ頂きます。1962の水平比較としまして、グラン・クリュのシャトー・ラ・トゥール・カルネ1962も登場いたします。ご興味がございましたらご連絡ください。

 

 

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