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ワインコラム 第88回 ボルドー地方の話 シャトー・ポンテ・カネ編

寒くなってくると、濃厚な赤ワインが飲みたくなりますね。

 

今回は、フランス、ボルドーBordeaux地方、ポイヤックPauillac村に位置するシャトー・ポンテ・カネChâteau Pontet-Canetのお話です。

 

私は2010年の9月にこのシャトーを訪問させて頂きました。このシャトーは1990年代まではそれほど注目されておりませんでしたが、2000年代に入ってからはめきめきとワインの品質を上げ、近年では要注目のシャトーになっています。有名ワイン評論家の評価も、グラン・クリュ5級でありながら1級シャトーの評価にひけをとりません。

 

その品質の鍵はどこにあるのでしょうか?

 

まずは栽培面を見てみましょう。このシャトー最大の特徴のひとつは、有機農法を取り入れている点です。2004年からビオディナミに着手し、2010年にはAgriculture Biologiqueから正式に認証を得ました

 

ぶどう栽培において、近年有機栽培の畑は年々増加していますが、広い土地で実践している例は多くありません。ポンテ・カネは120haの土地を所有しており、そのうち81haにぶどうが植えられています。ひとつひとつのシャトーの畑の規模が大きいボルドー地方では、有機栽培を実践しているシャトーは数えるほどしかありません。特に、グラン・クリュのシャトーの中で、現時点で正式に有機栽培の認証を得ているのは恐らくこのシャトーのみでしょう。

 

耕作にはも用いるとのことです。

 

この規模でこのような畑仕事をするのは大変な労力が必要とされます。

 

醸造面では、2005年に新しい醸造場を構築。アルコール発酵は木製、またはコンクリート製の発酵槽で天然酵母により行われます。

DSC00397 美しい醸造場。タンクも美しい。

果汁の移動にはポンプを使わず、重力により優しく行います。過度な醸造テクニックは用いません。最高のぶどうを、なるべくナチュラルに扱うことにより、その力を存分に引き出すわけです。

 

私は、栽培しているぶどう品種の割合もひとつのキー・ポイントだと思っております。ポイヤックのシャトーは一般的にカベルネの比率が高いのですが、ポンテ・カネ他のシャトーに比べメルロの比率がやや高いようです。これが、豊かで力強い中に、ソフトさをもたらしていると考えられます。

 

実際に試飲してみると、やはり素晴らしいワインです!黒系果実のコンフィ、スパイスの香りに樽からのロースト香が調和しています。果実味は豊かで、同時に酸味もしっかりしています。ボリューム感があり、タンニンは量が多くしっかりしていますが収斂性は無く、溶け込んでいます。長く続く余韻がこのワインがグラン・ヴァンであることを証明しています。

 

ここ数年のプリムール(先物取引)で、ポンテ・カネも徐々に高値が付けられてきています。この品質のワインを比較的手ごろに楽しめるのは、もしかしたら今のうちだけかもしれません。

 

今後の動向に目が離せません!

 

Clos Yは、1月8日のレストラン講座でシャトー・ポンテ・カネの2003をご用意しております。2003はポンテ・カネの2000年代の中でも特に素晴らしいヴィンテージのひとつです!この講座にご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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vinclosy@aol.com

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