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ワインコラム 第109回 ブルゴーニュ地方の話 ドゥニ・モルテ編

ワインが好きな方には、「お気に入りのワイン」というものがあると思います。

 

人によってはざっくりと「ボルドーの赤が好き」ですとか「カリフォルニアのシャルドネが好き」ですとか、あるいはもっと限定的にある造り手が好き、ですとか...

 

世界中のワインを広く楽しんでいらっしゃる方の中で、「好きなワインは何ですか?」と聞かれて困ってしまった経験をお持ちの方は少なくないと思います。

 

ワインが大好きな私の場合も、好きなワインを聞かれると返答に困ってしまいます。

 

フランス、イタリア、オーストラリア、ドイツ、オーストリア、アメリカ...ひとつの国の中でもボルドー、ブルゴーニュ、フランス南西部、シャンパーニュ、ローヌ...

 

きりがありません。

 

例えばブルゴーニュにしても、シャブリChablisのドーヴィサDauvissatやマコネMâconnaisのヴァレットValette、コート・シャロネーズCôte ChalonnaiseのランプLumppなど...

 

きりがありません。

 

ブルゴーニュには素晴らしいワインを産出する尊敬すべき造り手がたくさんいらっしゃいますが、中でも私がその名を聞くと目の色を変えてしまうお気に入りの造り手が、数軒あります。

 

今回ご紹介するのは、その中の1軒、ドゥニ・モルテDenis Mortetです。

Denis Mortet 

ドゥニ・モルテのワインとの出会いは2005年のことでした。私は2005年の9月から11月まで、3ヵ月ほどブルゴーニュ地方のボーヌBeauneに滞在していました。

 

ボーヌはワイン好きにはたまらない町です。ワインやワイン・グッズを扱うお店が多く、それが歩いていける範囲に小さくまとまっています。

 

その中の1軒のワイン屋で、気になっていたドゥニ・モルテのブルゴーニュ・キュヴェ・ドゥ・ノーブル・スーシュBourgogne Cuvée de Noble Souche 2003のハーフ・ボトルを購入しました。当時6ユーロくらいだったと思います。

 

そのワインを飲んだ私は、今でも忘れられない衝撃を受けることになります。その時のテイスティング・コメントは以下の通りです。

 

「全体的に赤紫がかった、やや明るいガーネット。濃縮感のある深い香り。ミルティーユ、カフェ、パングリエ。回すと少しバニラ。香ばしい。アタックは中程度。しっかりとした果実味、中程度の酸。ややボリューム感があり、タンニンはほぼ溶け込んでいる。ボワゼの余韻が長い。濃縮感があり、がっしりしている。少しガスが残っていて若さを感じる。ローヌにでもありそうな、力強いワイン。」

 

2005年の秋に2003を飲んだので、収穫後2年というとても若い状態のワインです。樽から来る香ばしい香りが強く、果実味が濃厚で全体的にとても凝縮感が強かったです。本当に、北ローヌ、それもかなり上質なコート・ローティCôte-Rôtieを連想させられました。

 

2006年にドゥニ・モルテ氏は亡くなってしまい、現在はご子息のアルノー氏がドメーヌを引き継ぎ、現在も高品質なワインを造り続けています。

 

高品質なワインの秘訣は、先代の時も、今も変わらず、「ぶどうの質」にあります。難しいとされるヴィンテージでも、徹底したぶどう栽培を行うことにより、美しい、凝縮したぶどうを収穫しています。

D. Mortet Gevrey 収穫間近のピノ・ノワール 

ワインのあの凝縮感は、他でもない、ぶどうそのものの凝縮感なのです。

 

良いワインは良いぶどうから。当たり前のことですが、「極める」域にまで持っていくことができる造り手はそう多くありません。

 

どの国のものでも、素晴らしいワインは、ぶどうが生まれ育った土地や造り手の苦労も思いながら、大切に飲みたいものですね。偉大なワインは飲み手に何かを与えてくれるはずです。

 

Clos Yは10月8日のレストラン講座のテーマを「きのこと赤身肉祭り」とし、旬のきのこや旨味たっぷりの赤身肉の料理と、それに合わせた素晴らしいワインをお楽しみ頂きます。ドゥニ・モルテ氏の遺作、2003年のピノ・ノワールも登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

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